小説

『青年のための読書クラブ』あらすじとネタバレ感想!名門女学校で起きた数々の事件の裏で活躍する読書倶楽部の物語

東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者(アウトロー)だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の“クラブ誌”があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が、名もない女生徒たちによって脈々と記録され続けていた―。

「BOOK」データベースより

桜庭一樹さんの作品である本書。

とある名門女学校を舞台に、百年に及ぶ歴史の中で起きた珍事件の数々と、それを記録する読書俱楽部の存在が描かれています。

まるで演劇のような舞台設定、台詞回しで、いつの間にか癖になります。

また読み進めるほど女学院の歴史が感じられるようになり、ユーモアと哀愁の融合がもう見事です。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

物語の舞台

本書の舞台となるのは、東京の山の手にある名門女学校『聖マリアナ学園』です。

二十世紀初めに修道女、聖マリアナによって創立され、そこに通う生徒は良家の子女として世間から認知されています。

本書中で学園ができるまでの話も描かれていますが、そこで占い師はこの学園が百年続き、それから男がやってくることを予言しています。

つまり、設立から百年間は女学校として機能し、それから共学に変わることを指します。

予言は最終的に現実に変わるわけですが、女学校という特殊な環境においてどんな事件が起きるのか。

それが本書の見どころになっています。

読書倶楽部

学園では百年もの間にいくつも珍事件が発生します。

しかし、それらは学園にとって好ましくないものであり、正史には刻まれませんでした。

そうして闇に葬られたわけですが、事件の裏でこっそり記録した存在もあります。

その名を読書俱楽部といいます。

女学校ならではの華やかな学園生活とは無縁で、物語に魅了された生徒が集まりました。

目立たない存在の彼女たちですが、事件に何らかの形でかかわり、その全容を後世に伝えるべく記録します。

学園の歴史の中で、どんな奇想天外な事件が起きたのか。

読者は読書俱楽部の残した記録を読んで胸を躍らせるわけですが、面白いのはそれだけでありません。

読書俱楽部自体にもとてつもない魅力があり、ページをめくるごとに歴史を積み上がっていく感覚は感慨深いものがあります。

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感想

謎と浪漫が詰まっている

僕はいい歳した大人になっても、女学校のような女性だけの集団に華やかな幻想を抱いてます。

すべてが美しく、見ているだけで心が満たされる。ついでに良い香りがする、みたいな。

本書は表面上、僕の幻想を見事に描いていて、これぞ女学校という感じです。

もちろんそれも魅力の一つですが、タイトルにある通り、本書の主役は読書俱楽部です。

華やかな騒ぎから離れ、本があればそれで良いというような女子生徒の集まり。

平凡に学園生活を送っているだけのように思えますが、彼女たちにもちょっとした野望だったり夢があります。

それがちょっとした拍子に事件になってしまうわけですが、そこには胸躍るような謎と浪漫が込められていて、この非現実さは小説ならではの醍醐味ではないかと思います。

想像する楽しみ

本書には印象的な喫茶店が登場しますが、それにはモデルがあります。

実際に訪れたことはありませんが、写真を見ていると、物語の姿をそこに投影できそうでした。

今後、行ってみたい場所の一つです。

また東京の山の手に聖マリアナ学園があると設定されているので、どの辺だろうとつい想像してしまいます。

2019年を過ぎて、男がやってきて学園はどう姿を変えたのだろう。

読了後も妄想が絶えません。

読んだら終わりではなく、その後も読者の人生が続く間はずっと寄り添ってくれる。

そんな物語と出会えたことは本当にありがたいことで、想像すらも楽しい作品です。

おわりに

桜庭さんの型にはまらない、自由な想像が詰まった一冊です。

本の世界に浸ることが好きな人にとって、くすりとしてしまうポイントがたくさんあります。

ぜひリラックスして、心ゆくままに楽しんでください。

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