『黒い家』あらすじとネタバレ感想!保険金請求に隠されたドス黒い悪意
若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに……。恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞受賞作。
Amazon商品ページより
第4回日本ホラー小説大賞を受賞した本書。
本書で描かれるのは幽霊や化け物といった得体の知れないものからくる恐怖ではなく、あくまで現実で起こりえる恐怖です。
しかし、それゆえに恐怖にリアリティがあり、一番怖いのは人間なのではと考えさせられました。
著者の貴志祐介さんは『クリムゾンの迷宮』、『悪の教典』などで広く知られているので、著作を読んだ人であれば容易に想像できると思います。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
気になる電話
生命保険会社の査定主任を任されている若槻は、とある電話の応対をします。
内容は自殺した際に保険金がおりるかどうかというもので、若槻は電話口の女性が自殺しようとしているのではと推測。
自殺はやめるよう諭し、その場は何事もなく済みますが、それは大きな間違いでした。
電話口の相手は、若槻の応対から彼をとある計画の一部に組み込むことを決めるのでした。
第一発見者
後日、菰田重徳(コモダシゲノリ)という人物から若槻が指名され来訪を求められますが、若槻の知らない人物で指名される理由が分かりません。
若槻は重徳の住む朽ちかけた廃屋のような黒い家を訪れ、重徳に息子の和也がいるはずの勉強部屋の襖を開けるよう指示されます。
訳も分からず若槻が指示に従って襖を開けると、そこで待っていたのは和也の首吊り死体でした。
若槻は重徳の様子を見て、すぐに悟ります。
重徳は若槻を和也の死体の第一発見者に仕立て上げるために呼び出したのです。
拭いきれない疑惑
若槻は嵌められたことに気が付き、重徳、もしくは妻の幸子が保険金目的で和也を殺害したのではと考えます。
事実、重徳も幸子も保険金を一日でも早くおりるよう連日のように催促してきて、若槻は追い詰められていきます。
そこに息子を失った悲しみなど微塵もありませんでした。
しかし、和也の死体から分かることは自殺であることの証拠ばかりで、重徳か幸子がやったという証拠がどうしても見つかりません。
他人があてにならず、若槻は自分で重徳や幸子のことを調べ始めます。
二人の過去や、そこから導き出される心理学的な部分などはもちろんのこと、重徳や幸子が以前に何度も同様の内容で保険金を手に入れていることが判明。
一方、相手は一向に保険金が支払われないことに腹を立て、若槻に対して絶えず無言電話をするなど嫌がらせをします。
若槻はそれでも調査を続けますが、やがて深入りをしてしまったことを後悔するほどの恐ろしい目に遭うのでした。
感想
保険会社の日常そのものが怖い
上記した菰田夫妻の恐ろしさは言うまでもありませんが、そもそもの保険会社の日常自体が怖いのがとても面白いと感じました。
毎日のように人が怪我をしたり死んだりして、保険金を支払って問題がないかをチェック。
時には恫喝して保険金をむしりとるケースもあり、若槻はその交渉で消耗します。
一方、保険会社もその対策で『潰し屋』なるものも用意し、手段を選ばない時もありますが、『毒を以て毒を制す』という言葉通りの手荒い手段です。
本書ではこれらの日常の怖さを伝えてから本題に入るので、本題が余計に怖く感じる構成になっており、緻密に計算されたホラーを読むことができます。
人間が一番怖い
これまで色々なホラーを読んできましたが、人間が一番怖いのではと本書を読んで考えさせられました。
本来、同じ言語を取得している人間同士であれば、言葉が通じて意思の疎通をはかることが出来ます。
しかし、本書で問題となる菰田夫妻にそんな理屈は通用しません。
自分の目的のためだけに動き、そのためであればどんな手段にも当たり前のように手を出すことが出来ます。
時には人の道すら外れ、もはや化け物と何ら変わりありません。
本書を読了後、危なそうな人間には近づかないのが一番だなと強く思いました。
外見でその人を判断することなど不可能で、もしかしたら人の姿をした化け物かもしれないからです。
おわりに
日本ホラー小説大賞の受賞作に外れ作はないなと思っていましたが、本書はそのイメージをさらに強くしてくれました。
すぐに作品の世界観に引き込んでくれるので、一気読み必至です。
出来ればまとまった時間をとって、一気に読んでしまうことをオススメします。
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