『パプリカ』あらすじとネタバレ感想!現実と夢の境が曖昧になった先にあるものとは?
同名アニメ映画の原作。精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者・サイコセラピスト。だが、彼女にはもうひとつの秘密の顔があった。他人の夢とシンクロして無意識界に侵入する夢探偵パプリカ。人格の破壊も可能なほど強力な最新型精神治療テクノロジー「DCミニ」をめぐる争奪戦が刻一刻とテンションを増し、現実と夢が極限まで交錯したその瞬間、物語世界は驚愕の未体験ゾーンに突入する!
Amazon商品ページより
僕はアニメ映画の『パプリカ』にはまり、そこから本書に辿り着きました。
映画で見せたあの理解が到底及ばないとんでもない世界観をどうやって表現しているのかと思いきや、しっかり小説という媒体で表現していることに驚きました。
さらに小説にしかない要素もあり、SF好きにはたまらない名作です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
サイコセラピー
本書の舞台は、サイコセラピー(PT)の機器を開発している精神医学研究所です。
千葉敦子はPT治療の第一任者で、優秀なセラピストでもあり、ノーベル賞候補に挙がるほどです。
また画期的なPT機器を開発した時田浩作もまたノーベル賞候補に挙がっており、敦子含めて二人に注目が集まっていました。
敦子たちのPT機器を用いた治療によって分裂症患者の約三分の二が寛解期になるなど、目覚ましい成果をあげています。
しかし、同時に不安も抱えていました。
それは内部で敦子たちの活躍を快く思っていない人たちのことです。
具体的には副理事長の乾、小山内で、敦子はこの二人を警戒していました。
パプリカ
敦子は所長の島から呼ばれ、パプリカの出動を要請されます。
パプリカとは敦子のもう一つの姿で、精神に不安を抱える患者に対してセラピーを行う際に使用する名前です。
名前だけでなく見た目も化粧で大きく変えているため、敦子とパプリカが同一人物であることを知っている人はほとんどいません。
敦子は五、六年前を最後にパプリカであることをやめていましたが、今回は島の知り合いで社会的地位が高い人物であることから、敦子は仕方なく依頼を引き受けることにします。
相手は島の大学時代の親友・能勢という男性で、自動車メーカーで重役を務めています。
読者はパプリカのセラピーを通じて、精神疾患の考え方や治療法、彼女の魅力を知っていくことになります。
賛否両論
敦子や時田の研究は世間から大きな注目を集めています。
画期的な開発を称賛する一方で、その危険性を指摘する声も多くありました。
PT機器を使用して分裂症患者の夢にアクセスするということは、患者に同一化することではないか。
実際に研究所の人間が患者の分裂症に感染しているという情報を得ているという声も出ます。
これは本当のことで、敦子は乾か小山内あたりが流したのではないかと睨んでいます。
とりあえずは有耶無耶にしますが、悠長なことはしていられません。
敦子は頼りない島に代わって対策を考えようとしますが、事態の悪化はこれだけに留まりませんでした。
感想
解像度の高い世界
本書は精神医学を題材にした作品で、まだまだ偏見の多かった平成初期には書いたとは思えない多角的な視点から精神疾患について描かれています。
確かな土台にPT機器というSF要素が入り、まさしく現実と夢の境界線が曖昧になるような世界観を作り上げています。
特にすごいのが夢の描写。
誰もが思うことですが、夢で見た光景というのは言葉では言い表せないほど突飛なことが多いです。
本書はそれを言葉でしっかり表現していて、読んで起きていることを理解した結果、よく分からない。
夢というものを正しく、面白く描いているところが筒井康隆の地力の強さを感じさせてくれました。
パプリカの魅力
本書は主人公であるパプリカ、あるいは敦子を中心に回ります。
彼女自身は時田を愛していて、時田もまた直接表現することを恥ずかしがってますが、敦子のことを好きです。
しかし、敦子に対して純粋な愛情、あるいは歪んだ感情を抱く男性が多く登場します。
というか、登場する主要な男性はほとんどが敦子またはパプリカのファンです。
島ですら敦子の信者のようなもので、人間関係はなかなかドロドロしています。
そして、敦子も男女関係について案外緩く、夢の中とはいえそういった関係を許すこともあれば、向けられた暴力の中に快楽を見出そうとします。
この奔放さは今書いたら炎上しそうで、平成初期だからこそまだ許されたのでしょう。
僕はこういうの好きです。
人によっては注意が必要
本書は時代もあり、偏見の入った考え方が頻繁に登場します。
女性だからとか、時田の容姿に関することとか、人によっては気分が悪くなるかもしれないので、その辺りはご注意ください。
そんな中で面白かったのが、作中でフェミニズムに触れている点です。
一九九三年の時点で「これからはフェミニズムだ」と言及している点で、先見性を感じました。
様々な価値観がぶつけられる点が好ましく、どれが正しいというよりも、様々な考え方があるという書き方には好感が持てました。
おわりに
本書は抜群に面白いですが、読書が苦手な人からすると夢のパートなどは抽象的で読みにくいかもしれません。
その時はまず映画からご覧ください。
それで作品の世界観が掴めるので、その後に本書を読むと段違いに読みやすくなるのでオススメです。
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