『うるはしみにくし あなたのともだち』あらすじとネタバレ感想!人を思うままに変貌させる謎の力とは?
四ツ角高校三年二組で一番美しく人気もあった羽村更紗が突如自殺した。遺書もなくいじめもなかったが、告別式で家族はかたくなに娘の顔を見せようとしなかった。彼女の死をきっかけに、次々と女生徒が見えない力によって容姿を傷付けられていく。クラスの誰かが“あの力”を行使している――生徒達は疑心暗鬼に陥った。担任の小谷舞香は、この異変の真相を探るうちに地域に伝わる人の見た目を変えるおまじない「ユアフレンド」の存在を知り犯人を捜し出そうとする。戦慄の学園ホラーミステリー!
Amazon商品ページより
とある学校のクラスを舞台にしたホラーミステリである本書。
澤村さんのホラーには様々なバリエーションがあり、本書は超常的な恐怖というよりも、人間の持つ妬みや怒りといった現実にある恐怖に焦点が当てられています。
思春期ならではの、純粋ゆえに強烈で遠慮のない悪意は見どころで、ちょっと周囲に目を向ければ誰の側にもあるかもしれません。
本書に関する澤村さんへのインタビューはこちら。
【著者インタビュー】澤村伊智『うるはしみにくし あなたのともだち』/スクールカーストの頂点に君臨する美しいマドンナは、なぜ自殺したのか|小説丸
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
自殺
高校三年生の羽村更紗が自室で首を吊って自殺しました。
更紗は知能、美貌を兼ね備え、クラスでは絶対的な地位を確立していて、いじめの対象となるとはどうも考えにくい。
担任含めて、なぜ彼女が自殺したのか、この時点でその理由に気が付いているのはごく一部の人間を除いていませんでした。
変化
更紗が亡くなった後、クラスに変化が訪れます。
彼女の死を悲しむ人間もいますが、それ以上に新たな環境を作り出そうという動きが見られます。
クラスのナンバー2である野島夕菜が、更紗の空いた席に君臨し、彼女を頂点としたピラミッドが新たに構築されました。
大人以上に素直で、それゆえに残酷な光景。
物語の冒頭から、目に見えない嫌な雰囲気がクラスを包みます。
おまじない
夕菜がトップに君臨できたのはほんのわずかな時間でした。
授業中、突然、夕菜の顔に無数の腫れ物が浮かび上がり、血や膿をまき散らします。
騒然とするクラス。
その中で、生徒の口から『ユアフレンド』という言葉が出ます。
それは雑誌名であり、おまじないであり、呪いです。
過去に亡くなった姫崎という少女が遺したおまじないで、それを受け継いだ人は憎い女子を醜く変えることが出来るのだといいます。
普通であればただの笑い話ですが、現実に夕菜に起こったことを考えると、ただの噂だとはいえません。
もしかしたら、更紗もユアフレンドの呪いをかけられたのかもしれない。
ここからクラス全体が疑心暗鬼になり、犯人探しが始まります。
感想
思春期ならではの嫌な雰囲気
本書の目玉であるユアフレンドについて触れる前に、まずは高校生ならではの分かりやすく嫌な雰囲気があり、かなり良かったです。
喪失の悲しさよりも、空いた枠を奪い合う方に傾倒する。
大人の世界でも当然あることですが、高校生たちはそれが露骨です。
分かりやすいですが、それゆえに醜い感情がストレートで、それを向けられた人は子供大人関係なくしんどいと思います。
本書はその感情が終始根底にあるので、美しさとの対比が常にされていて、良い構成だなと感じました。
ファンタジーだけどミステリ
ユアフレンドの効果はまさにファンタジーで、理屈とかは特にありません。
しかし、本書の主題はそこにはありません。
誰がユアフレンドを駆使して、被害者を醜い姿にしていくのか。
目的は何なのか。
この辺りの推理が面白く、新たな容疑者が出たかと思えば、その予想が外される。
二転三転する展開はよく練られていて、ミステリとしても上質でした。
美しさの曖昧さ
僕が一番感じたのは、美しさの曖昧さです。
特に基準があるわけではないので、何が美しくて何が醜いと感じるのかは人それぞれです。
誰もが美しいと羨んでも、当人がそう思わないこともあります。
逆もしかり。
改めて一般という不確かな尺度だけで測るのは危険で身勝手な行為だなと、強く感じました。
おわりに
クラスという狭い世界で、様々なピースをうまくつなぎ合わせて、うまく世界を広げていたところが見事です。
これまでの澤村さんとの作品とはまた違ったテイストですが、その中でもこれまでの澤村さんのエッセンスも感じることができ、非常に楽しめました。
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