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『失はれる物語』あらすじとネタバレ感想!切なさに希望が見える短編集

harutoautumn
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目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見たて、日々の想いを演奏で伝えることを思いつく。それは、永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが……。表題作のほか、「Calling You」「傷」など傑作短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」、書き下ろし「ウソカノ」の2作を初収録。

Amazon商品ページより

乙一さんの作品である本書。

彼の作品はこれで二作目で、どんな作品なんだろうとワクワクしながら読み始めました。

表紙やタイトルから、どちらかというと切なく悲しい作品をイメージしていて、確かにその側面もありました。

その一方で、切なさの裏には生きる希望が込められていたり、コミカルでユニークな作品もあったりと、非常に振り幅の大きい短編集となっています。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

Calling you

高校生のリョウは携帯を持っておらず、おそらく自分だけが持っていないことにコンプレックスを抱いていました。

部活にも入っていなければ、友人もいない。

そんなリョウは頭の中で自分の携帯を想像して遊ぶようになり、いつしか頭の中のそれをまるで存在するかのように感じられるようになりました。

ある日、リョウは携帯が鳴る音を聞きますが、それは頭の中の携帯の音でした。

ありえないと思いつつも携帯に出ると、電話口の向こうから若い男性の声が聞こえます。

失はれる物語

主人公の男性は、妻と娘と幸せに暮らしていましたが、ある日から妻との間で諍いが多くなっていました。

そんなある日、車で通勤途中に事故にあい、右腕の肘から先以外の感覚を全て失ってしまいます。

何も感じられない、真っ暗な世界。

唯一感じられるのは、右腕に触れるものの感触だけでした。

妻は主人公の右手を通じて意思疎通をとれるようになり、やがて彼の右腕を使ったピアノの演奏をするようになり、主人公の真っ暗な世界に音があふれ出します。

オレは父親につけられた背中の痣をクラスメイトに馬鹿にされ、相手に大怪我を負わせます。

その結果、精神的欠陥のおそれがあるとされ、特殊学校に入れられます。

そこではオレに悪意を向ける人はおらず、居心地の良い場所でした。

オレは特殊学校でアサトという男子と知り合い、仲良くなります。

そこでオレはアサトに不思議な能力があることを知ります。

それは、他人の傷を自分に移し替えるというものでした。

手を握る泥棒の物語

俺は時計のデザインを仕事にしていましたが、業績は芳しくなく、お金に困っていました。

久しぶりに会った伯母が大金を所持していることを偶然知った俺は、それを奪うことを考え、行動に移します。

伯母は宿に泊まっていて、映画の撮影を見物に来ていました。

その隙をついて、俺は宿の壁に穴を開け、そこからお金を盗もうとします。

しかし、そこでつけていた腕時計が外れてしまいます。

それは俺がデザインした世界で一つだけの腕時計で、そのままにすれば彼が犯人であることを証明してしまいます。

そこで俺は腕時計を探し、あるものを掴みますが、それは伯母とは違う女性の腕でした。

しあわせは子猫のかたち

ぼくは伯父の所有する家で一人暮らしを始めます。

そこでは以前の住人だった女性が亡くなっていて、彼女の所有物がそのままになっていました。

ぼくは気にせず暮らしますが、家には前の住人の飼い猫がいて、一緒に暮らすことになります。

予想外のことはそれだけではありません。

ぼくが何もしていないにも関わらず、誰かがいる気配があり、やがて前の住人である雪村という女性が死後もここにとどまっていることを知ります。

ボクの賢いパンツくん

小学生のボクのはく白の白ブリーフは、なんと話すことのできるパンツくんでした。

という話。

マリアの指

僕は、鳴海マリアの死と遭遇します。

マリアは僕の姉の元同級生で、小さい頃に面識がありました。

彼女は特別で、何をするにも周囲の人間が振り返る、そんな女性でした。

僕はある日、マリアが死んだ場所の近くで、彼女の指を見つけます。

そこから僕はマリアの一件に巻き込まれていき、驚くべき真実にたどり着きます。

ウソカノ

僕には安藤夏という彼女がいました。

それをクラスメイトたちに伝えていましたが、彼には誰にもいえない秘密がありました。

それは、安藤夏という彼女は存在しないということです。

感想

多彩な短編集

短編集は基本的に、同じジャンルの作品を集めたか、特にテイストにこだわらずに集めたかの二パターンがあると僕は思っていて、本書はどちらかというと前者にあたります。

ジャンルでいえば青春、ミステリ、ちょっとしたファンタジーなど、これだけ見れば雑多な印象を受けます。

しかし作品を読んでみると、どの作品にも生きることに何か辛さ、切なさを感じている人物が登場し、そこに共通点を見出すことができます。

そして、もう一つ。

本書はその悲しさを乗り越え、生きる希望を提示してくれます。

それは生き続ける強さになることもあれば、ほんのわずかで何の足しにもならないと感じる時もあります。

それでもその気持ちに辿り着くまでの描写は丁寧で、読んでいるうちに気持ちが洗われていくのを感じました。

物語の細部まで丁寧に描くその作風は、非常に僕好みでした。

『マリアの指』がオススメ

どの短編が一番オススメか決めることはなかなか難しいですが、僕は『マリアの指』を推します。

せっかくミステリ以外の作品もあったので、他のジャンルの作品を選ぼうと思ったのですが、一番印象に残ったのがこの話です。

はじめは、どこか遠いところにあった姉の同級生死亡の事件。

それがページをめくるごとに近づいてきて、やがて自分で謎を解決できる距離まで迫ってきた時のドキドキは格別でした。

丁寧にヒントが散りばめられ、読者が十分に推理できる難易度。

それでいて、真実が分かった上でも結末には感じるものがあり、これこそミステリの醍醐味だなと、もう大満足です。

おわりに

これは乙一さんの作品を片っ端から読まないといけない。

そう思えるくらいに丁寧で、素晴らしい作品でした。

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