殊能将之『美濃牛』あらすじとネタバレ感想!ハサミ男とは違った魅力がここにある
「鬼の頭を切り落とし…」首なし死体に始まり、名門一族が次々と殺されていく。あたかも伝承されたわらべ唄の如く。―『ハサミ男』で鮮烈なデビューを遂げた著者の才能を余すところなく表出し、ミステリのあらゆる意匠が豊潤に埋め込まれたこの物語は、新たな探偵小説の地平を切り拓き、2000年ミステリ界の伝説となる。
「BOOK」データベースより
ハサミ男で有名な殊能将之さんの作品である本書。
探偵石動(いするぎ)シリーズの第一弾で、紙の本で八百ページ近い長編なので読むのにかなり骨が折れます。
さらに驚くのは引用された文献などの数。
それらがオマージュやパロディとして度々作中に登場しますので、どれだけ執筆するのに労力をかけたのかが伝わってきます。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
多少のネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
まずはタイトルの意味について。
美濃牛とは物語の舞台となる岐阜県、つまり美濃地方の和牛のことを指します。
一方、岐阜県の黒毛和牛ブランドとして飛騨牛が挙げられますが、全ての美濃牛がそう呼ばれるわけではなく、日本食肉格付協会のランク付けによってとれる肉の量、肉質などをクリアする必要があります。
作中ではどれだけ一生懸命育てられても飛騨牛になれない美濃牛が登場し、その皮肉としてこのようなタイトルがつけられています。
本物になりこそねた偽物、こんな意味もあるのかもしれません。
あらすじ
事件
プロローグのような章では、動物園を一緒に回る中年男性と高校生の少女が描かれています。
名前はこの時点で明かされていませんが、二人が婚約していることが分かっています。
また一年近く前に事件が起き、そのせいで男性が生気を失い、変わり果ててしまったことが描かれ、物語は幕を開けます。
取材
フリーライターの天瀬は病を癒す『奇跡の泉』の取材を押し付けられ、岐阜県にある暮枝という集落に向かいます。
しかし、泉は立ち入りを禁じられていて、取材は思うように進みません。
一方、村のリゾート開発計画の話が持ち上がっていますが、村人によって意見は分かれ、不穏な空気が流れていました。
そんな中、首が切断された死体が発見され、一連の事件の幕が上がるのでした。
ハサミ男とは違った魅力
前作のハサミ男では連続殺人犯であるハサミ男の視点から物語が進むという意外性、そして終盤でのどんでん返しと二転三転する物語が魅力的でした。
一方、本書はどちらかというとゆっくりと物語が進み、ハラハラする展開もそこまでありません。
その分、随所に面白い点、感心させられる点が散りばめられ、より上質な文章になっています。
なので『美濃牛』も十分魅力的ですが、ハサミ男が好きだから本書も好きになる、わけではないと思います。
正直、僕は最後までなんとか読み切りましたが、次巻はしばらく手を出さないでおこうと思います。
最大の欠点は、これが魅力だ!と提示できる部分が思い浮かばないところでしょうか。
物語としてちょっと薄味です。
おわりに
ハサミ男から本書に入った人は、ぜひ一度ハサミ男で抱いたイメージを取っ払い、ニュートラルな状態で読んでほしいと思います。
そうすれば先入観にとらわれることなく、正しい楽しみ方がきっとできます。
ただしかなり長い物語なので、読み始めるまでに気が向かないことが何度もあると思います。
しばらく本棚にしまっておいて、気が向くのを待つのも手かもしれません。
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