『熱帯魚は雪に焦がれる 8巻』あらすじとネタバレ感想!
見付けたのは、君という光。
七浜高校水族館部のふたりきりの部員だった小雪と小夏。この春新入部員が入り、部は活気を帯びつつあった。やがて夏が近付き、小雪は、いよいよ本格的な受験勉強をはじめることになる。意を決した小雪は、月明かりの下、小夏を海辺に誘う。小雪のある決断を聞いた小夏の願いは――。
迫る卒業、残されたふたりの時間、今まで以上に、かけがえのない日々。止まらない時を刻み、暗闇から光を見付け出したふたりは――。
Amazon商品説明より
小雪の卒業まで、もうあまり時間がないことを思い知らされる8巻です。
前の話はこちら。
残りの時間でどんな思い出を作るのか。
どんな言葉を伝えられるのか。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
あらすじ
第28槽『天野小夏は引き留めない。』
七浜高校に転校する前の小夏が描かれますが、そこには明確な寂しさがありました。
そして、今回も父親と離れる選択をした小夏ですが、そこには寂しさ以外の感情もあり、後悔のないことがうかがえます。
この頃、小夏や楓たちは進路に悩んでおり、ちょっとした拍子に小夏は小雪が東京に進学するつもりであることを知ります。
あんなに近くにいたのに、知らないことがたくさんある。
もっとたくさん話さないといけない。
分かっているのに、なかなかその一歩が踏み出せません。
一方、小雪は没収されていたスマホを帰してもらい、早速小夏に電話をかけます。
そして、会いたいからと小夏に内緒で家の前で行き、二人は海辺で久しぶりの二人きりの時間を過ごします。
ここで二人はお互いの今の心境を話し、これまでとは違った、より対等な関係になるのでした。
第29槽『広瀬楓はあきらめない。』
夏休み、郵便配達のアルバイトに励む楓。
帆波家に郵便を届けるついでに、アルバイト中にもらった花火セットを小雪の母親に渡します。
いつもなら一緒にやろうって誘うのに。
冬樹はいつもと様子の違う楓に気が付き、それを察した母親は楓にお泊り会を提案。
楓はそれを快諾し、小夏も誘って久しぶりに楽しそうな展開を予感させます。
冬樹は買い物を頼まれて出掛けると、準備をしてきた楓と偶然会い、二人で買い物に行きます。
冬樹はなぜ楓が自分のことをそこまで気にかけるのか聞くと、楓は寂しそうな顔をして、事情を話してくれません。
夕飯の支度は招待された楓がすることになりますが、すぐに料理ができないことが露呈。
冬樹が手伝いを申し出ると、楓はぽつりと自分の過去を話してくれます。
そこで二人の距離は少し縮み、夕飯の支度が出来た頃に小夏、小雪も帰ってきます。
第30槽『天野小夏は甘えられない。』
久しぶりに過ごすみんなでの時間ですが、小雪は予備校通いの疲れがたまっていて早々に寝てしまいます。
小雪が寝ている間、小夏は楓にだけ自分の本当の気持ちを打ち明けますが、それを小雪に言えないところが甘え下手な小夏らしいところでした。
寝ている小雪を起こさないように部屋に入る小夏。
部屋には修学旅行の時に小雪が買ってくれた山椒魚と同じ種類のカエルのぬいぐるみが置かれていました。
気が付いて驚く小夏ですが、小雪が目を覚ますと咄嗟に隠します。
小夏は小雪に自分の寂しさを埋めてくれたことに対するお礼をいい、花火をするみんなの元に連れて行きます。
花火をする最中、小雪もまた小夏に救われたことを思い、小夏に笑いかけます。
久しぶりの穏やかで素敵な時間でした。
その夜、楓が先に寝てしまい、小雪の口から不意に『山椒魚』という言葉がもれます。
それは小夏が小雪に言った言葉で、その本当の意味を小雪は気が付いているかもしれない。
まだまだ話したいことがたくさんあるのに、小雪は寝てしまい、小夏は一人で考えます。
自分と小雪ならきっと大丈夫だと。
感想
大事なことに気が付いて、何をすればいいのかは分かっている。
けれども甘えられない不器用な小夏がもどかしく、じれったい内容でした。
加えて底抜けに明るいと思っていた楓の思わぬ傷が見えてきて、全体的に暗さが目立ちました。
あと絵柄が以前よりも淡く感じられ、その影響もあるのかもしれません。
次巻が最終巻ということで、どういう形でこの物語を結ぶのか。
とても興味があるし、失う前に大切なものを大切だとはっきり口にしてほしいと心の底から願っています。
おわりに
2021年夏頃に出る9巻が最終巻となります。
ここまで悩む部分を描いてきたからこそ、悔いのない選択をしてほしいと願って止みません。
小夏や小雪もそうだし、それを取り巻く友だちも大人も、本当に良い人たちばかりですから。
次の話はこちら。
オススメ百合マンガのランキングを作りました。