東野圭吾『卒業』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。ある日、祥子が自室で死んだ。部屋は密室、自殺か、他殺か?
Amazon内容紹介より
心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?
加賀恭一郎シリーズの記念すべき一作目となる本書。
加賀がまだ学生ということもあり、刑事とは違った視点から事件を追うのが新鮮でした。
これから本シリーズを読む人は本書から読むことをお勧めしますが、途中から読み始めた人にもぜひ読んでほしい一冊です。
この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
殺人事件
加賀恭一郎は国立T大学の四年生で、卒業を五か月後に控えていました。
加賀がいつも一緒にいるグループのうちの一人、牧村祥子が体調を崩していると話を聞き、友人の相原沙都子は様子を見に祥子の住む『白鷺荘』を訪ねます。
白鷺荘に住む金井波香と共に祥子の部屋を訪れると、鍵は閉まっていますが明かりついていて、沙都子は嫌な予感を覚えます。
管理人に合鍵で開けてもらうと、中には左手首から血を流して死んでいる祥子がいました。
カミソリが落ちていて密室だったことから、自殺だと思われました。
祥子は日記をつけていましたが四日前から止まっているため、四日前に何かがあったのだと警察は考えます。
恋人の藤堂正彦と何かあったのか、夏の講座旅行で知り合った男たちとの間に何かあったのではないか、など噂が飛び交いますが、本当のところは誰にも分かりませんでした。
犯人候補
白鷺荘は管理人が厳しいことで有名で、住人以外の出入りは確認されていないことから住人が犯人候補となります。
しかし後に住人の手引きによって頻繁に住人以外の人が出入りしていることが判明したことから、住人以外でも犯行が可能であることが判明します。
不審な行動
事件の追う中で、波香が色々な人に話を聞いて回っていることが分かりました。
変な質問も多く、それはまるで犯人を捜しているような内容でした。
雪月花之式
沙都子や波香、祥子は高校時代に茶道部に所属し、恩師である南沢雅子に祥子の死を報告。
後日、雅子の誕生日を祝うために沙都子、波香、若生勇、若生の彼女の井沢華江、藤堂で雅子の家を訪れます。
そこで六人は『雪月花之式』と呼ばれる、いわゆるクジ引きゲームをします。
茶を飲む者、菓子を食べる者、次の茶を準備する者などを、カードを引いて決めるというものです。
ゲームが進む中、突然、波香が痙攣を起こしそのまま死んでしまいます。
警察が調べた結果、青酸中毒であることが判明します。
加賀は当時の状況を聞き、波香の飲んだ茶を立てた沙都子であれば毒を入れることができると客観的に推理した上で、沙都子のことは信用できると除外。
そうすると波香を狙って毒を盛ることは難しく、無差別、もしくは自殺ということになります。
自殺の理由として、剣道の大会で波香が負けたことが挙げられました。
しかし試合結果に違和感を抱く人も少なくなく、波香の父親はあの試合は八百長だとコメントしています。
八百長
その後の警察の調べで、波香の化粧水の瓶から砒素が検出されます。
しかし、波香の死因は青酸カリであり、その用途は不明なままです。
加賀は推理が片付かない中で剣道の大会に出場しますが、試合中、不意に謎の一端が解けます。
波香は自分の負けた試合について、薬を盛られたと考えたのでは、と加賀は考えます。
波香の試合相手である三島亮子は、別の試合でも対戦相手が不調を訴えていて、その可能性は十分に考えられます。
波香の父親が八百長だといったのも、このためでした。
そう考えると、ここ最近の波香の不審な行動にも説明がつきます。
波香は亮子と関係のある人物を探し、誰が自分に薬を飲ませたのかを突き止めようとしたのです。
作為的
問題は他にもあり、加賀は雪月花之式で特定の人物に任意のカードを引かせることが可能だったのではと考えますが、その方法が思いつきませんでした。
そこで普段ろくに口も利かない父親・隆正に助けを求めます。
すると、隆正から驚きの答えが返ってきて、それを応用すれば波香に特定のカードを引かせることができることが分かりました。
あの時、波香の引こうとするカード全てが同じもので、どれを引いても良かったのです。
そのためには複数の花月札が必要になりますが、その後の調べで波香の卒業した高校の茶道部から花月札がなくなっていることが判明します。
しかし、ここで新たな問題が発生します。
もし上記の方法をとった場合、沙都子が共犯でなければ成立しません。
かといって、花月札は盗まれているので、何らかの操作があったのは確実であり、加賀はまたしても壁に阻まれるのでした。
おびき寄せる
しかし、加賀は諦めずに推理を続け、ある可能性に気が付きます。
そこで藤堂と同じ研究室の寺塚に協力を依頼し、とある金属でできたピエロの人形を作ってもらい、よくみんなで集まる『首を振るピエロ』というお店に置きます。
そしてクリスマスパーティーと題してみんなを呼び、反応を見ます。
すると人形に反応した藤堂が出ていったため、加賀は若生を連れて白鷺荘に向かいます。
暗がりの中、待っていると、とある人物が現れ、ライターの火で顔が分かります。
藤堂でした。
真実
加賀はこうなることが分かっていました。
アパートの窓ガラスの一部の鍵に形状記憶合金が使われていて、熱を加えるとロックが解除され、定温に戻ると再び鍵が閉まるという仕組みです。
藤堂は研究で形状記憶合金を使用していて、加賀はそこからこのことに気が付いたのでした。
鍵を取り換えたのは、いつでも祥子に会えるようにするためです。
これは二人だけの秘密でしたが、他にも知っている人物が現れ、それが波香です。
動機は分かりませんが、この鍵を利用して藤堂がアパートに入り、祥子を殺害。
鍵のことを知っていた波香は藤堂に自首を勧めますが、藤堂は雪月花之式の時に波香を殺害したのだと加賀は推理します。
雪月花之式において、何かをしようとしていたのは波香でした。そのための砒素です。
波香が砒素を飲ませようとした相手は、若生でした。
若生は就職で悩みを抱え、三島グループの令嬢である亮子から就職先の約束と引き換えに、波香に薬を飲ませるよう頼まれていました。
そこで若生は波香のスポーツドリンクに薬を混ぜ、内定を勝ち取ったのでした。
雪月花之式は途中までは波香が若生に砒素を飲ませる計画で、藤堂も事件のことを波香に黙ってもらうことを条件に協力するはずでした。
しかし藤堂はこの計画を逆手にとり、波香に青酸カリを飲ませたのでした。
青酸カリは茶を点てる茶筅(ちゃせん)に仕込まれていて、藤堂は警察に見つかり前に別のものにすり替えていました。
藤堂は加賀の推理に反論せず、卒業まで会わないことを約束してその場を後にします。
その後、藤堂は車で海に飛び込み、死亡したのでした。
手紙
藤堂が加賀に向けた手紙を書くシーンが描かれています。
その手紙が加賀に届くことはありませんでしたが、そこには加賀も知らない真実が隠されていました。
祥子の死は、自殺でした。
藤堂は血を流している祥子を目撃し、そのまま放置。
逃げようとしたところを波香に目撃され、黙っていてもらう代わりに波香の復讐に協力したのでした。
放置した理由ですが、藤堂はエリート志向があり、祥子がとある病気にかかっている恐れがあることが判明。
交際が人生のマイナスになると判断したからです。
その病気などについては、後述します。
沙都子の考察
沙都子はあれからも考え、祥子は自殺だったと判断。
祥子の自殺の原因について後日、沙都子は加賀に自分の考えを話します。
日記帳に、自殺の数日前から祥子が謎の発疹で悩んでいることが分かります。
祥子は夏の旅行で男と関係を持ち、そこで性病をうつされたのではと考えていました。
祥子はそのことを藤堂に打ち明け、病院で確認することなく、藤堂と別れる前に自殺したのでした。
結末
若生と華江の会話から、波香に薬を持ったのは華江であることが判明します。
華江は若生の就職先を得る代わりに実行に移したのでした。
結局、若生は内定先を辞退し、伝手で別の会社に勤めることになりました。
その会社では華江の両親を納得させることはできず、若生は華江との別れを選択します。
卒業式を終え、沙都子は就職で東京に出ることが決まっていました。
加賀は冒頭と同じく、今でも沙都子と結婚したいと思っていますが、それに対する回答はなく、お互いに残念だと口にして加賀が先に席を離れるのでした。
おわりに
初期作品ということもあり、現在の作品に比べると粗削りな部分が目立つ作品ではあります。
しかし、今の作品にも通じる加賀の姿がここに描かれていて、加賀恭一郎シリーズにとって必要不可欠な一冊であることは間違いありません。
次の話はこちら。
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