柚月裕子『教誨』あらすじとネタバレ感想!死刑囚の守った約束とは何か?
吉沢香純と母の静江は、遠縁の死刑囚三原響子から身柄引受人に指名され、刑の執行後に東京拘置所で遺骨と遺品を受け取った。響子は十年前、我が子も含む女児二人を殺めたとされた。事件当時、「毒親」「ネグレクト」と散々に報じられた響子と、香純の記憶する響子は、重なり合わない。香純は、響子の教誨師だった下間将人住職の力添えを受け、遺骨を三原家の墓におさめてもらうために、菩提寺がある青森県相野町を単身訪れる。香純は、響子が最期に遺した「約束は守ったよ、褒めて」という言葉の意味が気になっていた――。
Amazon商品ページより
柚月裕子さんの作品である本書。
死刑囚の遺品がきっかけとなって物語が生まれ、読者はどうして事件が起きてしまうのかを主人公視点で考えることになります。
ある程度予想できるとはいえ、明確な悪意がない殺人は辛いもので、誰が悪いのかと何度も考えてしまいました。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
遺品
吉沢香純は東京拘置所を訪れていました。
目的は、死刑囚である三原響子の遺骨と遺品を受け取るためです。
三日前、東京拘置所から連絡があったことで、香純とその母親の静江は、自分たちが響子の身元引受人であることを知りました。
静江にとって響子は従姪であり、香純も響子と面識があります。
とはいえほとんど交流があるわけもなく、他人も同然です。
しかし静江は断り切れず、腰痛がひどいことを理由に香純が代理として訪れたのでした。
最後の言葉
香純は職員から手続きの話をされると同時に、響子の最後を聞きます。
響子は取り乱さずに刑を受けただけではなく、『約束を守ったよ、褒めて』という言葉を遺しました。
誰に当てた言葉なのか。
これが響子の犯した罪を紐解く上で大事なキーワードになります。
響子は娘含めて2人の女児を殺害していて、それが原因で死刑となりました。
静江は遺骨と遺品を三原本家に渡そうと連絡しますが、何度電話しても繋がりません。
地元を出てから長いため、本家以外に頼る先もありません。
静江は弱りますが、香純はなぜ響子が罪を犯したのか分からないと、違うところで頭を巡らせます。
少しして本家と連絡がとれますが、相手は響子の一切を受け取ることを拒否。
どうしたものかと思っていると、一つのアイディアが思い浮かびます。
響子が拘置所にいる間に面会していた教誨師・下間住職に頼るのが良いのではないか。
香純は早速下間に連絡をとりますが、ここから次第に響子に囚われ、真実を知りたいという気持ちを強くしていきます。
感想
何を思えば良かったのか
僕は本書に対して、何を思えば良かったのか、と読了後からずっと考えています。
自分の娘含めて女児二人を殺害してしまった死刑囚。
彼女の殺害に至った状況が分かってくると、世間が抱く彼女への印象とは違ったものが浮かび上がってくるように構成されています。
それ自体はスタンダードでよく描かれているのですが、それでも思ってしまいます。
何を思えば良かったのかと。
色々考え、他の人のレビューなどを見ると、やはり後述することが原因かなと思います。
物語のための登場人物
香純は遠縁にあたる響子の状況を知り、彼女のために青森県に滞在して調べ事をするわけですが、この設定の無理やりさが最後まで拭えませんでした。
これまで全く連絡をとってこなかった相手に対して、なぜそこまでするのか。
幼少期のエピソードを引っ張ってきてもその理由には弱く、香純の行動原理が見えてきません。
彼女はたまたま離職中だったため時間がありましたが、もし仕事をしていたとしたら、仕事を休んでまで響子のために動いたでしょうか。
そこまでのパッションはなかったように感じるし、その程度の気持ちであれば、時間があっても青森にまで行って、様々な人の厳しい視線や言葉に晒されてまで調査などしません。
これが激しい感情を持つ人間であればそれもありそうですが、香純は読む限り、優柔不断で意思が強い方ではなく、ここまで強硬的な態度をとりそうにありません。
別の誰かが響子のことを調べたくて香純が手伝うのであればありそうですが、そういった人物もいない。
主体性の弱い香純で、なぜこれだけの展開が生まれたのか。
それは物語を成立させるために、都合よく彼女を動かしたからではないか。
この考えが抜けなかったため、響子の真実を純粋なそれとして受け取れず、何を思えば良いのか迷ってしまったのかなと思います。
最後まで読むことは難しくなかったけれど、読んだ先に何もなかった。
柚月さんの作品が好きなだけに、残念な気持ちもそれなりです。
おわりに
都合の良い物語と思ってしまったがゆえに、柚月さんの『すべての者の鎮魂を願う』という言葉がどうも白々しく思えてしまいました。
これ以上ネガティブなことを書くことは、これから読む人や本書で感動を覚えた人に失礼なため、この辺にします。
ここまで書いておいてわがままですが、これから読む人においてはあまり先入観を持たず、あるがままの本書を読んでください。
そしてそこから何かを得て少しでも生活が豊かになることを願っています。
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