『首ざぶとん』あらすじとネタバレ感想!日常に潜む怪異を描いた連作短編集
華道教室に通うまりかの先生・嵯峨御流正教授である龍彦の趣味は、なんと怪談蒐集。最初は引き気味のまりかだったが、龍彦の優しげな雰囲気に惹かれ、怪談蒐集の手伝いをすることとなる。ある日まりかは、「おざぶ…おざぶ…」という声が聞こえる穴の噂を聞く。早速龍彦に報告しその穴を調べに行くが、そこで2人は、奇妙で恐るべき怪異に巻き込まれてしまう―。新たな怪談の旗手が描く、日常に潜む怪異の世界。連作短編集!
Amazon商品ページより
もうタイトルからして奇妙で、恐怖をの香りがぷんぷんする本書。
朱雀門出さんのお名前は前々から聞いていたものの、なかなか手にとる機会がなかったのですが、角川ホラー文庫のキャンペーンをきっかけに読むことにしました。
主役の二人を軸にした連作短編集で、日常と隣り合わせの怪異が魅力たっぷりに描かれています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
首ざぶとん
島本まりかのもとに茶道教室の先生である磯部から電話がかかってきます。
磯部は入院中なのになぜ?と訝しみながら出ると、相手は磯部の息子の龍彦で、彼が母親の代行をするので今までのスケジュール通りに来て良いという話です。
会ってみると龍彦は中学時代に通っていた塾の講師で、二人の距離は近くなります。
龍彦は昔から怖い話をする癖があり、それは彼が怪談を蒐集しているからでした。
まりかがそのことをアルバイト仲間に話すと、この近くの山奥におざぶあなと呼ばれる穴があり、そこから声がするのだといいます。
単なる世間話で終わるかと思いきや、まりかと龍彦はこの件に巻き込まれていきます。
トモダチ
駅で待ち合わせをする男性二人。
スマートフォンで連絡を取りながらお互いの場所を探しますが、なぜか見つけることができません。
何度確認しても二人は同じ場所にいるはずなのに、お互いに存在を確認することができない。
その時、スマートフォンから年配の男性の声がして、男性たちは怪異に遭ってしまうのですが、次の標的となるのがまりかでした。
ひじり
まりかは家への帰り道、木造住宅近くで小火を見つけます。
近くには六人の男たちがいて、小火を見ても消そうとしないことから、放火犯グループなのではと疑います。
するとまりかは男たちの目が合ってしまい、怖くなって逃げだします。
家に戻ってから消防署に連絡をして、小火のあった家の前に戻ると警察から話を聞かれます。
警察はまるでまりかが小火を起こしたと疑っているような口ぶりで、まりかはこのことを龍彦に相談しますが、問題はここからでした。
羊を何度も掘り出す話
桓山季はさっきまで明るい町を歩いていたはずなのに、気がつくと竹藪にいました。
手にはシャベルが握られています。
シャベルを放り出して出口を目指しますが、気がつくと自分の意志とは関係なくシャベルで穴を掘っていました。
何者かに掘らされていることは一目瞭然です。
穴には羊の皮に似た生き物がいて、怖くなってなんとか逃げ出し、友人に電話をかけます。
その友人こそが龍彦で、彼とまりかもこの怪異に巻き込まれることになりました。
感想
簡単に超えられる境界線
本書の魅力はいくつもあり、例えば日常と怪異が潜む非日常の境界線が曖昧で、簡単に超えられるということです。
本人の意思に関係なく、気がつくと境界線に立たされていて、一つの意思決定によって簡単に非日常側に踏み出すことができます。
それでいて、非日常側から日常側に同じく簡単に戻れるかというとそういうわけではなく、このお手軽さとリスクが見合っていないところが面白かったです。
またまりかの日常パートは若い女性であればよくありそうなシーンや会話ばかりで、日常を際立たせる上で役立っています。
さっきまで友人や家族と話していただけのに、なぜ自分がこんな目にあっているのだろう。
理不尽としか言いようのないことですが、それこそが怪異であり、人間の考えの枠に収まるものでないことがよく分かりました。
龍彦の頼もしさ
龍彦は怪談蒐集をするほど怖い話が好きで、彼が本書における安心材料になっています。
まりかが困った時、龍彦はいつでも話を聞いてくれて、時に気持ちを軽くしてくれて、時に彼女を直接助けてくれます。
龍彦がいればなんとかなる。
そういう安心感があるからこそ、本書の怪異が必要以上に怖く感じないようにすることができ、ちょうど良いバランスです。
冒頭では二人の恋愛面も描かれそうな気配もありましたが、すぐにそういったことはなさそうだと分かり、距離感としても近すぎず遠すぎずで僕の好みでした。
おわりに
エンタメであり、ホラーであり、ホラー好き以外でも読みやすい親切な設計がなされています。
それでいてホラー好きが納得できる恐怖が描かれていて、2025年に読んだホラーの中でもけっこう上位にランクインするほど僕は好きです。
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