『逢魔宿り』あらすじとネタバレ感想!恐ろしいだけでない話が集まった短編集
「お籠りの家」結界が張られた山奥の家で、七つのルールを守り「おこもり」をした少年の七夜の体験。「予告画」周囲に不幸が続く無口な児童の描く絵が、凶事を暗示することに気づいた新米教師の記録。「某施設の夜警」ある新興宗教の世界観を表した奇天烈な施設で、夜毎の異変に遭遇した警備員の述懐。「よびにくるもの」法事に訪れた片田舎の旧家で、蔵の二階の“何か”を呼んでしまった大学生の告白。「逢魔宿り」散歩で通う四阿に、雨の日の夕刻必ず現れ、怪談を語りだす家族に狙われた装幀家の回想。…そして、蒐集した怪異譚を小説として発表し続けた作家の顛末。著者史上最恐短編集。
「BOOK」データベースより
タイトルは『あまやどり』と読みます。
一見、何の関係のないように思える五つのホラー短編。
ところが、最後の一編を読む時、それらが繋がっていることに気が付きます。
まずは良質なホラーをじっくり楽しみ、最後に短篇集としての本書を堪能してもらえればいうことはありません。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
お籠りの家
三津田信三さん本人と思われる作家の僕。
僕はとある関西出身の人物から、ある家について教えてもらいます。
その男性は小学生の頃、父親に連れられ、遠方の見知らぬ家に連れていかれました。
そこにはお婆さんが住んでいて、感じの良い人で男性は安心しますが、父親は敷居を跨ぐことなく帰ってしまいます。
残された男性はお婆さんとそこでしばらく暮らすことになりますが、彼女は男性を「つばさちゃん」と呼び、自分のことは「お爺さん」と呼ぶよう伝えていました。
なぜそんなことをする必要があって、なぜ男性はここに残されたのか。
そんな疑問は、滞在して数日後の不可解な出来事によって吹き飛びます。
予告画
予告画とは、描いてあることが事実になる絵のことをいいます。
僕は小説の題材として使うことを一度は考えるも、結局やめてずっと忘れていました。
ところが、その存在を思い出すきっかけがありました。
僕は学校教育に関する作品の関係で利倉成留と知り合い、彼から聞いた体験談を小説として世に送り出します。
その数年後、僕は利倉と再会し、これまでの予告画に関する話をします。
すると、利倉はある新米教師の予告画に関する話をしてくれます。
某施設の夜警
僕は作家生活の中で、同じ作家の仙波から怪奇短編のネタを手に入れます。
仙波はとても恐ろしい目にあったはずが、それを小説にするとおぞましさが圧倒的になくなるのだといい、作品にすることを諦めていました。
僕もそれに影響されてずっと悩んでいましたが、やがてありのままを書くしかないことを悟り、ついに仙波の話を作品にします。
それは、仙波が専業作家ではまだ食べていけない頃、警備員として働いていた時の恐怖談でした。
よびにくるもの
僕はある女性から聞いた体験談を記します。
大学生の相田七緒はお盆休みの時、体調を崩したという祖母の身を案じて関西の実家に帰ります。
祖母は七緒に、亡目喇(なめら)の老野生(おいのしょう)の家に行って、香典を備えてほしいと頼みます。
家族の誰もよく分からない、長年続く祖母の習慣。
香典を備えたら、すぐに帰ってくること。
そういわれ、七緒は不安を抱きつつも、祖母のためにその家に向かいます。
不安はなくなるどころか少しずつ募るようになり、七緒は得体の知れない何かを見ます。
逢魔宿り(あまやどり)
僕は松尾という装丁家から、『小説 野生時代』で発表している連作怪奇短編について会って話したいと相談されます。
該当する作品とは、本書に収録されている前の四作品のことです。
これらの作品に共通点はなく、あるのは他人から聞いた体験談を基に書いていることだけ。
僕は不安と期待の中で松尾に会うと、彼は僕の作品を読んで胸騒ぎを覚えたといい、三十年以上前に体験したことを話してくれます。
感想
上質な恐怖
本書は僕の聞いた体験談が基になっていますが、どれも上質なホラーになっています。
本当の体験談なのかどうかは判断がつきませんが、演出は控えめで、淡々としています。
しかし、それゆえに少しずつ忍び寄ってくる不安、恐怖がリアルで、自分にもこんな体験が待っているのではないか。
現実世界を侵食するような感覚がありました。
特に『お籠りの家』は一作目ということで、心の準備をしておらず、久しぶりに変な声が出てしまいました。
心臓がバクバクするとともに、これは面白いホラーだと、興奮が止まりませんでした。
最後の一編の賛否両論
僕は本書を文句なしに面白いホラーだと断言しますが、最後の『逢魔宿り』についてはおそらく賛否が分かれるのではないかと思います。
というのも、当該作品は、それまで全く関連のなかった四つの短編を結びつける役目を担っているからです。
独立していても十分面白いし、それらを関連付けることで新たな面白さが生まれるという手法は理解できます。
しかし、それが狙いすぎのように見え、最後に興ざめしてしまうという感覚も分かります。
三津田さんはメタ的な手法が得意ということを後で知り、この作風にも納得です。
僕は結構好きな構成、手法だったので、そう思える人が多いと嬉しいです。
おわりに
ホラー作家としての見事な手腕が発揮された作品でした。
短編ごとに味わい、最後に短篇集としても味わえる。
色々な楽しみ方があるので、じっくりお楽しみください。
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