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『ほんとうの花を見せにきた』あらすじとネタバレ感想!吸血種族バンブーと人間が織りなす物語

harutoautumn
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中国の山奥からきた吸血種族バンブーは人間そっくりだが若い姿のまま歳を取らない。マフィアによる一家皆殺しから命を救われた少年は、バンブーとその相棒の3人で暮らし始めるも、人間との同居は彼らの掟では大罪だった。禁断の、だが掛けがえのない日々―。郷愁を誘う計3篇からなる大河的青春吸血鬼小説。

「BOOK」データベースより

可愛らしい表紙と、気骨の感じられるタイトル。

どんな話かと思って読み始めたら、まさかの吸血鬼のような存在・バンブーと人間の関係を描いた作品でした。

表題作含む三つの作品から本書は構成されています。

正直、表紙と中身はあまりリンクしていませんが、そんなことは気にならないくらいに面白い作品だったので、表紙やタイトルでピンときた人にはぜひ読んでほしい一冊です。

本書に関する桜庭一樹さんへのインタビューはこちら。

バンブーはぼくの心の友!|本の話

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

バンブーという存在

本書の短編・中編すべてに共通して登場するのが、バンブーという存在です。

中国の山奥からやってきたオバケの一族で、名前の通り、竹のオバケです。

見た目は人間で、人の血をすすり、太陽の下を歩くことができない特性は吸血鬼そのものです。

若い姿のまま年はとらず、寿命は百二十年ほどと人間よりも長く生きることができます。

バンブーは種族の掟によって厳しく縛られていますが、本書ではその掟を破って人間と交流していく姿が描かれます。

ちいさな焦げた顔

十歳の少年・梗の住む町は組織によって牛耳られていました。

ある日、父親がボスの女と関係を持ったことで組織からの襲撃にあい、母親や姉、使用人などを殺害されてしまいます。

そのまま梗の命も奪われると思われましたが、彼は母親の死体から血をすする男と出会います。

男はムスタァというバンブーでした。

バンブーは死んだ人間の血しか飲んではならず、血の匂いに誘われてここにきたのでした。

そのまま立ち去ろうとするムスタァですが、死を覚悟した梗を見て気が変わり、彼を住処に連れて帰ることにします。

ムスタァは同じくバンブーの洋治と暮らしていて、梗は組織の目から逃れるために女の子のふりをします。

こうして人間とバンブーの奇妙な生活が始まります。

ほんとうの花を見せにきた

『ちいさな焦げた顔』に登場するバンブー・茉莉花が主人公の物語で、時系列的には『ちいさな焦げた顔』より後の話になります。

茉莉花は人間の少女・桃と手を組み、見知らぬ人を巧みに誘って襲っては殺さずに血を取って暮らしていました。

桃が一緒にいてくれることが嬉しい茉莉花ですが、そんな生活は長く続きません。

二人の関係に終わりを告げる出来事が起き、物語は一気に動き出します。

あなたが未来の国に行く

二つの物語よりも前の話。

この頃、バンブーはまだ竹族と呼ばれていて、『山の守り神』として中国の山奥でひっそり暮らしていました。

主人公の少女は竹族の王族として城に暮らしていて、六人いる子どもの五番目です。

頭は良いのですが容姿は普通で、兄姉たちよりも小柄。

下の弟も容姿については同様で、下二人は王族のはみ出し者でした。

中国政府は都会の学者や若者を農村に送りますが、都会から来た彼らは竹族を敬うことはなく、竹族の王はさらに山奥に逃げることを検討していました。

一方で、竹族の庶民の一部は船を造り、海を渡って別の土地に移住しようと考えているものもいます。

少女は船を造っている友人たちの話を聞き、未来の国に行くという言葉に惹かれていました。

感想

種族を超えた関係

バンブーは性質だけで見ると吸血鬼そのものです。

ところが本書で描かれるバンブーは掟を守る常識的な種族で、無闇やたらに人間を襲うことはありません。

見た目は若者ですがその姿のままに何十年も生きていて、人間と一緒に暮らしていると、時の流れによって種族の違いが浮き彫りになります。

掟を抜きにして、異なる性質を持つバンブーと人間は一緒に暮らすことができるのか。

その関係は永遠のものになりえるのか。

何気ない会話を通じてバンブーと人間が理解を深めていく様子を桜庭さんは丁寧に描いていて、良質な作品だなというのが第一印象です。

切ない感動

個体差こそあるものの、バンブーと人間の関係が迎える結末は似ています。

違う種族が対等に、ずっと暮らすことがいかに難しいのかが分かります。

しかし、それでも一緒にいた時間が無駄だったわけではありません。

お互いの中に一緒に過ごした記憶があり、感情があり、それが生きていく上で大事な役割を果たします。

このあたりの描写は胸が苦しくなるほど切なく、けれども熱くなるような感動を覚えました。

本書を手にとった時との印象からのギャップに驚き、そしてこの感動にもう大満足です。

おわりに

桜庭さんの感性の瑞々しさがこれでもかと作品に反映されていて、予想もできなかった吸血種族の物語を楽しむことができました。

僕は自身の中にある火を自覚し、これからを大切に生きたい。

そんな気持ちになれました。

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