宝石の国 12巻 第89話『エンマ』ネタバレ感想
前の話はこちら。
前回、分かれた三族を集めて『人間』を作るという発想が登場し、大いに驚かされました。
今回はそこから始まります。
第八十九話『エンマ』
地上に行くというエクメアに対してカンゴームは説明を求めますが、戻ってくるまで説明はないようです。
エクメアの考えはバルバタも含めて誰も知りません。
しかし知っていることもあり、バルバタは流氷のこと、金剛の兄弟機について説明を始めます。
まだ地上に人間がいた頃、金剛には兄機がいました。
兄機は地上の主権を人間に取って代わるために隕石平井の予測を意図的に外して地上に大きな被害を与え、破棄されました。
それを受けて後継機の金剛は厳しい制約を受けることになりました。
人間は兄機からきた機械不信からくる混乱から立ち直れず、立て続けの隕石によって滅亡しました。
しかし、兄機は薄弱な意思となって海を漂い続け、今は流氷の姿で冬の海に現れます。
月人の軍に姿を似せて復活の協力を求めているようですが、取引ではなく媚を売っているだけだろうとバルバタは関わらない方が良いと忠告します。
昔話はまだ続きます。
六度目の隕石によって大量の人間が死んだせいで多くの魂は祈りを得られず、月に溜まってそれがやがて月人になりました。
その最初期、月人は六つの月を覆うほど存在していました。
全員が不老不死を十分に楽しんでから安寧の世界に行きたがり、月人は金剛の存在を思い出します。
金剛は不具合で完全でないものの、一日に若干名の月人を分解し、多くの月人が長い順番を強いられます。
その順番を決めるために格差が導入されました。
元々格差などなかったので月人を構成する犯罪者の魂の含有率などを算出して順位をつけますが、バルバタやセミ、アベなど今いる月人は最下層に振り分けられて、この巨大クレーターに投げ入れられました。
この一帯はクメラ地方(くずかご)と呼ばれるようになります。
クメラ地方では永遠に再生する体をお互いに裂き合うだけの日々で、地方長が視察に訪れた時、あまりの光景に逃げ出すほどでした。
しかし、エマ室長だけが見捨てることはせず、それがエクメアでした。
エマの肩書はエマ・クメア地方長となり、そこから『エクメア』と呼ばれるようになったのです。
エクメアは街を整え、最下層の月人たちは順番を待っていましたが、金剛はついに壊れてクメラの住民は取り残されてしまうのでした。
これは宝石が産まれ始めた頃の話です。
バルバタの話を聞いて、エクメアが一点だけ訂正します。
自分の名前の正確な発音はエマではなく『エンマ』だと。
その容姿は閻魔大王のように禍々しいものに変化し、霧のように消えて地球に向かうのでした。
おわりに
エクメアがフューチャーされた話で、今まで謎めいていた彼のことが少し分かった気がします。
エクメアという名前にちゃんと意味があって驚き、相当の覚悟を持って計画に臨んでいることは一目瞭然。
次回から話が大きく動き出す予感がもうビンビンです。
次の話はこちら。
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