『わたしの幸せな結婚 七』あらすじとネタバレ感想!
美世と清霞、ついに祝言――
様々な困難を乗り越えて、ついに迎えた祝言の日。
美世は朝から気が気ではなかった。
前日に緊急の呼び出しがあり仕事に向かった清霞が、婚礼のはじまる時刻が近づいても帰ってこないのだ。花嫁衣装に身を包み、
「誰よりも私が、明日を心待ちにしている」
という清霞の言葉を信じて待つ美世。
けれどその裏では、五道と深い因縁のある強力な異形の影が動いていた。
少女があいされて幸せになるまでの物語は、婚礼を迎え、幸せな「家族」の物語へ――。
Amazon商品ページより
シリーズ第七弾となる本書。
前の話はこちら。
最大の障壁を超え、ついにタイトルの回収に入ります。
もちろんその前にひと悶着あるわけですが、それも約束された幸せの前座だと思えば、違った楽しみ方ができるのだから不思議です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
晴れの舞台
待ちに待った清霞と美世の結婚式。
美世は美しい装いでその時を待ちますが、肝心の清霞の姿がありません。
清霞は今回の結婚を機に軍を辞め、美世との時間を大事にすることを決めていました。
その引き継ぎをしていましたが、とある事件に巻き込まれてしまいます。
勉強会
結婚式より遡り、美世は葉月とともに料理の勉強会に参加します。
清霞との結婚が発表されたので、美世は参加している女性たちから祝福の言葉をもらいますが、そこで知った名前を目にします。
その人は長場君緒といい、小学校の時、美世の同級生だった女性でした。
君緒は美世を祝福した後、新婚向けのおまじないを教えてくれます。
それはとても幸せを願うような内容ではありませんでしたが、美世はありがたく受け取ることにします。
しかし、それは幸せを願うこととは逆のものであり、それによって清霞と美世の関係が微妙にギクシャクするようになります。
相談
ある日、清霞は上官の大海渡から相談されます。
異形絡みの案件で、元々の相談者は長場家、つまり君緒とその夫からでした。
長場家には異形のものが取り憑いているという話で、軍の上層部と関係を持つ長場家の相談を無下にはできません。
君緒は清霞に気がある様子ですが、彼はそれを一刀両断し、異形に関する相談だけを粛々とこなそうとします。
ところが、調べると長場家から危険な呪物が見つかり、清霞も出動することになりますが、これが二人の結婚式に大きな影響を及ぼします。
感想
先の長い幸せ
大きな障壁を乗り越え、阻むものがなくなったように見えた二人ですが、まだまだ先は長いです。
美世は清霞の名前を呼ぶことすらいまだできず、清霞が関係を先に進めようとすると想いが溢れてしまって自分の感情をなかなかコントロールすることができません。
いかに奥手な二人であっても、これはじれったいを通り越してやりすぎ、と思うかもしれません。
しかし、こうなることは一巻から分かっていたことであり、これを貫くことこそが本シリーズの価値なんだと思いました。
そういった意味で読むと、何の障害がなくとも二人がいるだけでドキドキして、一歩踏み出すだけでも感情が溢れてしまうことに、計り知れない幸せを感じました。
これこそ幸せ結婚です。間違いありません。
因縁の相手
軍を去る予定の清霞ですが、ここで彼だけでなく、多くのものにとって因縁の相手となるものが登場します。
盛り上げ方として、これ以上の舞台設定があったでしょうか。
その後のグランドフィナーレに向けての素晴らしい助走となりました。
この出来事があったからこそ清霞と美世は自分たちの思いに素直になれたわけで、良いメリハリだったと思います。
またその後、清霞や美世と関係した多くの人たちとのやり取りがあるわけですが、ここまで辿り着いたのだという深い感慨があり、これ以上ないほどの充足感に包まれました。
おわりに
タイトルをまさに表現した一冊でした。
約束された結末であっても、その過程を彼らと共に歩むことに意味がある。
そう思えた道のりで、最後まで清霞と美世の幸せそうな様子が微笑ましくて、心が満たされていくのを何度も感じました。
次の話はこちら。
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