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夏目漱石『こころ』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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この小説の主人公である「先生」は、かつて親友を裏切って死に追いやった過去を背負い、罪の意識にさいなまれつつ、まるで生命をひきずるようにして生きている。と、そこへ明治天皇が亡くなり、後をおって乃木大将が殉死するという事件がおこった。「先生」もまた死を決意する。だが、なぜ…。

【「BOOK」データベースより】

夏目漱石の中でも特に有名な作品で、森鷗外の『人間失格』と『日本で一番売れた本』を争っている作品でもあります。

発表当時のタイトルは『こゝろ』で、『こころ』は新仮名です。

高校の教科書にも登場するので知っている人も多い一方で、読んだことのない人も一定数いるのではないでしょうか。

内容としては、語り手である『私』が『先生』と出会い、交流、そして先生の過去が描かれています。

派手な内容ではありませんが、その分、人間の深い所にある様々な感情が描かれ、明治や大正といった時代の移り変わりを感じることができます。

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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上 先生と私

出会い

はじめに、私と先生の出会いが語られますが、先生の名前は明かされません。

先生と知り合ったのは鎌倉でした。

私は暑中休暇を利用して友人と海水浴のために鎌倉を訪れますが、友人はすぐに急用で帰ってしまい、一人でどうしたものかと考えます。

学校までまだ日にちがあるため一人鎌倉に残ると、ある日、掛茶屋で先生と出会います。

私は先生のことが気になり、何度か会った時に自分から声を掛けます。

それがきっかけで私と先生は懇意になり、そこから二人の交流が生まれました。

墓参り

私は東京に帰ってからも、度々先生の家を訪れるようになります。

先生は妻の静と下女と一緒に暮らしていましたが、友達がいる様子もなく、私が懇意になったと思ってもどこか距離を感じる接し方をしてきます。

そんな先生には、ある習慣がありました。

それは毎月、雑司ヶ谷の墓地を一人で訪れることです。

私は後をついていきますが、先生は友人のお墓だとして、詳しいことは教えてくれません。

私は気になるものの、それを追及することはありません。

先生は世の中と距離を置いていますが、私に教訓のようなことをいくつも教えてくれ、私にとってまさしく先生と呼ぶにふさわしい人物でした。

また先生と静は仲の良い夫婦で、幸せそうに見えました。

一方で、先生は時折、何かに苦しむ姿を見せますが、私にはその理由が分かりませんでした。

帰省

冬になり、私の父親の病気の経過が思わしくないと母親から手紙が届きます。

かねてからの腎臓の病気でした。

私は冬休み前に帰省しますが、父親は思ったよりもずっと元気そうで、一安心します。

峠を越えると、私は冬休みが終わる少し前に東京に戻るのでした。

先生の過去

先生は私の父親の病気の話が出て以降、財産について父親が元気なうちに始末をつけるよう度々口にします。

それから人間の悪意についても言葉が止まらず、いつもの先生とは様子が違っていました。

後に人に欺かれたと告白します。

私は先生の過去について追及しますが、適当な時期が来ないと話せないと先生ははぐらかすのでした。

 

そして、私は大学を卒業しますが、まだ何をするのか考えていませんでした。

帰省することにしていたため、九月に再会することを約束し、先生夫婦と別れるのでした。

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中 両親と私

帰省中、明治天皇が病気になり、亡くなったと日本中に知れ渡ります。

父親は元気そうにしていましたが、次第に衰え、私は東京へ戻る日にちを遅らせます。

親族の誰もが父親の様態を気にする中、先生からとてつもなく長い手紙が届きます。

そこには、この手紙が私に届く頃には先生はもうこの世にいないこと、そして先生の過去が綴られていました。

私は母親と兄に手紙を残すと、急いで東京行きの汽車に乗り込むのでした。

下 先生と遺書

ここからは先生の手紙に書かれた、先生の過去について言及します。

裏切り

先生は学生時代に両親を二人とも腸チフスで亡くし、母親の言いつけ通り、叔父を頼ります。

叔父の援助で先生は東京に出て高校に通い、この頃はそんな叔父を信じ、感謝していました。

そんなある日、叔父は先生に縁談の話を持ちかけます。

相手は叔父の娘、つまり先生の従妹にあたる人でした。

しかし、親しくてもそこに愛情はなく、先生は縁談を断ります。

するとそれ以来、叔父をはじめ親族の態度が妙になり、先生ははじめてこのままではいけないことに気が付きます。

両親の財産について調べますが、そこで叔父が財産を誤魔化していたことが判明します。

それらは、先生が東京に出ている三年間の間に行われました。

従妹との縁談を持ち掛けたのも、遺産問題を有利に進めるためです。

先生はそれ以来、叔父に限らず人を疑うようになり、故郷に帰らないことを決めるのでした。

下宿

先生は東京で家を探しますが、その中で下宿の話を持ちかけられます。

相手はある軍人の遺族で、奥さんとお嬢さんとの三人生活が始まりました。

奥さんとお嬢さんは先生によくしてくれ、疑い深かった先生の心をほぐしていきます。

しかし、それは短い安息でした。

K

先生には同郷の友人にKという人物がいました。

Kとは同じ学科でしたが、家族との間に不和を抱えていました。

そこで先生は下宿先にKを呼び、一緒に暮らすようになります。

自分のように、Kも奥さんやお嬢さんの気持ちに触れ、快活になることを先生は期待しました。

しばらくして、Kとお嬢さんが時々二人きりになることが増え、先生は内心、穏やかではありません。

先生はKに嫉妬していたのです。

すると、先生は今まで何とも思っていなかったお嬢さんを愛するようになり、Kに対抗心を抱きます。

お嬢さんのささいな仕草や言葉に一喜一憂しますが、ある日、Kからお嬢さんへの恋心を打ち明けられます。

それに対して、先生は自分も同じ気持ちであることを伝えることができませんでした。

しかし幸いなことに、Kは先生以外にこのことを打ち明けてはいません。

そこで先生は、Kの話を伝えずに奥さんにお嬢さんを妻としてくださいと直談判します。

いくつか質問があったものの、奥さんはその話を了承。

お嬢さんにも伝えられ、知らないのはKだけです。

後悔

先生はKを出し抜くことに成功しますが、今更になって良心が痛み、このことをKに伝えられずにいました。

結局、奥さんからKに伝えられ、Kはおめでとうございますと言ってくれます。

いつもと変わらない様子に、先生はホッとします。

ところが二日後、Kはナイフで頸動脈を切って自殺してしまいました。

先生の宛ての手紙が残さていましたが、先生への恨み言などはなく、将来に望みがないから死ぬのだとだけ書かれていました。

しかし、お嬢さんの名前だけがそこにはなく、Kがあえて回避したことは明白です。

先生はあらゆる人たちからKの自殺した理由についてたずねられますが、答えることができませんでした。

 

その後、先生たちはKの自殺した夜のことを思い出さないように引っ越し、先生とお嬢さん、つまり今の妻である静は今の家に移り住みます。

結婚後、先生は静の提案で一緒にKの墓参りに行きますが、Kの命と引き換えに静を得たも同然の先生にとって、これほど辛いことはありません。

これ以来、先生は二度と静と一緒にKの墓参りをすることはありませんでした。

結末

先生はいつまで経ってもKのことを忘れられず、静と顔を合わせると、いつでもKに脅かされます。

こういった理由から先生はたまに静を遠ざけ、理由を知らない静は自分の何がいけないのかと苦しみます。

先生もそれに気が付き、何度も静に打ち明けようと思い、しかし出来ませんでした。

静の記憶に嫌なものを残したくなかったのです。

先生は後になって、Kの自殺した理由を振り返ることがありました。

最初は失恋のせいだと考えましたが、やがてたった一人になって寂しくなったから自殺したのではないかと疑います。

そして、その孤独を先生も抱えていました。

やがて先生は、人間の罪という大きなものに囚われ、そのせいで毎月にKの墓参りをしたり静に優しくするようにしていました。

それでも静と幸せに暮らしてきましたが、ある出来事が先生の気持ちを変えます。

それは、明治天皇の崩御(亡くなること)でした。

先生は明治に影響を最も強く受けた世代で、天皇死去後も生き残るのは時代遅れだと感じるようになりました。

静にそのことを話すと、殉死したらいいと笑われます。

一か月後、乃木大将が亡くなり、先生はついに自殺を決意したのでした。

最後に先生は、手紙に書かれたことは秘密だとして、私の腹の中にしまっておいてほしいと手紙を結ぶのでした。

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考察~先生の自殺の意味~

夏目漱石が先生の死をもって伝えたかったこと。

それは明治という時代の終わりだといわれています。

漱石は乃木希典の殉死をきっかけに『こころ』を執筆しました。

大正という新しい時代を迎えるにあたって、漱石は明治に生きた先生を『明治の精神』に殉死させました。

明治天皇の崩御、乃木大将の殉死なども含め、時代の終わりを描いた作品です。

最後に

妬みなどの個人的の感情はいつの間にか人間の罪に変わり、最後には明治という時代を語るまでスケールの大きな話になっていました。

学校の授業で一度学んだという方も、実際の作品を読むことで感じることはきっと違うと思うので、ぜひもう一度読んでみてください。

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