『宵山万華鏡』あらすじとネタバレ感想!祇園祭宵山を舞台にした連作短篇集
一風変わった友人と祇園祭に出かけた「俺」は“宵山法度違反”を犯し、屈強な男たちに捕らわれてしまう。次々と現れる異形の者たちが崇める「宵山様」とは?(「宵山金魚」)目が覚めると、また宵山の朝。男はこの繰り返しから抜け出せるのか?(「宵山迷路」)祇園祭宵山の一日を舞台に不思議な事件が交錯する。幻想と現実が入り乱れる森見ワールドの真骨頂、万華鏡のように多彩な連作短篇集。
「BOOK」データベースより
連作短篇集ということで、短篇ごとに関連が見られ、読み進めるごとに作品の世界が広がっていきます。
森見さんの楽しい、騒がしい作風とは違う幻想的で怪しげな魅力を持っているので、森見作品に慣れ親しんでいても新たな一面を発見することが出来ます。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
宵山姉妹
小学四年生の姉と三年生の彼女(妹)の話。
バレエ教室での練習後、姉は祇園祭の前祭にあたる宵山に行きたいと言い出し、彼女も嫌々ながらそれについて行きます。
寄り道を誰かに知られたらどうしようと恐れる一方で、姉と回る宵山はキラキラしていて楽しいひと時でした。
彼女は姉がどこか行かないよう見張っているつもりでしたが、ちょっとした油断によって自分の方から姉とはぐれてしまいます。
姉がいない中で、見知らぬ場所。
恐怖を堪えながらあてもなく歩くと、同じ真っ赤な浴衣を着た不思議な女の子たちと出会います。
女の子たちは彼女の通うバレエ教室の場所が分かるといい案内してもらうことになりますが、これが不思議な体験の始まりでした。
宵山金魚
藤田と乙川は高校時代からの友人で、藤田は社会人になって千葉に移り住み、乙川は京都の古道具屋に就職してからも関係は続いています。
藤田が京都に遊びに行った時、乙川の案内で宵山を回ることになりますが、乙川いわく祇園祭には様々なルールがあり、それを破ると祇園祭司令部のトップ・宵山様にお灸を据えられるのだといいます。
乙川は昔から藤田を騙して楽しむ癖があるので、藤田は嘘だと断定します。
しかし、藤田がひょんなことから立ち入り禁止区域に足を踏み入れてしまったことで祇園祭司令部に目をつけられ、拘束された上で連行されてしまいます。
乙川の言っていたことは本当だったのか。
そこから藤田の体験したことは、まるで幻想の中の出来事のようでした。
宵山劇場
『宵山金魚』に繋がる話。
大学生の小長井は友人の丸尾から偽祇園祭を作るから協力してほしいと依頼されます。
丸尾にその件を依頼したのは乙川でした。
小長井は嫌がりながらも高額な日当に惹かれて引き受けますが、これがとんでもなく大変な役目でした。
宵山様がどのように出来上がったのかが楽しめます。
宵山回廊
宵山当日、千鶴は叔父の付き合いのある柳画廊を訪れ、画廊主の柳に会います。
十五年前の宵山当日、千鶴と一緒にいた従妹が行方不明になり、それ以来、千鶴は叔父を避けてきました。
しかし今回は柳のお願いもあり、千鶴は久しぶりに叔父のもとを訪ねます。
かなり年をとったように見える叔父は、急に明日からもう会えないと口にしました。
叔父は毎日宵山に出かけ、そこで行方不明になった当時の娘を見つけては見失う。
そんな日々を繰り返しているのだといいます。
叔父の妄想だと決めつける千鶴ですが、この後、それが嘘でないことが分かる出来事に遭遇します。
宵山迷宮
『宵山回廊』と同時進行の話。
こちらは柳サイドの話で、彼もまた宵山の一日を繰り返し、閉じ込められていました。
宵山万華鏡
『宵山姉妹』の姉視点の話で、妹とはぐれていた時に姉が何をしていたのかが描かれます。
感想
幻想的な一日
森見さんといえば奇天烈な登場人物、予測不可能な展開などトリッキーで、いわゆる森見ワールド全開な作品のイメージが強いという人も多いと思います。
しかし、本書はそれを含みつつも、現実か夢か区別がつかない幻想的な短篇が多く、これまでとは違った読了感を得ました。
茫然とした、化かされた。
そんな言葉がしっくりきます。
短篇ごとに繋がりがあるので、二回目はその構成を把握した上で読む楽しみがあり、そうしたくなるだけの魅力が本書にはあります。
夜行もオススメ
本書のテイストが気に入ったという人には、ぜひ森見さんの『夜行』をオススメしたいです。
森見さんの作家十周年を記念した作品で、本書の幻想的なテイストをより深く、広く進化させた雰囲気をまとっています。
以下は小学館による本書の特設サイトです。
怪談×青春×ファンタジー、かつてない物語『夜行』森見登美彦 小学館
最初の76ページが無料で試し読みができたり、聖地巡礼のおともとなる『夜行』マップが掲載されていますので、読む前でも後でも作品をより楽しむことが出来ます。
またYouTubeに森見さんへのインタビューもアップされていますので、気になる方はご覧ください。
おわりに
同じ一日でこれだけ物語が広がる。
そのことに京都の魅力と懐の広さを感じるとともに、森見さんの生み出す物語の魅力を再認識しました。
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