『わたしの幸せな結婚 六』あらすじとネタバレ感想!
身に覚えのない罪で投獄された清霞。
彼と離ればなれになった美世は、清霞を助けるために一人で軍本部へと向かう。
しかし目的地に着いたその時、彼女の袖を引く者がいた。
振り返った美世が見たのは、清霞そっくりの美少年。彼は清霞の式だという。
式に強引に連れ帰られた美世は、薄刃の家で態勢を調えて出直すことを決める。すべては清霞と再会するため、美世は自力で道を切り開いていく。
そして迎えた甘水との決戦は――。これは、少女があいされて幸せになるまでの物語。
Amazon商品ページより
シリーズ第六弾となる本書。
前の話はこちら。
前巻では意気消沈するような展開になってしまいましたが、ここからは巻き返しのパートです。
美世の成長とともに、これまでの清霞・美世とは違ったドキドキも味わえたりして、相変わらず見どころは多いです。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
牢獄
清霞は前巻の最後に捕らわれ、現在は牢獄に入れられています。
身に覚えのない罪ですが、美世たちを守るためには従う以外に選択肢はありませんでした。
自由を全て奪われていますが、清霞は事前にとある術を用意していて、それを発動させます。
会えない美世のことを想いつつも、彼女の成長を感じていました。
協力者
美世は誰にも相談せず一人で清霞を助け出そうとしてました。
彼女自身、いかに無謀なことか分かっていましたが、軍本部に辿り着く前に止められてしまいます。
相手は十歳にも満たない、けれど清霞に似た少年でした。
彼は清霞の式だといい、いかに無謀なことかを美世に説くと、味方を作るようアドバイスします。
その味方として選んだのが薄刃家でした。
過去
薄刃家で義浪と会い、甘水直という男の人生について聞きます。
直は幼い頃から手が付けられないほどの男で、暴力や小動物の殺生など、大人でも手を焼いていました。
そんな中、直のことを受けいれていたのが美世の母親である澄美でした。
世話焼きな澄美に対して直は次第に心を開き、やがて依存していきます。
いずれは二人が結婚し、薄刃家を率いていくのだろうと誰もが思っていましたが、そこに帝が干渉してきて、直の人生が狂い始めます。
感想
それぞれの正義
多くの作品でそうですが、誰がどう見てもという明らかな悪はまず存在しません。
一見、悪に見えても、相手側から見れば正当な理由があり、それを邪魔する相手こそが悪に見えます。
本書における甘水直もそうで、彼の過去を知ることによって、彼が決して私利私欲のために今回のような騒動を起こしているわけではないことが分かります。
もちろんそれで正当化されて良いものではありませんが、物語の味わいが増すようでした。
美世の成長
冒頭、清霞が予想していたように、美世は一人でも清霞を助けようと行動に移します。
シリーズ最初の彼女からは考えられないような行動であり、これは明確な成長です。
しかも行き当たりばったりでその先のことを何も考えていないのですから、普段の慎重な彼女とのギャップがすごいです。
清霞はそれをあらかじめ予想して行動していたため、今回の逆転劇に通じたわけで、美世の成長をしっかり織り込んでいたあたり、彼の成長でもありました。
人に全く興味がなかった清霞が相手をしっかり見て、それを頼りに行動するあたり、お互いに成長している姿は夫婦に向かって歩む道として相応しいと感じました。
おわりに
清霞・美世の関係や、異能にまつわる話のとりあえずの集大成として、十二分な一冊でした。
そして、次巻はお待ちかねの、二人が正式に結ばれる話です。
もちろんそう簡単にはいかないのが創作ですが、それもまたぜひお楽しみください。
次の話はこちら。
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