『陽気なギャングの日常と襲撃』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
嘘を見抜く名人は刃物男騒動に、演説の達人は「幻の女」探し、精確な体内時計を持つ女は謎の招待券の真意を追う。そして天才スリは殴打される中年男に遭遇―天才強盗四人組が巻き込まれた四つの奇妙な事件。しかも、華麗な銀行襲撃の裏に「社長令嬢誘拐」がなぜか連鎖する。知的で小粋で贅沢な軽快サスペンス!文庫化記念ボーナス短編付き。
「BOOK」データベースより
シリーズ第二弾となる本書。
前の話はこちら。
連載当初、メインの四人が入れ替わりながら主人公を務める短編集にする予定でしたが、途中から四つの短編が一つの物語に収束するという構成に変更になっています。
相変わらず四人は生き生きと、そして淡々と犯罪に手を染めますし、冷や冷やする展開もあるので前作以上に読み応えがあります。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
成瀬
成瀬は職場である市役所の部下・大久保との外務の帰りに、マンションの屋上で人質に刃物を突き付ける男を見つけます。
しかも人質は以前、市役所にクレームをいれにきた門馬という男で、対応したのが大久保でした。
硬直した状態の中、門馬は不意に何かに気が付き、犯人の隙をついて何かをマンションの下に落とします。
大久保が拾うと、それは『3-二』と書かれた紙でした。
成瀬は、門馬が屋上から隣のマンションに何かを見つけたのだと判断。
紙は囲碁か将棋の座標を示しているものと仮定し、それに従ってマンションの部屋を訪ねます。
出てきた女性は何ともないように見えましたが、成瀬は嘘だと見抜き、押し込み強盗がこの部屋に入ったことを突き止めます。
そして、どちらの犯人も警察の手で逮捕されるのでした。
響野
藤井は幻の女について響野に相談します。
彼はお酒で記憶をなくし、朝起きるとノゾミという女性からの書き置きがありましたが覚えがないのでした。
その後、同僚の桃井という男が車で人身事故を起こしたのだといいます。
幸い、明け方にも関わらず目撃者がいたことで、相手のバイクの信号無視が証言されました。
響野は藤井を連れ、彼が昨日入ったお店で聞き込みをしますが、藤井は桃井と二人きりだったという証言しか得られません。
しかし一方で、藤井と桃井が女性と三人で歩いているのを目撃したという人物も現れ、事態は複雑になるように思えました。
ところが、響野は真相に気が付きます。
ノゾミという女性は実在したのです。
藤井の家にノゾミは行きますが、彼が寝てしまったことで怒って帰ってしまいます。
その後、桃井と連絡を取り、二人はドライブを楽しんでいる最中に事故にあいました。
しかし、桃井は藤井に記憶がないことに気が付くと、それを利用します。
ノゾミを助手席ではなく通行人としてたまたま出くわしたように口裏を合わせ、証言に信憑性を持たせようとしたのです。
居酒屋の店主も口裏を合わせていましたが、それが及んでいない人物もいたことで発覚したのでした。
雪子
雪子は派遣先の会社の社員・鮎子に相談を持ちかけられます。
鮎子は課長が呼んでいると同僚の美由紀に言われて行きますが、課長は呼んでなどいませんでした。
なぜ美由紀はそんな嘘をついたのか。
そして鮎子は内緒でアルバイトもしていますが、そこで見知らぬ人物から奥谷奥也という人気俳優の舞台劇のチケットをもらったのだといいます。
相手は誰で、何の目的でチケットをくれたのか。
しかし悩む間もなく仕事が入り、鮎子は舞台劇をパスするつもりでした。
しかし、雪子の神業のような運転により舞台劇に間に合い鑑賞しますが、鮎子の両隣とも怪しい人物はいませんでした。
鑑賞後、雪子と一緒に待機していた祥子が思わぬことをいいます。
チケットをくれた人物は、舞台の上にいるのではないかと。
雪子は鮎子を連れて舞台裏に行きます。
当然、関係者以外立ち入り禁止ですが、雪子は劇場のオーナーに勝負を持ち掛けて見事勝利し、中に入れてもらいます。
待っていたのは奥谷奥也で、彼は鮎子の元彼でした。
よりを戻したいわけではなく、活躍を見てもらいたいだけでした。
奥谷は鮎子に強い恩を感じていて、それが後半に繋がります。
それから美由紀の嘘について。
あれは鮎子に見られる前に間違って送ってしまったメールを消去するためでした。
しかも送ったのは美由紀ではなく同僚の佐藤で、文面は鮎子をデートに誘うものでした。
しかし途中でメールでは無粋だと気が付きますが、間違えて送ってしまったのでした。
鮎子はそれまで佐藤を意識したことがなかったものの、満更ではなさそうです。
久遠
久遠は夜中の公園で殴られた和田倉という男を介抱します。
相手の顔は見えませんでしたが、和田倉には多額の借金があるため、その手の人間である可能性もあります。
久遠はぶつかった拍子に相手の財布を掏っていて、名前が熊嶋洋一であると判明。
さらに明後日、歯医者の予約が入っていたため、それを利用して熊嶋に声を掛けます。
ところが、熊嶋は何者かによって財布を掏られていました。
つまり、久遠が財布を盗んだ相手は、本物の熊嶋から財布を盗んだ何者かということになります。
その後、久遠は熊嶋と話をし、状況を理解します。
まず、和田倉を殴ったのは熊嶋でした。
理由は、和田倉が熊嶋の恋人を付け回していたからです。
和田倉は紹介制のカジノに通っていて、借金返済のために犯罪の片棒を担がされようとしていました。
和田倉は運転手役で、付け回した女性の家に向かうつもりでしたが、久遠の説得によりやめます。
すると向かおうとしていたマンションは、成瀬たちが通報したマンションで、犯人は捕まったことが判明します。
しかし、和田倉の借金がなくなったわけでもなく、不安な日々はまだ続きます。
誘拐
成瀬たちはいつものように銀行強盗に入りますが、成瀬は銀行にいた客の一人に見覚えがあり、後で大久保の彼女・筒井良子であることを思い出します。
良子はこの時、怪しい人物に銃かナイフを付けつけられている様子で、後に誘拐されていることが判明します。
良子は筒井ドラッグを経営する父親の娘で、身代金目的の誘拐でした。
銀行襲撃時、久遠も怪しいと思い、誘拐犯と思われる男の財布を掏ると、発信機をつけて返していました。
場所が特定できたため、響野と久遠で目的の建物に向かいます。
探した結果、久遠は発信機のついた財布を持つ男を見つけますが、その男に捕まり、一室の中に閉じ込められてしまいます。
そこには良子がいました。
別の犯人
誘拐犯は詰めが甘く、すぐに小西と太田という名前であることが判明します。
久遠は良子を連れて逃げようとしますが、良子は残ることを選びます。
どうやら犯人は筒井ドラッグに苦い思いをさせられたようで、良子は身代金を彼らに与えたいのだと言います。
その後、小西の両親の経営していた薬局が筒井ドラッグの出店によって閉店したことが分かりました。
両親は亡くなり、小西の弟はその後処理などで疲弊し、人身事故を起こして多額の慰謝料や治療費を請求されていたのでした。
その後、成瀬たちは助けに行きますが、すれ違いで小西たちは久遠、良子を車に乗せて建物を後にします。
良子の身代金を受け取りに行ったのです。
成瀬たちは部屋に久遠が残したヒントから身代金の受け渡し場所に先回りしますが、さらに事態は変化します。
久遠たちの乗る男に違う男が乗り込むと、久遠を捨ててそのまま走り去ってしまったのです。
点が線になる
久遠は相手の財布を掏っていて、名前が花畑実だと判明します。
花畑は和田倉の通うカジノの人間で、和田倉に犯罪の片棒を担がせようとした人物です。
さらに田中の調査で、筒井ドラッグの社長はカジノの主である鬼怒川と交友があることが分かりました。
この状況から、鬼怒川は社長に依頼されて良子を助けに行きましたが、返すにあたって約束以上の大金を要求していることが推測できます。
久遠は和田倉の話を思い出し、良子がカジノのVIPルームに監禁されているのではと予想します。
カジノに出入りするためには紹介してもらう必要があり、成瀬、雪子がそれぞれ違う人物にあたります。
成瀬の相手はこの時点で明かされませんが、雪子は鮎子と一緒に行った劇場に向かいます。
劇場のオーナーもカジノの客で、響野と久遠を紹介してくれることを約束してくれます。
これで条件は揃い、成瀬たちは良子救出作戦を実行に移します。
真の計画
響野と久遠はオーナーの紹介で、成瀬は別の人物の紹介でカジノに潜入します。
煙を立てて火災報知器を作動させると、混乱に乗じて久遠がVIPルームの鍵を掏って扉を開けます。
しかし、中には誰もいませんでした。
その時、成瀬から電話があり、逃げろと言われます。
現れた花畑は成瀬たちの計画を事前に知っていたようで、ピンチに陥ります。
逃げようとする響野たちですが、バニーガール姿のスタッフに声を掛けられ、それはなんと良子でした。
三人は地上に逃げますが、追手は銃を持っていて、死を覚悟します。
ところがそこに、柔道着を来た男たちが多数ランニングしながら現れ、三人を連れ去ります。
これも成瀬の計画でした。
彼らは奥谷の知り合いの役者で、雪子→鮎子→奥谷づたいにパフォーマンスと嘘をついて依頼してあったのでした。
その頃、雪子は鬼怒川を後部座席に乗せて空港に向かっていました。
成瀬が接触したのは鬼怒川で、計画をあえてバラすことで信用を得たのでした。
さらに神経質になっている鬼怒川に海外で休養をとることを勧め、雪子はその送迎でした。
もちろん、これも成瀬の計画です。
結末
成瀬から本当の計画について聞かされた響野と久遠。
彼らは奪った大金の一部を小西の弟に渡しました。
良子も無事に家に帰すことができましたが、このままでは再び鬼怒川に誘拐される可能性があります。
そこで成瀬は、鬼怒川の荷物にドラッグを忍ばせて南米のとある国行きを手配しました。
そこはドラッグの取り締まりが厳しい国で、空港にドラッグを持ち込もうとする人間がいると通報します。
これで鬼怒川は捕まり、筒井ドラッグのことを忘れるまでそこにいてもらうつもりです。
おまけ『海には、逃がしたのと同じだけのよい魚がいる。』
文庫化記念のボーナス作品。
響野と祥子が経営する喫茶店の常連客・磯原の話。
ある日、磯原は祥子がサービスで出したコーヒーを飲んだ代わりに、過去の失恋話について話します。
相手の女性は磯原が別の女性といるところを目撃し、浮気だと勘違い。
その誤解が解けぬまま別れて、今日に至っています。
その前日、喫茶店に磯原の別れた彼女・友里絵が訪れます。
磯原は気が付いていませんが、彼が訪れた薬局の店員が友里絵だったのです。
友里絵は彼に気が付き、彼がここに入るところを見て立ち寄ったのだといいます。
磯原とよりを戻すつもりはないけれど、浮気は自分の勘違いなのではと思い始めていました。
また再就職が決まり、明日には関西に向かう予定です。
そこで祥子は持ち掛けます。
もし明日までに磯原の無実が証明できたら会ってみないかと。
そして、友里絵が関西に旅立つ当日。
まず成瀬が磯原に嘘がないことを確かめると、雪子の運転で駅に到着します。
駅では久遠に入場券をもらい、ギリギリ友里絵と再会することができました。
二人は誤解を解き、共に頑張ろうと励まし合う中、不意に友里絵が泣き出してしまいます。
磯原は慌ててハンカチを探す中、誰かとぶつかり、気が付くとハンカチを握っていました。
ぶつかったのは久遠です。
なんとか磯原は成長した姿を友里絵に見せることができ、旅立つ彼女を見送るのでした。
その二日後、喫茶店でこの時のことを祥子に報告する磯原。
一つだけ気になることがあり、それは磯原が行くはずだったクレーム対応でした。
しかし、代わりに行ったのは響野で、あまりに騒がしかったためクレームを入れたお客が根負けし、もうあの社員をよこさないでくれと問題は解決したのでした。
おわりに
それぞれの短編がパズルのピースのように一つずつ本編に繋がっていくのが楽しい作品でした。
あと、成瀬への絶対的な信頼感がさらに増した話でもあります。
どこまでも話を先読みしているので、彼がいれば安心だという気にさせてくれます。
一方、響野と久遠の組み合わせは基本的にトラブルに巻き込まれるので、読んでいてハラハラしました。
雪子は前巻のことをいまだにいじられていて、いつまでもこの役なのだろうと可哀そうに思いつつも、終始楽しませてもらいました。
物語がどこに着地するのか全く予想できませんが、できるだけ彼らの活躍が長く読めることを願っています。
次の話はこちら。
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