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『ホテルローヤル』原作小説のあらすじとネタバレ感想!ラブホテルを舞台にした七つの短編

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北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く―。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昴揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。第149回直木賞受賞作。

「BOOK」データベースより

累計発行部数90万部を超え、直木賞を受賞した本書。

そもそも直木賞ってなに?という人は以下の記事をご参照ください。

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ラブホテルという非日常の空間を舞台にして、様々な人間の人生が描かれています。

また波留さん、松山ケンイチさん主演で映画化されました。

映画の公式サイトはこちら。

『ホテルローヤル』公式サイト

波留さんはホテルローヤルの一人娘・田中雅代役を演じます。

予告を見る限り、原作の短編がうまく繋がりを持つよう脚本が考えられているようなので、原作とは違った魅力がありそうです。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

シャッターチャンス

加賀屋美幸は恋人の木内貴史にヌード写真のモデルをお願いされ、一週間で無理なダイエットを敢行。

意識が朦朧する中、連れて行かれたのがロケ地であるラブホテル『ホテルローヤル』でした。

すでに廃墟と化し、数々の男女の跡が染みつく部屋で、撮影が始まります。

挫折して夢に酔いしれる貴史と、それについていけない美幸。

撮影を通じて二人の差がどんどん浮き彫りになります。

本日開店

歓楽寺に嫁いだ設楽幹子は、十年に渡って檀家からお布施をもらい、その代わりに一月に一度、肉体関係を持っていました。

ただの奉仕のはずですが、代替わりをした佐野敏夫の時だけは普通の女のように抱かれ、少なからず喜びを得てしまいます。

そんなある日、檀家の一人からホテルローヤルの社長が『本日開店』という言葉を遺して亡くなったことを聞かされ、引き取り手のない遺骨を託されることになります。

幹子の変わらなかった日常が、少しずつ変化する様子が描かれます。

えっち屋

田中雅代は両親から受け継いでホテルローヤルを経営してきましたが、ホテルで心中自殺したお客のせいで客足が遠のき、ホテルを閉めることを決断します。

業界で『えっち屋』と呼ばれるアダルト玩具販売の会社の営業・宮川を呼び、売れ残った玩具の引き取りを依頼します。

ホテル屋として、商売用のホテルは利用しなかった雅代。

妻には玩具を使ったことのない宮川。

雅代は新しい旅立ちのために、宮川にあるお願いをします。

バブルバス

恵と夫の真一は墓参りに向かうも住職に予定を忘れられ、財布から出る予定だった五千円が手元に残ります。

恵は帰り道、ホテルローヤルを見つけ、あそこに行こうと真一に提案します。

お金に余裕のない恵たちにとって決して安い金額ではありませんが、それでも恵は意を決して提案し、真一も応じてホテルローヤルに向かいます。

せんせぇ

野島広之は連休を利用して妻の里沙が待つ札幌に戻ろうと考えます。

しかし、里沙は二十年に渡って高校時代の担任と関係を持っていて、今も続いてることが容易に想像できます。

複雑な心境の中、野島のクラスの生徒・佐倉まりあに声を掛けられ、二人は同じ電車に乗って道中を共にすることになります。

まりあは甘ったるい声から想像ができないほど壮絶なことを語り、二人はひょんなことからホテルに一緒に入ることになります。

星を見ていた

山田ミコは六十歳になってからホテルローヤルの掃除婦として働き始めます。

この話ではラブホテルの裏方といえる掃除婦の一面だけでなく、これまで登場しなかった雅代の母親・るり子が描かれています。

雅代の目線だと決して良い母親とは言えませんでしたが、口が悪いのとは裏腹に面倒見の良いところなど違った一面を見ることができます。

ギフト

『本日開店』で亡くなった田中大吉が、ホテルローヤルを開業するまでのエピソードが描かれます。

若かりし頃のるり子も登場し、二人にもまた男女としての輝かしい日々があったことが分かります。

これまで惨めなたまり場のような描かれ方をしているホテルローヤルですが、出来た当初は夢や希望が詰まっていることが分かるエピソードで、これまでの短編を読んだことによって思うところがたくさんありました。

感想

ラブホテルという非日常

本書で描かれる七つの物語は、ラブホテルそのものを舞台にしたものもあれば、人生の一場面にラブホテルが登場することもあります。

共通点はそれだけでなく、ラブホテルでさらけ出される男女の本音、そしてその後に訪れる虚しくなるような現実も共通しています。

しかも舞台となるホテルリーガルは北海道の釧路湿原を見下ろせる高台の上にあり、都会にあるラブホテルのようにキラキラしているわけではありません。

人間の欲望が美化されることなく、ありのままに描くにはぴったりの場所です。

日常でため込んだ鬱憤を晴らし、不安を紛らわせる。

そして、情事が終わって重くのしかかる現実。

幸せでない情事もあるのだと、今更ながら思い知らされました。

まとめ方が上手い

各短編は時代を前後しながらもホテルローヤルを軸に繋がっていますが、最後の『ギフト』によるまとめ方が本当に秀逸です。

様々な人間の欲望の捌け口となり、人生を見守ってきたホテルローヤル。

それがどのように、どんな思いで生まれたのか。

そこにもまた人生があり、最後にこれを読むことで二度読みの時は各短編が違った意味を持ってきます。

おわりに

ラブホテルというと煌びやかで色気に満ちているように思えますが、それもほんの一瞬で、その後には虚しさだったり寂しさが待っていることもあります。

ホテルローヤルという舞台を共通にするだけでなく、時系列も前後することで各短編にそれ以上の繋がりが生まれ、一つの作品『ホテルローヤル』として素晴らしい仕上がりになっています。

人生に不安や不満、挫折を抱えている人の許しとなる作品かもしれません。

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