桜庭一樹『GOSICK-ゴシック-』あらすじとネタバレ感想!新しいホームズ×ワトソンなミステリ
前世紀初頭、ヨーロッパの小国ソヴュール。極東の島国から留学した久城一弥は、聖マルグリット学園の図書館塔で奇妙な美少女・ヴィクトリカと出会った。彼女の頭脳は学園の難事件を次々解決してゆくが、ある日ヴィクトリカと一弥は豪華客船に招待され、そこで本物の殺人事件に遭遇してしまう。やがて彼ら自身に危機が迫ったとき、ヴィクトリカは―!?直木賞作家が贈る、キュートでダークなミステリ・シリーズ。
「BOOK」データベースより
桜庭一樹さんのミステリ作品で、アニメ化、マンガ化など様々な媒体に進出しているのでご存知の人も多いのではないでしょうか。
ちなみにずっと名前で勘違いしていましたが、桜庭さんは女性です。
驚きましたが、登場人物のやりとりなどを見ていると可愛らしさがあり、納得いきました。
ホームズ(探偵)×ワトソン(助手)というミステリの王道の設定を踏襲しながらも、この作品ならではの謎に満ち溢れていて、一巻である本書から魅力的な作品であることがすぐに分かると思います。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
物語の舞台
時は1924年。
物語の舞台はヨーロッパの架空の小国・ソヴュール王国です。
スイス、イタリア、フランスと接していて、王国にある聖マルグリット学園は初の世界大戦終結後、同盟国から優秀な生徒を留学生として受け入れ始めます。
本書の主人公は留学生の一人、日本からやってきた十五歳の少年・久城一弥です。
成績優秀で、軍人一家の末っ子。
真面目で冗談の通じないところがありますが、将来を期待されています。
一方で、見た目や春にやってきたことから、学園に伝わる怪談などに関連づけられ『死神』というありがたくない綽名をつけられ、偏見を持たれていました。
謎多き少女
学園にはいつも休んでいる女子生徒がいて、彼女にプリントなどを届けるのは一弥の役目でした。
学園の敷地の隅に建つ大図書館、その一番上にある植物園に少女・ヴィクトリカはいつもいます。
精巧な人形と見間違えるほどの美貌と、老人のようなしわがれた声。
ヴィクトリカは何らかの理由でこの部屋に閉じ込められています。
彼女は知的活動に飢えていて、この世の混沌(カオス)から受け取った情報をもとに彼女の中にある『知恵の泉』がそれらを再構成する、という遊びをよくします。
簡単にいうと、推理が好きなのです。
その頭脳を利用してグレヴィール・ド・ブロワ警部は何か事件があっては植物園を訪れ、ヴィクトリカに解かせては手柄を自分のものにしていました。
とはいっても、なぜかヴィクトリカとグレヴィールは仲が悪く、いつも一弥を介してでしか会話が成り立ちません。
本書において二人の間に何らかの関係があることは提示されますが、詳細までは明かされません。
招待状
ヴィクトリカのおかげでまた一つの事件が解決され、ブロワはその褒美としてヨットを入手します。
ヨットには解決した事件の被害者・ロクサーヌ宛ての招待状が残されていました。
それは豪華客船への招待で、客船の名前は『QueenBerry号』。
学園で噂されている、十年前に沈んだはずの客船と全く同じ名前でした。
十年前の再現
一弥とヴィクトリカはロクサーヌの代わりに豪華客船に乗り込みます。
はじめは優雅に夕食を楽しみますが、いつの間にか招待客は全員寝てしまいます。
睡眠薬が仕込まれていたのです。
目を覚ますと招待客は十二人になっていて、寝ている間に一人増えたことになります。
さらに罠が仕掛けられていて、ボウガンの矢が一弥を襲います。
頭上すれすれを飛んだので助かりましたが、多くの招待客は何かを知っているように覚え出します。
一弥もまた、同級生のアブリルから聞いた怪談と今の状況がそっくりであることに気が付きました。
そして、血文字による何者かの復讐を思わせる文章、ボウガンによって殺害された一人の男性。
この文章の意味が分かる招待客は一名を除いて逃げるように慌てて救命ボートに乗り込みますが、ボートが転覆して姿を消します。
一弥、ヴィクトリカを含めた若者四人は、残った最後の貴族から事情を聞きます。
野兎
十年前、QueenBerry号で残虐なゲームが行われました。
十一人の国籍がバラバラの十代の少年少女が集められ、殺し合いが行われたのです。
彼らの共通点は全員が孤児であることで、『野兎』と呼ばれていました。
当時の様子はモノローグという形で語られます。
残った貴族やボートに乗った貴族たちはこのゲームの主催者側で、少年少女のうち何人かは生き残り、今は大金をもらってどこかで暮らしているはずです。
QueenBerry号は十年前に沈んでいるので、この客船はそれを真似た精巧なレプリカということになります。
招待客を考えると、招待主は生き残った野兎で、大人たちへの復讐ということになります。
現状、一人増えた人間こそが野兎であり、犯人だと考えるのが妥当です。
十年を考慮すると、野兎は現在二十代のはず。
一体誰が増えた一人なのか。
野兎は誰なのか。
犯人は本当に野兎なのか。
一弥とヴィクトリカは混沌の欠片を集め、やがて再構成して事件の真相に辿り着きます。
感想
ホームズ×ワトソンを踏襲
やはりミステリ、とくに探偵ものの王道といえばホームズ(探偵)×ワトソン(助手)の組み合わせだと思います。
本書はそれを踏襲していて、ヴィクトリカには解けない謎がないのではと思わせるほどの圧倒的な知力を見せてくれます。
また彼女はなぜ植物園から出られないのか、グレヴィールとはどんな関係なのかなど気になる謎がたくさんあるので、ミステリアスな魅力も持っています。
そして最後に、男女ペアということで今後の恋愛要素も期待できるので、設定の時点で非常にうまく作られていると感じました。
登場人物の役割がはっきりしている
一巻はどうしても登場人物の説明が多くなりがちで、それ単体では面白みに欠けるケースも多くありますが、本書はそんなことはありません。
短い説明で登場人物それぞれの役割がはっきりされ、展開が良い意味でパターン化されているので、読者はすぐに馴染み、腰を据えて楽しむことが出来ます。
ミステリとしても面白い
ここまでの記述だとライトノベル要素が強いと感じられると思います。
現にアニメ化、マンガ化された内容などからも、その側面が強いことは否定しません。
しかし、登場人物の魅力に頼りきりかというとそんなことはなく、ミステリの中身でもしっかり勝負しています。
1900年代前半、そしてヨーロッパということで探偵ものがとにかく映える設定が敷かれ、それを活かした謎は魅力で溢れています。
解き応えはありますが、そこまで長い話ではないので、何かの合間に読む程度でも十分に楽しめます。
おわりに
一巻でしっかり魅力を伝えた上で、次巻以降、もっと面白くなることを予感させてくれる非常に素晴らしい内容だと思います。
王道と新しい要素の組み合わせ方が上手いので、ミステリ、特に探偵ものが好きな人であればまず読んでそんはないと思います。
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