『私を喰べたい、ひとでなし 2巻』あらすじとネタバレ感想!
「君、なんでそんなに死にたがっているんです?」
人を喰らう人魚の少女・汐莉に本心を見透かされていた、死を望む孤独な少女・比名子。
家族全員を事故で亡くした日、家族の最期の願いが比名子を蝕むある呪いをかけていた――。
「家族の分まで、私は――…」
Amazon商品ページより
シリーズ第二弾となる本書。
前の話はこちら。
二巻では、比名子が死にたがる理由が明かされ、物語が少しずつ深く潜っていきます。
さらに驚くべき秘密も明かされ、一気に盛り上がります。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
あらすじ
5話『希望の海』
汐莉によると、比名子からは腐った鯨のような臭いがして、それは死にたがっている人間の臭いなんだといいます。
海のような汐莉の瞳に見つめられ、比名子はポツポツと過去を話します。
比名子が家族を失ったのは六歳の時でした。
初めての旅行中、家族を乗せた車は対向車とぶつかり、燃えながら崖を落ちて海に転落。
比名子はその前に車外に放り出されて助かりますが、両親と兄はそのまま亡くなってしまいます。
比名子はそのまま自分を死のうと考えましたが、『比名子だけは生きて』という声を聞いた気がして、思いとどまります。
以来、家族の分まで生きると決めたはずでしたが、そこに現れたのが汐莉でした。
比名子は自身の過去を打ち明けたことで少しスッキリし、汐莉と約束を交わします。
家族の願い通り、日々を幸福に過ごし、死にたくないと願った時に汐莉が比名子を食べると。
こうして理解を深めた二人ですが、二人を同じく夏祭りに来ていた美胡が目撃してしまいます。
6話『変わるもの変わらないもの』
比名子は美胡の誘いを断り、汐莉と夏祭りに行ったことが後ろめたく、汐莉にそのことを黙っていてほしいとお願いします。
汐莉は了承し、比名子に群がる妖怪を退治しますが、ここで疑問を覚えます。
こんなに妖怪が現れるのに、比名子はなぜ今まで無事だったのだろうと。
その時、美胡が現れますが、彼女には普通の人には見えないはずの妖怪が見えていました。
ここで美胡は、はじめから汐莉の正体に気が付いていたことを明かします。
7話『君の隣と思い出と』
これまで比名子のことを守っていたのは美胡でした。
彼女は比名子の害となる汐莉を始末しようとしますが、比名子が現れたことで争いをやめ、何事もなかったかのように振舞います。
二人と別れた汐莉は、クラスの生徒名簿をこっそり持ち出し、中を見てとあることに気が付きます。
そして放課後、美胡と一緒にいる比名子の前で打ち明けます。
8話『泡沫の結び目』
美胡のことを問われ、比名子は彼女のことを思い出そうとしますが、何も思い出せません。
それもそのはず。
美胡は呪いを込めた言葉や文字によって人の記憶を操作していただけで、本当はそんな人間など存在しないからです。
必死に否定しようとする比名子ですが、美胡はついに正体を現します。
彼女は、巨大な化け狐でした。
9話『約束は願いの残滓』
美胡は水辺に近づけないように汐莉と戦いますが、比名子の手に傷を見つけると慌てて人型に戻ります。
それは捕食衝動を少しでも抑えるためでした。
美胡もまた、比名子が食べたくて仕方ないのです。
それでも我慢している美胡は極度の飢餓状態で、学校を頻繁に休む理由は飢餓によって弱っているからでした。
美胡は比名子の両親や兄の名前を挙げ、彼らとの約束は守らなければならないといいます。
そこで比名子は思い出します。
比名子たちは旅行前に安全祈願をしていて、助かったのは比名子だけ。
その相手は、昔からこの土地を守っているオキツネ様だと。
感想
比名子の過去は描写から大体分かっていたので、そこまで驚きはありません。
一方で、美胡のことは驚きました。
彼女の病弱なところ、比名子を過保護なほどに心配するところなどが伏線になっていて、一気に回収された感じです。
妖怪の姿を見たところ、美胡の方が汐莉よりも強そうですが、飢餓状態のため本来の力を出せないのかもしれないし、汐莉が本来の姿に戻ればまた変わってくるかもしれません。
美胡と汐莉は相容れない存在で、妥協点を見つけるのはかなり難しい気がしますが、比名子のお願いでとりあえず手を取り合うのかな?
次巻でこのあたりが一件落着して、少女?三人の仲睦まじい日常パートが見られるかもしれません。
おわりに
設定がある程度出揃ってきた感じです。
あとはここからどう展開していくか。
丁寧に作られているので、今後にさらなる期待です。
次の話はこちら。