ライトノベル

『安達としまむら 9』あらすじとネタバレ感想!脇役にもスポットライトがあたる第9弾

安達と出会ってからの一年が割と濃いから、過去が遠くなっているのを感じる。良くも悪くも、安達は印象的なので他の記憶を上書きしてしまう。わたしはいつか、安達との過去だけで埋め尽くされるのかもしれない。私には思い出というものがおよそ欠けている。そして、私には今にしかしまむらがいない。少なくとも、今この時は。一年前はまだちゃんと覚えていて、そこにある。だから昔じゃない。私は、いつかしまむらと過去を過ごせるだろうか。安達と出会う前のしまむらと、しまむらと出会ってからの安達。少しずつ何かが変わっていく。そんなお話。特別編の第9巻。

「BOOK」データベースより

アニメ化され、注目度が上がったところで発刊された本書。

TVアニメ「安達としまむら」公式サイト

現在というよりも主に過去に焦点が当てられ、どういった積み重ねがあって今があるのかが分かる内容になっています。

あと、普段あまり描写のない永藤や日野、しまむら母と安達母も描かれているので、かなり新鮮な気持ちで読むことが出来ました。

あとイラストのテイストが変わって驚いた人もいるかもしれませんが、9巻からアニメのキャラクターデザインを担当している金子志津枝さんが担当しています。

金子志津枝 Twitter

とても可愛らしい絵を嬉しく思いつつも、のんさんのイラストでないことに喪失感を抱いているのは僕だけでしょうか。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

一章『ヤング島抱月』

しまむらは学校からの帰り道、中学のバスケ部の後輩と偶然出会い、性格が丸くなったことを驚かれます。

帰宅後、ヤシロと話していたしまむらは、中学生の頃の自分を振り返ります。

集団で誰もが同じようにいることに違和感を抱き、その中から抜け出したしまむら。

不良というほどではありませんが、周囲から浮いていたことには違いなく、最近のしまむらからは感じられない尖った部分を見ることが出来ます。

二章『AKIRA』

日野『昌』の過去の話。

日野家は名家であることはこれまで言及されてきましたが、ちょっと複雑な家庭であることがここで描かれます。

日野が中学一年生の時、『日野家を残す上で日野は重要でない』と父親に言われ、その真意が分からずにいました。

日々にどこか窮屈さを覚え、日野は母親の親友であり長年お手伝いさんをしている江目(えのめ)に家出をしたいと相談。

すると江目は家人に許可をとった上で家出を了承し、永藤を連れて三人で海に向かうのでした。

三章『TAEKO』

永藤『妙子』の保育園時代の話。

日野との出会いが描かれます。

普段ぼんやりしている永藤ですが、彼女視点で見ると意外と考えていることが分かってちょっと驚きです。

あと、両親が永藤のことを全く信用していないところが彼女らしくておかしかったです。

四章『テンペスト~桜花聖誕帖』

安達としまむらが過ごす二度目のクリスマス当日。

しまむらが夜は家族で過ごすということで、二人は昼間に会うことに。

安達はあれこれ悩んだ末、一年前のクリスマスも着たチャイナドレスを選びます。

今回は借り物ではなく自分で買った私物ですが、そこは問題ではありません。

一方、しまむらは母親から安達を夕飯に誘うよう言われていました。

五章『割り切ってない関係ですから』

しまむらの誘いを受け入れ、安達としまむらはしまむら家に帰ります。

しまむらの両親、妹、ヤシロを加えて夕食が始まりますが、そこにしまむらの母親の友人なる人が現れます。

なんと安達の母親でした。

二人は同じジムに通っていて、しまむらの母親から声をかけて連絡先を交換していたのです。

ちなみにしまむらの母親は良香、安達の母親は赤華(あつか)といいます。

その場にいるほとんどの人が違和感を抱く中、クリスマスの夜が始まりました。

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感想

脇役たちの意外な一面

不安定なメイン(というか安達)に比べて、安定した仲の良い関係で作品を支える日野と永藤ですが、その関係に至るまでの過去が本書にて描かれます。

出会いから今の関係になるまであっという間でしたが、長い関係の中に色々あったことが分かります。

安達としまむらが二人だけの世界で閉じないためにやはり二人は必要で、魅力的であることを再確認できました。

それから、良香と赤華の掛け合いが必見レベルで面白かったです。

どちらも娘に似ていますが、良香はしまむら以上に自由奔放で、赤華は安達以上に辛辣ですが決してコミュニケーション能力が低いわけではありません。

話が噛み合わないように見えて相性は悪くなさそうで、やりとりに年齢からくる経験値を感じました。

安達としまむらにはないもので、これからも定期的にぜひとも描いてほしい二人でした。

主役二人は控えめ

脇役がメインに描かれるエピソードが多い一方で、安達としまむらはいつもよりも描写が控え目です。

しまむらは自分のエピソードもありますが、中学生時代の話なので直接安達に繋がることはありません。

あと、クリスマスにしても恋人となった甘さは控え目で、それよりも安達母娘のやりとりがとても印象的でした。

何か話したいのに、うまく言葉にできない不器用な母と娘。

それがほんの一歩ですが前に進めたやりとりで、思いがけない感動がありました。

それだけで安達としまむらの甘さが控えでも問題ないと思える内容でした。

おわりに

アニメ化に当たってか、過去を振り返って今を確かめるような内容でした。

改めて完結まで読み続けたいと強く思える内容で、安達としまむらだけで成り立っている作品でないと確認できたことが大きな収穫でした。

アニメに関して、第一話の時点では可もなく不可もなくでしたが、大好きな作品なのでとりあえず追いかけたいと思います。