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東野圭吾『透明な螺旋』あらすじとネタバレ感想!ガリレオの秘密が明かされるシリーズ第十弾

harutoautumn
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シリーズ第十弾。最新長編。
今、明かされる「ガリレオの真実」。

房総沖で男性の銃殺遺体が見つかった。
失踪した恋人の行方をたどると、関係者として天才物理学者の名が浮上した。
警視庁の刑事・草薙は、横須賀の両親のもとで過ごす湯川学を訪ねる。

「愛する人を守ることは罪なのか」
ガリレオシリーズ最大の秘密が明かされる。

Amazon商品ページより

ガリレオシリーズの第十弾となる本書。

前の話はこちら。

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ガリレオの秘密という大きなテーマが掲げられ、本書でシリーズが大きな節目を迎えたことを実感させてくれる内容になっています。

詳細は後述しますが、本書について賛否が分かれることが予想されます。

ぜひその目で確かめ、自身で評価してもらえるとありがたいです。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

転機

島内園香に父親の記憶はなく、ずっと母親の千鶴子と二人暮らしでした。

しかしそのことに不満はなく、母娘で助け合いながら幸せでした。

そんなある日、千鶴子はくも膜下出血で倒れ、そのまま亡くなってしまいます。

動転した園香が頼れるのは、生前千鶴子が実の親のように慕っていたナエさんという人物だけで、ナエさんのおかげでなんとかその場はしのぎます。

千鶴子がいなくなって園香の生活は不安だらけでしたが、そんな時、彼女の働く生花店を訪れた上辻亮太と交際することになります。

上辻は園香の不安を幸せで塗りつぶしてくれる存在であり、再び幸せな生活を手にできるはずでした。

事件

南房総沖で漂流している遺体が発見され、遺体が上辻であることが判明します。

遺体には背後から撃たれた痕跡があるため自殺の可能性は低く、他殺だと考えられます。

草薙や内海は彼の行方不明者届を出した園香に事情を聞こうとしますが、彼女とは連絡がとれず、休職中で行方が分からなくなっていました。

周囲の人間からは園香が上辻からDVの被害を受けていたと声が挙がり、有力な容疑者として捜索することになりました。

意外な繋がり

聞き込みから、警察は園香と親しい人物としてナエさんにたどり着き、彼女が絵本作家のアサヒナナで、本名が松永奈江であることを突き止めます。

しかし奈江とも連絡がとれなくなっており、草薙たちは彼女が園香を匿っている可能性があるとして捜索を続けます。

そんな中、意外なものが発見されます。

奈江の絵本には参考文献が記されていて、その中の一冊の著者が湯川だったのです。

草薙は湯川の名前に驚き、そちらの方面からも奈江のことを調べますが、湯川は思わぬ形で事件に関わるようになります。

感想

テーマは血縁

ガリレオシリーズの記念すべき第十弾となった本書では、血縁が一つのテーマになっています。

事情があって子ども手放さなければならなくなった親が描かれ、それから事件が起きる。

冒頭に描かれたシーンに事件がどう関わってくるのかが問題であり、読者はそこを湯川や草薙と共に考えることになります。

また本書には湯川の両親が登場し、物理学者ではない、湯川学という一人の人間が多く描かれています。

アメリカでの経験のせいか、もしくは年齢を重ねた結果か。

湯川の言動や行動には以前よりも人間味が増し、以前の彼からは想像もできないようなことをしてくれます。

月日を感じさせる変化はシリーズものの醍醐味の一つであり、そこを楽しめるのはシリーズを長年追って愛してきたファンの特権だと思います。

記念すべき十作品目ということもあり、感慨深いものを感じながら読むことが出来ました。

シリーズの必然性があったのか

僕が読んでいて一番思ったのが、この事件をガリレオシリーズとしてやる必要があったのかということです。

ノンシリーズものとして考えれば、本書は東野圭吾さんの一作品として楽しめたと思います。

しかしガリレオシリーズの第十弾として考えた場合、そう評価することはどうしてもできませんでした。

湯川学が事件に関わる場合はそこに彼が関わるべきトリックがあるからであり、物理学者としての湯川の力が必要だからこそそこにガリレオシリーズの魅力が生まれます。

ところが、本書の事件にそういった要素は薄く、どちらかというと事件そのものよりもその裏に隠された人間関係に焦点が当てられています。

ミステリとしてそれも一つの面白さではありますが、ガリレオシリーズとしてやる必要があったのかと考えると、今でも納得できない自分がいます。

正直、湯川や草薙、内海といったこれまでシリーズを支えてきた魅力的な登場人物がいなければ、本書はもっと平凡な作品に思えていたかもしれません。

もっといえば、登場人物の魅力も引き出せていたとは言い難く、彼らの名前を借りた誰かと言ってしまっても通ってしまうかしれない。

そういう内容でした。

シリーズをずっと追いかけてきたのでこれからも続編を楽しみにしていますが、本書が映像化されるのだけは避けてほしいと切に願っています。

おわりに

文庫で『沈黙のパレード』を読んで最高に面白かっただけに勝手に失望してしまい、つい辛辣な言葉が多くなってしまいました。

ただガリレオシリーズを愛する気持ちはなくなっていないので、次作にこそ期待したいと思います。

ここまで書いておいてなんですが、シリーズをこれまで読んできた人には僕の書いた言葉を鵜呑みにせず、自身の目で見て本書の評価をしてもらえたら嬉しいです。

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