『流星ワゴン』あらすじとネタバレ感想!父子の乗るワゴンで巡る旅の先にあるものは?
死んじゃってもいいかなあ、もう……。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして――自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか――? 「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。
Amazon商品ページより
重松清さんの作品である本書。
得意とする人の心を動かす感動はありつつ、そこに現実ではあり得ないようなファンタジー要素が追加され、他では味わえない読み心地になっています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
五年前
冒頭、五年前に起きた事故が提示されます。
三人家族が初めてのドライブでカーブを曲がり切れず、対向車線を走るトラックと正面衝突。
母親は一命を取り留めたものの、運転していた父親と息子は即死。
痛ましい事件ではありますが、赤の他人であればすぐに記憶からなくなる、そんな事件。
当時、三十三歳だった僕はこの事故を新聞で知り、ありふれた感想を抱きます。
これで終わりなのかと思いきや、この事故が僕と結びつきます。
転落
事故から五年後。
僕はひどく疲れていました。
父親はガンで、余命わずか。
そのため僕は月に数回、お見舞いのために東京と地元を往復していましたが、目的はその際にいつももらえるお車代でした。
僕はリストラにあっていて、転職猶予として半年間は一定金額のお金がもらえますが、その支給もあとわずかで終わります。
一方で転職活動はうまくいかず、お車代は今や貴重な収入源でした。
また家族関係は著しく悪化していて、良いことなんて一つもないように思えます。
そんなある日の夜、僕の前に一台のオデッセイが止まり、事故で亡くなったはずの橋本義明と、息子の健太が現れます。
お迎え
二人は僕に車に乗るよういい、車は僕を乗せて走り出します。
二人は事故で亡くなった時のままで、当時のことを何とも思っていないように話します。
僕のもとに現れたのは、僕が新聞で二人の事故のことを知っていたからですが、それだけではありません。
人生に絶望していたからで、二人は僕の事情を全て知っているどころか、これから起こるであろうことを予言者のように告げます。
僕は生きているのか、あるいは死んだから二人と会えたのか。
状況が分からないまま、朝になって一旦は二人と別れます。
しかし、その後も夜になると二人は現れてドライブに誘い、そこで僕は不思議な体験をします。
感想
ありふれた不幸
本書は感動作であることは間違いありませんが、死にたくなるような不幸をありふれたものとして平然と突きつけてきます。
若い頃であればフィクションだろうと鼻で笑ったかもしれませんが、今の僕は人間が簡単に不幸に転落できることを知っています。
しかも、本人が悪いことをしようがしまいが、関係ないことも。
だから本書の主人公の気持ちが分かるし、相手目線で考えると共感なんてできるはずない、と他者を拒絶したくなる気持ちも痛いほどよく分かります。
その後の旅も僕にとって苦しいことの連続で、感情移入しながら進める読書はなかなかしんどいものがありました。
ファンタジーの生み出すもの
本書では不思議な車が時空を超えて旅する、というとんでもなファンタジー要素を入れてきます。
それによって現実ではあり得ないシチュエーションが生まれ、人生を改めて見つめ直すきっかけを与えてくれます。
ここで一番良いと思ったのが、ファンタジー要素によって都合の良い結末が生まれなかったことです。
ここまでくれば何でもアリな状態で、望む幸せすら生み出せる状況にありますが、重松さんはそれを選択しませんでした。
あくまでファンタジー要素は主人公の気持ちを動かすきっかけに過ぎず、何かを変えるのは僕自身です。
ご都合主義ではない展開で、だからこそ生まれる感想がここにありました。
価値観の違い
本書で一番引っかかったのは、世代による価値観の違いです。
本書は二〇〇二年に発刊されていて、当時の価値観がベースになっていると思います。
僕の父親が暴力的で威張り散らすような、昭和的な父親像だというのは納得しながら読めました。
しかし、僕が良い父親風を装って、ただ都合の良い男であることが読んでいてしんどかったです。
本人にその自覚がないところもきつくて、若い人に本書を読んでもそこまで響かないかも?と感じたのも事実です。
当時だからこそ生み出せた作品であり、それゆえの長所・短所がはっきりしていて、たまに引っ掛かりを覚えてしまったことが少し残念でした。
おわりに
重松さんの作品は上っ面ではない、どっしりとした佇まいがあり、感情の動きに説得力があるところが好きです。
現在疲れている人にはキツイところもあるかもしれませんが、新たな気づきによる救いとなる可能性もあるので、興味があればぜひ読んでみてください。
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