『その他の危険』あらすじとネタバレ感想!豪華作家陣で送る恐怖アンソロジー
恐怖はいつも、意外な場所からやってくる。
Amazon内容紹介より
ホラー小説界を牽引する若き才能たちが魅せる底知れぬ恐怖の巣窟。
普段の帰り道、見慣れた職場、親しい友達。ふとした瞬間、“危険”はあなたの前に訪れる。突然会社に来なくなった同期の行方、あり得ない死に方をしたパパ活相手、タワマンで起きる常識外の現象、現実を侵食する存在しないはずの子供の遊び、大好きな先輩に隠された猛毒、同級生が死んだ後に学校で出回った幽霊の噂。一度読んだら絶対に眠れなくなる恐怖のアンソロジー。
ホラーアンソロジーである本書。
何の前触れもなくやってくる危険が取り扱われ、それぞれの作家の強みを活かしたバラエティ豊かな一冊になっています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想などを書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
内容に入る前に、タイトルの意味について。
一次情報は見つかっていませんが、表紙の通り。道路標識の『その他の危険』からタイトルがとられていると思われます。
これは、一般的な「落石」「踏切」「道路工事」などの既存の警戒標識では分類できない、何らかの危険が前方にあることを知らせる標識です。
本書ではそういった既存の恐怖で分類できないものがホラーに昇華されています。
あらすじ
箱の中身はなんだろな【背筋】
人事部で働く富田は、部長の木島から同期で営業部の坂田が年末から会社に来ていないことを伝えられます。
事件性はないようですが、理由を調べる必要があり、白羽の矢が立ったのが富田でした。
しかも穏便に片づけてくれ、というオーダーつきで、会社側としても理由に思い当たる節がある様子。
富田は営業部の面々に聞き取りを行いますが、そこで思いがけない事実を知ります。
涸渇【斜線堂有紀】
私はパパ活をする女性を集め、彼女たちに仕事を斡旋することで報酬を得ていました。
集める女性を厳選し、決して自分は手を汚さない。
私は女性たちに指示を出し、時にメンタルケアを行いながらここまで順調でした。
ところがある日、多額の金を貢いでくれていたパパのツートンが死んだという知らせが入り、状況が一変します。
枯れた街の上でも【上條一輝】
上村は田舎で生まれ育ち、そのコンプレックスから懸命に努力し、東京での裕福な生活を手に入れました。
四十代で六本木のタワーマンションに住み、大手不動産の都市開発部長をしています。
ところがある日、家の中から不快な匂いがして、泥やコウモリの死体などあり得ないものが家の中から見つかります。
そんな時、上村はバーで便利屋で働く諏訪と知り合い、このことを相談することにしました。
まぎれ鬼【新名智】
ぼくはまぎれ鬼という古い子供の遊びを調べていました。
調査が進み、ついにまぎれ鬼に関係した廃神社を見つけ、実況中継を配信します。
しかし、これはすべてフィクションで、ぼくが考えたものでした。
とある映画のプロモーション企画で、視聴者にある程度ばれても問題がない範囲のことで、世間の反応は上々。
企画は上手くっているかのように思えましたが、思わぬ危険がぼくに迫ります。
したたりの宮【皮肉屋文庫】
崎島奈緒は先輩の加賀史織を慕っていて、彼女に恩を感じています。
しかし、奈緒に見せている史織は演技で、本当はそういったことが無理であることを史織は明かします。
彼女はそれを蛇の毒腺に例え、自分の胸の中にも毒があるといい、奈緒をとある場所に連れていきます。
そこは一部が廃墟と化した団地の、屋上の給水塔でした。
ブルーライト【梨】
私には涼という腐れ縁がいて、彼は自動車に撥ねられて亡くなります。
事故当時のことが描かれた後、涼がどのような人物だったのかが合わせて描かれます。
彼は廃部寸前の科学実験部に所属していて、帰宅部の私はたまに部室代わりの理科準備室に顔を出して彼と話していました。
回想するとともに、私のもとに亡くなったはずの涼から着信が入ります。
感想
予想できないホラー
本書はタイトルにある通り、定型通りの予想をしていてはどこから恐怖がやってくるか分かりません。
六作品で二〇〇ページもいかないため、ボリュームとしてはかなりスッキリしています。
それでいて読了感はずっしりとあり、このボリュームで満足させられるところに各作家の力量がうかがえました。
最近、様々なホラーアンソロジーが編まれているので、その流れの中で生まれた一作ですが、好きな作家さんがいればまず購入して間違いありません。
特にオススメ
個人的には斜線堂有紀さんの『涸渇』がオススメです。
これはシンプルに怖いです。
パパ活がテーマになっているので、パパあるいはパパ活をしている女性が恐怖の発生源かと思いきや、そう簡単な話ではありませんでした。
しかもタイトルの本当の意味が分かるのは中盤以降で、理解できてしまうと冒頭から恐怖が始まっていることが分かります。
どこからこのアイディアが浮かんだのだろうと、不思議でなりません。
私やパパ活をする女性たちのリアルな描写や心の動きも良いですが、アイディアという観点でも本書の中で群を抜いています。
おわりに
手頃な価格なので、色々なホラーを読みたい人にとってオススメです。
特に新しく登場した作家たちの作品は現時点でそこまで多くないので、それが読めるきちょな機会でもありますので、ぜひ手に取ってみてください。
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