『ルピナス探偵団の当惑』あらすじとネタバレ感想!高校生たちの遭遇した三つの事件を収録した短編集
「そうだ、検視の結果なんだけど」と姉(警察官)は言い、「いい。聞きたくない。いま食べてるし」と私(女高生)はかえすのだが、「じゃあ聞かないで。勝手に喋るから」そうして事件に巻き込まれ(押しつけられ)てゆく私たち。どうして殺人を犯した直後に被害者の残したピザなんかを食べていったのだろうか、どうして血文字のダイイング・メッセージ(らしい)はわざわざ鏡文字になっていたのか、そしてどうして死体から腕だけを無理して盗んだのか―。才人津原泰水が本格ミステリーの粋を凝らした傑作。
「BOOK」データベースより
ずぼらで強引な刑事の姉に、振り回されるちょっと直観力に優れた妹。
友人たちはそんな妹をからかい、時には恋愛要素も混ざる。
ライトノベルにありそうな設定ですが、これらの要素が推理に合わさると、なぜか驚くほど満足感のある本格ミステリが完成します。
元になった単行本が発刊されたのが2004年なので、時代背景も影響しているのかもしれません。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
第一話『冷えたピザはいかが』
最初のページで犯人が明かされる驚きの展開で幕が上がります。
私立ルピナス学園の通う吾魚彩子は刑事の姉・不二子に事件解決への協力を強要されます。
彩子の友人であるキリエと摩耶も同席の上で、不二子と先輩刑事・庚午は事件について語ります。
殺害されたのはエッセイストの岩下瑞穂で、自宅マンションで頭部を殴られて亡くなっていました。
犯人を特定する手がかりとして、部屋の温度がエアコンによって以上に温められていたこと、そして宅配ピザが挙げられます。
部屋の状況から瑞穂は一昨日届いたピザを食べたことになりますが、胃の中からピザはみつからず、つまり犯人が食べたことになります。
なぜ犯人はわざわざ日にちの経ったピザを食べたのか。
犯人がすでに明かされているので、読者は彩子たちがどのようなアプローチで犯人に辿り着くのかを楽しむことが出来ます。
第二話『ようこそ雪の館へ』
不二子は男性と二人で旅行に行くはずがドタキャンされ、彩子たち三人を無理やり学校を休ませて道連れにします。
その際、事情を知らない彩子の想い人・̪祀島も巻き添えを食います。
一同は雪道を進みますが、雪崩によって足止めを食うことになり、近くにある洋館に泊めてもらうことにします。
そこは人気作詞家・天竺桂雅の住む家でした。
あの不二子が憧れるほどの美人で、思いがけないひと時を過ごす一同ですが、そんな時間は長くは続きませんでした。
翌日、雅は遺体となって中庭で発見されたのです。
第三話『大女優の右手』
彩子は祀島に頼まれて、祀島が所属する都市化石研究会が溜まり場にしている喫茶アルケオプテリクスのマスター・久世と会います。
最近、『手套の麗人』の異名を持つ女優・野原鹿子が舞台中に心筋梗塞で亡くなっており、久世は鹿子の遠縁の親戚でした。
その日、通報を受けて救急隊が駆け付けますが、鹿子の遺体は消えていて、後に女子トイレの個室で見つかっています。
その際、手首から先は切断されていました。
彩子たちはこれまでの事件での功績を見込まれ、意外と血生臭い事件に駆り出されることになりました。
感想
意外に本格ミステリ
奔放な姉と反発しつつも好奇心を抑えられない妹。
無礼なほど口が達者な友人に、いつもオチに使われる美人だけれど可哀そうな友人。
そして、変わった価値観を持つ妹の想い人。
これだけ個性の揃った一団なので、どうしてもライトノベルにありそうなキャラものを連想しがちだと思います。
しかし、ふざけた雰囲気に反して事件や推理は本格的で、この緩急ついた展開が気が付くと病みつきになっていました。
個人的にですが、こうしたお決まりのやりとりがあるミステリって名作が多い気がします。
あと、北見隆のカバーイラストも読みたいと思えた一つの要因でした。
辻村深月さん、恩田陸さん、今邑彩さん、殊能将之さんなどの作品のカバーイラストも手掛けているので、印象に残ったという人にはぜひ手にとってほしい一冊です。
キャラの掛け合いに注目
本格ミステリと書きましたが、その一方でキャラの掛け合いもやはり注目です。
わざと馬鹿にすることもあれば、意図せずフォローするつもりが追い打ちをかけていることもある。
状況によっていじる人、いじられる人が変わり、このテンポが読んでいて本当に楽しかったです。
おわりに
高校生たちの勢い、見当違いにも思える目の付け所がうまく推理に取り入れられ、キャラもので終わらないところに本書の強い魅力を感じました。
そこまで知名度がないからこそ、みんなに読んでほしい。
久しぶりに良い出会いをしたと思います。
次の話はこちら。
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