『クドリャフカの順番』あらすじとネタバレ感想!文化祭で起きた事件に挑む古典部シリーズ第三弾
待望の文化祭が始まった。だが折木奉太郎が所属する古典部で大問題が発生。手違いで文集「氷菓」を作りすぎたのだ。部員が頭を抱えるそのとき、学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。盗まれたものは碁石、タロットカード、水鉄砲―。この事件を解決して古典部の知名度を上げよう!目指すは文集の完売だ!!盛り上がる仲間たちに後押しされて、奉太郎は事件の謎に挑むはめに…。大人気“古典部”シリーズ第3弾。
「BOOK」データベースより
前の話はこちら。
古典部シリーズにおいて、文化祭が大きな役割を果たすことは第一弾の『氷菓』からずっと言われてきましたが、ついに本書で文化祭である『カンヤ祭』本番を迎えます。
文化祭という日常とは違った空間において、古典部の四人の視点を行き来することでより広がりのある物語が描かれていて、彼らのパーソナルな部分が垣間見えます。
相変わらず苦味のある結末で、米澤穂信さんらしい青春小説を楽しむことができました。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
本書は奉太郎、里志、える、摩耶花それぞれの視点を行き来しながら物語が展開します。
誰の視点かはトランプのマークで分けられていて、奉太郎=♤、里志=♧、える=♡、摩耶花=♢です。
手違い
ついに始まった文化祭『カンヤ祭』。
神山高校は文化祭にかなり力を入れていて、三日間にわたって開催されます。
古典部は文集『氷菓』を完成させ、三十部発行するつもりでした。
しかし、ここで手違いがあり、摩耶花は誤って二百部も発行してしまったのです。
知名度の低い古典部において、この数量を完売させることは容易ではありません。
しかも摩耶花は漫画研究会にも所属していて、そちらに付きっきりになるため、カンヤ祭中は協力できません。
絶望的な状況ですが、三人は摩耶花に必要以上の責任を負わせないために全力を尽くすことを誓います。
値段を見直し、新たな売り場を探し、話題性を出すアイディアを考えるなど、三人はそれぞれの役割を果たします。
十文字事件
氷菓完売のために奔走する一方で、カンヤ祭も楽しむ一同ですが、校内ではとある事件が起きます。
様々な部活から何かが盗まれ、犯行予告のようなものが残されていました。
犯人は『十文字』と名乗り、はじめ誰もが『じゅうもんじ』と読んでいましたが、やがて『じゅうもじ』と読むことに気が付きます。
そして、犯行には法則がありました。
『あ』で始まる部活から『あ』で始まるものが盗まれ、次は『い』と続きます。
それはまるでアガサ・クリスティーの有名すぎるミステリ『ABC殺人事件』を真似したような犯行で、『十文字』ということは『こ』まで犯行が続くことが予想されます。
古典部は十文字事件を利用し、古典部が最後に狙われると学校中に周知することで話題を誘い、氷菓販売に繋げます。
クドリャフカの順番
摩耶花は漫画研究会の先輩・河内と創作に対する見解でケンカになり、自分の主張を認めさせるために一年前、カンヤ祭で買った同人誌『夕べには骸に』を読ませようと考えます。
しかし父の実家に置いてきてしまったことに気が付き、河内とのケンカに破れます。
一方、古典部の部室で店番をしていた奉太郎は一瞬席を外しますが、戻ってくると『夕べには骸に』が置かれていることに気が付きます。
持ってきたのは姉の供恵でした。
奉太郎は『夕べには骸に』を読み、この作品が複数の人間によって書かれていること、次作にクリスティの超有名作をひねった『クドリャフカの順番』という作品を作ろうとしていたことを知ります。
供恵はなぜこのタイミングでこの作品を持ってきたのか。
十文字事件と何か関係があるのか。
省エネ主義の奉太郎ですが、やがて供恵からもたらされた情報をもとに十文字事件の犯人、目的に辿り着きます。
感想
四人のパーソナルな部分が分かる
普段は主に奉太郎視点で描かれるので、読者が見ているのはあくまで奉太郎の主観の入った古典部部員です。
しかし本書では、残りの三人それぞれの視点からも描かれるので、彼らがどういうことを考えているのか、また他の部員に対してどう思っているのかが明らかになります。
ある程度はイメージ通りでしたが、やはりそれぞれに悩みや割り切れないものを抱えていることが分かります。
特に本書では里志の意外な一面が描かれ、飄々としている裏で苦労をしている彼の姿は切なく、痛々しさすら感じられました。
四人は絶妙な関係で結ばれていて、今後も単なる青春では終わらない痛みを伴うかもしれません。
わらしべ長者要素が面白い
本書の面白い趣向として、わらしべ長者のような要素が挙げられます。
スタートは供恵からもらった壊れた万年筆で、奉太郎は意図せずに様々な人と物々交換をして、それが物語の展開とうまくリンクするところが面白かったです。
『夕べには骸に』もそうですが、やはり起点は供恵にあり、ますます彼女の存在がいかに大きいかが印象づけられました。
まだ奉太郎の視点以外で描かれず、彼の視点においても大した描写はありません。
今後、顔出しする時が来ると思いますが、その時は物語が大きな局面を迎える時かもしれません。
推理はそれなり
本書の中核ともいえる『十文字事件』ですが、早々にかの有名な『ABC殺人事件』を真似ていることが明かされるので、ある程度ミステリに馴染みのある人であれば奉太郎よりも先に真実に辿り着けるかもしれません。
推理としては納得のいくものでしたが、動機に関していえばちょっと弱い気がしました。
そこまでする必要があったのか?と疑問です。
ただそれを言い出すと大抵のミステリが成り立たなくなるかもしれないので、そういうものとしてスルーするのが無難だと思います。
これらを総合すると、ミステリとしてはそれなりの出来だったのではないでしょうか。
おわりに
カンヤ祭という一つの見せ場をけっこうなボリュームで描いた作品で、シリーズのこれまでの作品の中で一番読み応えがありました。
これから古典部がどのような活動をするのかまだ見えてこないため、次作以降に期待したいと思います。
次の話はこちら。
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