ホラー
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『なまなりさん』あらすじとネタバレ感想!怪異に遭遇した体験談

harutoautumn
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怪異蒐集家・中山市朗が聞き取った幻の長篇実話が新装版で登場。後日談と、書き下ろし短篇を収録。沖縄で退魔師の修行を積んだというプロデューサーの伊東礼二。彼の仕事仲間の健治が、沙代子という女性と婚約をした。しかし沙代子は、妖艶な双子姉妹による執拗ないじめにより自死へと追いやられる。彼女の死後、双子姉妹の周囲で奇妙な事件が続発するようになるが、それにとどまらず、被害はやがて双子の実家へと移っていく――。伊東氏の目の前で起こる信じがたい怪異と事実……。体験者本人によって、二日間にわたり語られた生々しい体験記。

Amazon商品ページより

角川ホラー文庫の作品の中でも特に人気のある本書。

二〇〇ページ以下というコンパクトなボリュームの中で、亡くなった女性を中心にした実話怪談が描かれます。

物語が展開するごとに気持ちの悪い事実が浮かび上がり、恐怖に拍車をかけます。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

再会

著者である中山さんは久しぶりに伊東礼二と会います。

伊東は企画・演出の仕事だけでなく、退魔師としても活動していましたが、再会した彼はやせ細り、仲の良かった妻とも離婚していました。

その原因がタイトルである『なまなりさん』にあります。

なまなりさんとは新潟県の怨霊で、伊東はそれを題材にした映画を制作しようと考えていました。

そして、その監修を中山さんに依頼したというわけです。

中山さんは怪異蒐集家として興味を持つわけですが、数ヵ月後には伊東からの連絡が途絶える事態となってしまいます。

抑えられない興味

中山さんは何としてでもなまなりさんのことを知りたいと思っていると、突然、伊東から電話がきます。

伊東はなまなりさんには触れてはいけないと警告しますが、それでも中山さんの押しに負け、全てを話す決意をします。

それが物語の冒頭のシーンです。

中山さんに良くないものが移るかもしれない。

そのリスクを中山さんは背負い、伊東の話を聞きます。

これは、伊東さんのなまなりさんに関わる二日間の話でした。

感想

テンポが良い

本書は二〇〇ページに満たないボリュームなので、面倒な前置きや遠回しな表現は一切ありません。

物語はとんとん拍子で展開し、その中で怖い、あるいは不快なものが数多く登場します。

怪異的な怖さはもちろんありますが、それをもたらしたのは人間の醜さであり、同情できるようなものではありません。

不快度が高い話なので、このボリュームでこの抜群なリーダビリティは素晴らしい配慮だったのではないかと思います。

募る恐怖と不快感

僕はホラー小説を読む際、怪異としての得体の知れない恐怖を欲しています。

本書はもちろんそういった類の恐怖を提供してくれます。

一方で、その恐怖に到達するまでには数多くの不快感が降り注ぎ、人によっては読み進めることが嫌になるかもしれません。

何の罪もない人が怪異に襲われれば根源を叩くというシンプルな考えになるわけですが、大概の怪異の原因には人間の行いがあります。

知らず知らずのうちにやっていることであればまだ救いがありますが、本書での行いは確信犯。

怪異が起こって然るべき行いでした。

それでも伊東は事態をどうにかしようと奮闘するわけですが、人間が立ち向かえる怪異ばかりではない。

そういった現実の非情さも表れていて、読み進める度に面白さが増す作品です。

おわりに

タイトルや表紙で引き込み、その感覚が嘘ではないことを証明してくれた作品でした。

抜群のリーダビリティもあり手軽に読めるので、時間がない人にもオススメです。

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