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『キャロリング』ネタバレ感想!あらすじから結末まで!

harutoautumn
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クリスマスに倒産が決まった子供服メーカーの社員・大和俊介。同僚で元恋人の柊子に秘かな思いを残していた。そんな二人を頼ってきたのは、会社に併設された学童に通う小学生の航平。両親の離婚を止めたいという航平の願いを叶えるため、彼らは別居中の航平の父親を訪ねることに――。逆境でもたらされる、ささやかな奇跡の連鎖を描く感動の物語。

Amazon内容紹介より

クリスマス過ぎてから読んだことを少し後悔していますが、有川浩さんの『キャロリング』をご紹介したいと思います。

このブログでは、『旅猫リポート』に続いて二作目の有川作品となります。

『旅猫リポート』でもそうでしたが、読み始めたうちは「あれ? 有川さんの作品じゃない?」と首を傾げてしまいましたが、話が進むうちに「これは有川さんの作品だ」と安心できる内容でした。

作風としては今までにない新しい部分を取り入れつつも、物語の核となる温かさ、メッセージ性は『図書館戦争』の頃から変わらず、素晴らしいの一言です。

そんな魅力的な本作について、個人的な感想を入れながらご紹介したいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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タイトルの『キャロリング』とは?

あまり日本では馴染みのない言葉ですが、クリスマスに行われる行事のことを指します。

子どもたちの聖歌隊が街を回り、家の戸口で聖歌を歌います。そして歌ってもらった家の人は、お菓子などをあげるというキリスト教国の風習です。

ドラマ化されている

三年前ですが、ドラマ化されています。

また舞台でもやられていて、こちらはDVDが発売されています。

気になる方は、チェックされてはいかがでしょうか。

クリスマスに会社が倒産

子供服メーカーの『エンジェル・メーカー』は、クリスマスで倒産することが決まりました。

主要取引先である大型量販店が閉店したことで経営に打撃を受け、そこから持ち直すことが出来なかったからです。

しかし、社員たちはそれに絶望することなく、日々の仕事をこなしながら次の就職先を探すために転職活動をしています。

そんな中で、営業の大和俊介は、小さい頃からおばさんとして慕ってきた社長、西山英代が経営するこの会社が倒産することを受け止めきれず、転職活動に移れないでいました。

また、以前付き合っていたが、お互いの事情を理解しきれずに別れてしまった同僚、折原柊子。

俊介はまだ彼女のことを思っているが、柊子はこれを機に実家のある新潟に戻る予定で、この思いをどうしたらいいのかも悩んでます。

この俊介ですが、心ない父に暴力を日常的にふるわれ、父から母を庇っても今度は母から責められるなど、ひどい環境で育ってきました。

そのせいもあって、柊子と結婚の一歩手前まで行きましたが、両親のことで柊子の理解を得られず、彼女を傷つけることを恐れた俊介が離れることを選びました。

不器用なせいで怖い印象を与えてしまいますが、俊介は実は優しい男です。

そして、そんな俊介のことを柊子もまた思っていて。

クリスマスにふさわしい恋愛が、前提としてあります。

離婚しそうな両親の間で揺れる少年、航平

そして、問題がもう一つ。

『エンジェル・メーカー』では、キッズスペースを設けて子供たちを預かっていましたが、そのうちの一人、田所航平の両親が別居してしまい、離婚寸前でした。

航平は父も母も大好きですが、母は仕事のために海外赴任予定で、そうなれば父に会うことは出来なくなってしまいます。

しかし、父の住む横浜まで自分の小遣いだけで行くことは難しく、それ以前に行き方すらも分かりませんでした。

母は絶対に許してくれない。

そこで航平は柊子に頼み込み、横浜まで行って父に会うことにしました。

しかし、父も母とよりを戻すつもりはなく、航平は愕然とします。

ところが、二人の様子に気が付いた俊介は、航平に過去の自分を重ね、同じ後悔をしてほしくないと二人についていきます。

三人の説得により気持ちの揺らぐ父でしたが、そこにさらなる問題が発生します。

父の勤める整骨院は多額の借金を抱えていて、それを取り立てるためにヤクザが何度もやってきては威圧的な態度で借金の返済を要求します。

幸いというか、気の小さいヤクザだったため、俊介が追い返すことで事なきをえますが、実はヤクザたちにも譲れない事情があり、最終的には柊子、航平が身代金誘拐をされる事態にまで発展してしまいます。

小さな奇跡がクリスマスを彩る

過程は省くとして、身代金誘拐は無事にとは言えませんが、なんとか解決します。

そして、お互いのことを理解した上で航平の両親が出した答え。俊介が柊子に対して出した答え。

ネタバレは避けますが、決してクリスマスをただ温かくするような結末ではありません。

ある程度覚悟していたとはいえ、何でと言いたくなるような、一種の残酷さがそこにはあります。

しかし、誰かを言い訳にせず出した答えはまっすぐで、それも人生だよなと納得しました。

それに前向きな考えだからこそこの先も関係はまだ続いていくし、それって悲しいことだけではないんですよね。

俊介と柊子。

お互いの気持ちに気が付いてなおこの距離感。

じれったいなと思う一方で、それだけ大事にしてきた関係だからこそ、今度こそは幸せになってほしいと願わずにはいられませんでした。

この感動は、僕の文章などで表してよいものではありません。

未読の方は、ぜひ本書で確かめてください。

おわりに

有川さんの作品が初めてだという方にはもちろんのこと、有川さんの作品が好きだという方にとっても本書はまちがいなくおすすめです。

多少(かなり)のご都合主義なんて気にしないでください。

物語で語られる人たちの気持ちは本物ですから。

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