『ハローサマー、グッドバイ』あらすじとネタバレ感想!SF×恋愛青春で読者の予想を上回る
夏休暇をすごすため、政府高官の息子ドローヴは港町パラークシを訪れ、宿屋の少女ブラウンアイズと念願の再会をはたす。粘流が到来し、戦争の影がしだいに町を覆いゆくなか、愛を深める少年と少女。だが壮大な機密計画がふたりを分かつ…少年の忘れえぬひと夏を描いた、SF史上屈指の青春恋愛小説、待望の完全新訳版。
Amazon商品ページより
片山若子さんの表紙が気になっていて、手にした本書。
SFであり、青春恋愛小説である。
途中まで青春恋愛が中心にも関わらず、終盤からSFという要素がグッとうまみを増す。
そんなニュアンスの感想をあちこちで見ていましたが、その感想に偽りはありませんでした。
大人から子どもまで、、受け取るものがある名作です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
本書の立ち位置
冒頭、作者であるマイクル・コーニイさんによって本書が何なのかが説明されます。
ジャンルは恋愛小説であり、戦争小説であり、SF小説であり、さらに多くのものであると書かれていて、本書が単純なジャンルに分類できないことが分かります。
物語の舞台は地球ではありません。
地球に似ているものの、この星ならではの性質、そこに住む生き物もSFチックで、どこか不思議な印象を受けます。
主人公含め、登場人物は人間型(ヒューマノイド)なので、人間として見ても違和感はありません。
冒頭に設定が語られていますが、本書を読み終えてどう解釈しようかという時に、ここに答えが書いてあることはよく覚えておいてください。
夏の旅行
ドローヴは夏になると毎年、住んでいる首都アリカから港町パラークシに休暇を利用した旅行に出ます。
父親は役人で地位が高く、戦争によって物資が不足しているにもかかわらず、自動車を所有して走らせることができることからも、裕福さがうかがえます。
両親は厳格で、自分たちが望むようにドローヴを教育したいことがありありと伝わります。
しかし、それはドローヴの意に反することで、そこに愛情がないことがすぐに分かります。
パラークシに行くにあたり、ドローヴにはどうしても会いたい人がいて、それがパラークシ・ブラウンアイズという少女でした。
二人の恋
本書はパラークシに到着してからの物語がほとんどで、その中でもドローヴとブラウンアイズの恋に焦点が当てられています。
ブラウンアイズは酒場を兼ねた宿屋の娘で、ドローヴの両親からすれば息子が付き合うにふさわしくない少女だと考えていますが、ドローヴは彼女に恋をしていました。
そして再会してすぐ、ブラウンアイズもまたドローヴに対して特別な思いを抱いていることが分かります。
二人は奥手ゆえにその関係性はなかなか進展せず、周囲の子どもたちによって流されてしまうこともありますが、二人きりになると少しずつ気持ちを漏らし、お互いの気持ちを確かめ合います。
こうして二人のラブストーリーが展開されるわけですが、そこに戦争の魔の手が忍び寄っていました。
感想
奇跡のようなバランス
本書は読み終えてはじめての真価が分かった気がします。
これは読んでいる最中が面白くないというわけではなく、冒頭で著者の語る設定の意図や思いが最後まで読むことによって理解できたからでした。
あらすじでも書いたように、本書の多くはドローヴとブラウンアイズの恋愛を描いています。
ドローヴから見たブラウンアイズは容姿から性格まで完璧で、高尚な存在ですらあるような見え方をします。
はじめ、僕はブラウンアイズに裏があって、ドローヴが見ているものは偽物が含まれているのではと勘ぐっていました。
しかし、ブラウンアイズは読めば読むほどドローヴが思う女性そのもので、なんてピュアで見ているこっちが恥ずかしくなる恋愛だろうと思ってしまいました。
このパートはすれた大人が読むよりも、未知のこれからを楽しみに待つ若い人たちにこそ読んでほしいです。
忘れた頃にくるSF要素
ドローヴとブラウンアイズばかりに目がいきがちですが、そんな時にSF要素がグッと前に出てきます。
はじめは用語と説明がなされても、何の意味があるのだろうと素通りしてしまいます。
ところが忘れた頃にその設定に意味があることが分かり、慌てて前のページを読み直すことになりました。
そうすると前半の単なる描写や出来事だと思っていたことが意味を持つのでは?という疑問に行き当たり、物語は一気に奥行きを増します。
SF要素が結末を色づけたといっても過言ではありませんが、ネタバレを避けると見事の一言です。
ここまで予想できない、けれど納得ができる結末があるのだと、感心してしまいました。
この味わいは一度しかないので、未読の方はぜひネタバレを見ずに、まずはその目でご堪能ください。
おわりに
これから先、夏が来るたびに何度でも読み返したくなる一冊でした。
その頃には今よりもドローヴやブラウンアイズたちを見ることが恥ずかしくなっているかもしれませんが、それもまた良いですね。
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