『令和最恐ホラーセレクション クラガリ』あらすじとネタバレ感想!
最旬ホラー作家が勢ぞろい!
暗がりから溢れ出し、人を呑み込む〈怪異〉。現代最高峰のホラー作家たちが生み落としたソレはあなたに一生つきまとう――。
背筋×ハイファッションの呪縛、澤村伊智×深夜の客人、梨×「恐怖症」売りの女、コウイチ×地方ロケ、はやせ&クダマツ×怖すぎる心霊物件、栗原ちひろ×セレブ一家の闇……
究極の6ストーリーズ
Amazon商品ページより
今が旬のホラー作家が集う本書。
『クラガリ』というタイトルにある通り、どれも底が見えない漆黒で、それでいて黒さの種類が違うというか、怖さのベクトルが異なります。
アンソロジーというと個人的に好みが分かれるのですが、本書は久しぶりにいずれの作品も面白く、とても怖かったです。
目が離せない恐怖がここにはあります。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
オシャレ大好き【背筋】
恭子は五年前から現職のアニュスというファッションブランドで働いています。
ハイブランドとして金額の張る商品が飛び交う華やかさがある一方で、休憩時間ではどの従業員も疲れ切った表情をしていて、陰と陽が入り混じっています。
ある日、恭子がヘルプで別フロアの接客をしていると、客が双方向の会話とは全く関係のない、かつ異様なことを口にしました。
恭子は唖然とするしかありませんでしたが、その後も別の客からも意味不明なことを言われ、疑問はますます膨らみます。
そして、それは関係がなさそうな恭子の過去とリンクしていきます。
鶏【澤村伊智】
私がかつて出版社の編集者をしていた頃の話。
澤村伊智さんも同様の経歴から、本人による実話怪談のような印象を受けました。
私が泊まり込みで仕事をしていると、隣の編集部の山重に声をかけられ、自分が急用で席を外すため来客応対をお願いしたいといわれます。
私は了承し、Q氏という漫画家を中に通し、役目を終えたと思われました。
ところが、Q氏が給湯室に顔を出して私から煙草をもらったかと思うと、奇妙な話を始めます。
金曜日のミッドナイト【コウイチ】
金曜日のミッドナイトという架空のテレビ番組のインタビューという体で、様々な年齢や職業の人たちが答えます。
番組の出演者にはマリコ、村田がいて、『最近あった個人的なニュース』を聞いていることから、月曜日に放送している某番組が元になっていることが分かります。
インタビューされた人たちは個人的なニュースを思い思い話すわけですが、それは放送にのせられないようなものも含んでいました。
警察が認めた〈最恐心霊物件〉【はやせやすひろ×クダマツヒロシ】
YouTubeの視聴者からのコメント。
そこには警察官も認める、住んだ人がみんなおかしくなるという物件があることが書かれていました。
後日、そのYouTubeを見た視聴者で体験者を名乗り出る人が現れ、紹介されている内容とは異なるのだといいます。
こうして美咲(仮)は自分の体験を語るのですが、それは想像を絶する恐怖でした。
余った家【栗原ちひろ】
御蔵美岬(みくらみさき)は七つ年上の姉・双葉と共に田園調布にある家を訪れていました。
そこは御蔵家が所有する、今は誰も住んでいない家で、ひょんなことから美岬と婚約者である光二が住めば良いのではという話が出ます。
美岬の実家がお金持ちであることを知らなかった光二はこの提案に目を輝かせますが、何事にも実家とそりが合わない美岬はこの提案に反対します。
そもそも話が出た時点で美岬はこの家の存在自体を知りません。
しかし、家族は美岬がこの家のことを知っているといい、序盤から不穏な雰囲気を醸し出しますが、物語が進むにつれて美岬の日常と忘れていた家の存在がリンクします。
恐怖症店【梨】
店主である女性はカタという助手を引き連れて、恐怖症を売り歩いていました。
場所や時代を問わず、他にも依存症など様々なものを売る人たちもいます。
店主は普通の人には見えませんが、恐怖症を必要とするお客が自ら店主の前に現れるのだといい、今回は少女が二人の目の前に現れます。
少女は現状を話し、店主は現状の問題を解決するための恐怖症をオーダーメイドで作ってくれます。
その対価ですが、店主は食事や睡眠を必要とせず、暮らすためのお金を必要としていません。
対価として必要なのは、購入者の感情でした。
感想
視点の豊かさ
本書でまず感心してしまったのが、どの作品も日常では思いつかない視点で描かれていたことです。
『鶏』では鶏が食べられないというエピソードから予想もできないおぞましい話に発展するし、『余った家』ではコミュニケーションが成立しない家族が当然のように自分たちの価値観を押し付けてきて、読者の感覚を強く揺さぶってきます。
今回はお化けや怪異といった分かりやすいものは少なめで、どちらかというと人間そのものや人間の奥底に潜む感情が恐怖の根源になっていて、ある日自分も思いがけず経験してしまうのでは?という近さがありました。
実話風なものもあれば、完全な創作もあるわけですが、この切り口の段階で本書に収録された作品はみな格別でした。
恐怖ならこれ
本書はクラガリをタイトルにすえて恐怖を生み出しているわけですが、恐怖という観点からいくと『警察が認めた〈最恐心霊物件〉』と『余った家』が特にオススメです。
前者は心霊もので、登場するもの自体がかなり怖いです。
かつ簡単には逃れらないしつこさがあり、終わらない恐怖という点では2chで話題になった『リアル』を思い出しました。もちろん内容など関係はありません。
後者の『余った家』は視点である美岬がいかにもな常識人だったので、彼女の親兄姉が異常なのだと、それが怖いのだと思っていました。
ところが、タイトルにある家が後半になるにつれて存在感を出していて、彼女の日常と知らず知らずのうちにリンクしてくるあたりはめちゃくちゃ怖かったです。
手のひらの上とはこういうことかと。
切なさはこれ
最後に収録された『恐怖症店』ですが、こちらは恐怖といっよりも切なくて心が温まる意外性がありました。
恐怖症を売買するというアイディアだけで十二分に成立していますが、本書はそこに注目していると違った方向から驚かされます。
その驚きは恐怖とは真逆に働くもので、アンソロジーの最後にその感覚がくるのかと目を見張りました。
その観点からもう一度読むと違う味わいがあり、意外性や満足度でいくと本書の中で一番好きかもしれません。
余談ですが、梨さんがすでに発売している以下の作品と全く同じものなので、重複して買わないようご注意ください。
おわりに
『平成怪奇小説傑作集』を読んだ身からすると、令和はまたこれまでとは違ったホラーが生まれているのだということをひしひしと感じました。
そしてホラーが勢いづいていることが感じられる豪華さで、読み切れないほどの名作が生まれてくる令和という時代に感謝しかありません。
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