金井美恵子『兎』あらすじとネタバレ感想!濃密でクールな幻想小説
僕の好きなポッドキャスト(謎解き!ハードボイルド読書探偵局)で紹介されていた本書。
どれも濃密で、それでいて感情的ではないクールな文章で、幻想小説があまり得意でない僕でもかなり楽しめました。
今の時代ではまず生まれない作品なので、一読の価値ありです。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
愛あるかぎり
男とAという女性が一緒に暮らしています。
Aは看護婦(今の看護師)として男の身の回りの世話をしますが、その中で二人はお互いのうちに同じものがあることをかぎつけます。
こうして二人は、お互いの恋人について語り始めますが、それは異常なほどの依存関係でした。
不滅の夜
彼女は五月にもかかわらず暑い夕方、散歩をしています。
途中で、あなたという存在がいて、彼女はその名前を忘れていることが分かり、不滅という言葉が何度も繰り返されます。
帰還
彼女が駅に着くと、見知らぬ若い男が迎えてくれます。
男は彼女の夫について話しますが、彼女に夫などいません。
悪い冗談に聞こえますが、男は彼女のプライベートな情報を知っていて、ますます分からず、二人は彼女の家に向かいます。
恋人たち
女性は一人の男を愛していました。
しかし男は乱暴で、女性の愛になど気が付いていませんでした。
それから五十年が経ち、男がいないところから物語が始まります。
森のメリュジーヌ
ぼくは女性と一緒に暮らしていましたが、彼女は夜中になるといなくなってしまうことがありました。
女性は、自分の全てを知りたいと思わなければこの時間は永遠に続くと謎めいたことをいいますが、ぼくは彼女のことをもっと知りたいと思います。
その結果、ぼくは女性を失い、それを取り戻すために動くことになります。
腐肉
ぼくと彼女の話。
ぼくは、毎晩男たちがやって来るという彼女の部屋を訪れますが、すぐに飛び出してしまいます。
そこで何があったのか、それが明かされていきます。
母子像
私は父親を愛していました。
ずっと昔からで、年頃になっても他の男には見向きをしないほどの異常性。
それが私の言葉で語られます。
血まみれマリー
学校嫌いのマリーは、夏休みをどうにかして長引かせたいと考えていました。
足の一本くらい切ることなんて何ともないとすら考える彼女は、計画を実行に移します。
忘れられた土地
忘れられた土地、と呼ばれる広大な原野があります。
かつてその土地含めて巨大な王国があり、忘れられた土地に関する過熱した夢想が広まっていました。
耳
少女はある町に到着します。
雨が降りしきる中、今度から住む家に向かいます。
海のスフィンクス
僕は十二歳になり、夏休みに一人旅をします。
島で不幸な空想に浸り、思い思いの時間を過ごしていましたが、一人の少女の出会いが彼の状況を変えます。
山姥
何をするにも早すぎる年齢というものがある。
そんな意味深な言葉から本作は始まります。
迷宮の星祭り
彼女は客をとり、金銭に従って彼らは彼女を自由にする権利が与えられます。
彼女から見ると男たちに顔はなく、だからこそ誰でも愛することでき、同時に愛してもいませんでした。
降誕祭の夜
彼女は昔、好きだった男から香水をもらったことがありました。
生まれてはじめてのプレゼントであり、彼女にとって思い出深いものでした。
兎
食べて眠ることに重きを置く父親。
家族はそんな彼を軽い軽蔑のこもった目で見ますが、あたしは父親の考えに賛成で、様々な料理を食べます。
そして、その行為は次第に常軌を逸してきます。
感想
ドキドキする
僕はポッドキャストで事前に『兎』だけ知っている状態で読みました。
とにかくドキドキすることが多かったです。
性的な部分もそうだし、血が流れる描写も多いし、僕の考えや常識ではどうやっても理解できないことが多すぎる。
幻想小説は読みたいのに得意ではないという不思議な僕ですが、本書は思いのほかスラスラ読めて、作品の持つ魅力を強く感じました。
至って冷静な文章
上述した要素は小説としてエモーショナルな印象を受けるかもしれませんが、本書は一貫してクールです。
事実を淡々と描いていて、一般的な考えでは推し量れないことでも当たり前のように書いているところに強さを感じました。
幻想小説はいかに読者を自分のフィールドに引き込めるかが勝負だと思っているので、その点において本書は確固とした世界を持っていて、読者を問答無用で引き込むことに成功しています。
もっとバリエーションがあっても良い
全体的に満足していますが、しいて欲をいうのであれば、もっと物語のバリエーションがあっても良いと感じました。
十五の短編が収録されていますが、男女がいる中での女性視点での作品が多く、べたついています。
それが面白いのですが、繰り返し読むともっと違うテイストのものが欲しくなるのが人間というもので、途中で飽きがくることもありました。
もし飽きて読み進めることが難しいという人は、短編を好きな順番で読み進めるのも手です。
印象が薄れた頃に似たテイストに戻ると意外に読めたりするので、お試しください。
おわりに
世の中にはまだまだ名作がある。
過去の知らない作品は新作だ。
そんな希望を感じられる作品で、時代を感じる日に焼けたページを見るだけで、ノスタルジーでいっぱいでした。
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