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『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

harutoautumn
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全人類がウイルスに侵され、死ねば誰もが活性化遺体になる世界。家畜ゾンビが施設で管理され、野良ゾンビが徘徊する日常のなか、とある細胞活性化研究者が、密室の中で突然ゾンビ化してしまう。彼はいつ死んだのか?どうやってゾンビになったのか?生者と死者の境目はどこだったのか?騒然とする現場にあらわれたのは、謎の探偵・八つ頭瑠璃。彼女とともに、物語は衝撃の真相が待ち受けるラストへと加速していく。世界もキャラクターもトリックも真相も予測不可!極上のゾンビ×ミステリー、開幕。

「BOOK」データベースより

SF、もしくは童話のような世界観に、頭がおかしくなりそうなアホみたいな会話、そして淡々と広がるダークな部分が魅力的な小林泰三さんですが、本書もさすがの一言です。

いわゆるゾンビが蔓延した世界を舞台に、殺人事件を探偵・八つ頭瑠璃が解いていくという内容で、途中でオチが読めた気がしました。

ところが、僕の予想よりさらに一歩先を行っていて、その点も大満足です。

『アリス殺し』など小林さんの作品を楽しめた方であれば、文句なしで読むべき作品です。

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この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

物語の世界では、二十年前に遺体活性化現象が起きました。

簡単にいえば、死んだ人間がゾンビとなって復活するというものです。

ゾンビに噛まれた人間もまたゾンビになりますが、それにはゾンビウイルスが関係しています。

すでに世界中ほとんどの人がゾンビウイルスに感染していますが、免疫力があるうちは発症することはありません。

ゾンビは瞬く間に数を増やし、今では街中を歩く『野良ゾンビ』も存在する状態ですが、動きは鈍いため注意していればそこまで危険はありません。

一方、現在の進行とは別に、八つ頭瑠璃と双子の姉・沙羅のやりとりが描かれます。

この描写で沙羅は悪役に映りますが、次第にこの態度の裏にある真実が判明します。

事件

民間医療研究機関・アルティメットメディカル社のパーティーが、執行役員の有狩の邸宅で行われます。

このパーティーでは毎度革新的な研究成果が発表され、誰もが注目していました。

ところが、発表の時間になっても主幹研究員の葦土は現れず、代わりに葦土の叫び声が聞こえます。

ドアをこじ開けると、そこには葦土が立っていました。

口は半開きで、目は黄色く濁った白色をしていて、それは活性化遺体(ゾンビ)の特徴そのものでした。

つまり、葦土は他殺、もしくは自殺によって命を失った後、ゾンビ化したことになります。

有狩は猟銃で応戦しますが止めることはできず、誘導して邸宅の外に出しました。

密室

情報屋の竹下から事件について聞かされた探偵・八つ頭瑠璃は、鑑識係の格好をして邸宅に潜入。

刑事の三膳と競う形で犯人逮捕に名乗りを挙げます。

事件のポイントは、葦土のいた部屋が密室だったという点です。

このせいで自殺にしろ他殺にしろ不自然な点が出てきてしまいました。

命を狙われる

瑠璃は細胞活性化技術研究所で調査を進め、葦土が『ゾンビ化プロセスの逆転』を研究していたことが判明します。

帰り道、瑠璃の車が動かなくなり、携帯も通じなくなってしまい、ゾンビに取り囲まれてしまいます。

そこに竹下が登場したことで何とか窮地を脱しますが、道中、今度は野良ゾンビに襲われます。

劣勢でしたが、今度はゾンビを食べる人間が登場し、何とか助かります。

世間には趣味嗜好でゾンビを踊り食いする『ゾンビイーター』と呼ばれる人たちがいて、二人を助けてくれたのは石崎笑里(えみり)でした。

笑里と別れる二人ですが、今度は立ち寄った酒場でゾンビらしき男に襲われます。

男は銃で撃たれても死なない不死身性を持っているにも関わらず、ゾンビには見られない知性的な動きを見せ、人の言葉を話します。

狙いは明らかに瑠璃でした。

瑠璃は男に向かってクロスボウを放つと、男はゾンビなのに痛がります。

足の腱を切られて逃げられないことが分かると、男は銃をくわえて自害するのでした。

パーシャルゾンビ

男は藤倉といい、瑠璃は男がパーシャルゾンビだった可能性を挙げます。

パーシャルゾンビとは部分的にゾンビ化した人のことをいい、瑠璃がその存在を知っているのは彼女の両親がアルティメットメディカル社で働いていたからでした。

パーシャルゾンビは自然発生することはなく、人工的に生み出されたのは明らかです。

瑠璃は藤倉の背後に何らかの組織があり、その組織が技術独占のために葦土を殺害したと考えます。

また笑里の話から、複数のパーシャルゾンビがいることが確認され、瑠璃の調査はどんどん壮大になるのでした。

別行動

瑠璃は竹下を連れて国立研究所を訪問。

『部分的活性化遺体』、つまりパーシャルゾンビについて検索した人物を調べると、二人だけいました。

瑠璃が今検索したものと、葦土です。

ますます調査にのめり込む瑠璃ですが、それは本来の依頼から逸脱したもので、竹下は冷静さに欠けると注意します。

しかし、瑠璃はこの研究が関係することで両親と姉を殺害されたと主張し、調査の手を休めるつもりはありません。

二人の話し合いは言い争いになり、瑠璃は竹下と別れて行動することにしました。

瑠璃の正体

三膳同席の上、有狩に進捗を報告する瑠璃ですが、その時、部屋に爆発物が投げ込まれます。

瑠璃は爆発物を持って部屋から遠ざけようとしますが、爆発に巻き込まれて金属片が心臓を貫く大けがを負います。

どう見ても、助かる見込みはありませんでした。

ところが金属片を抜くと、引き裂かれた心臓が動き出し、瑠璃の意識が戻ったのです。

一同が驚きを隠せない中、瑠璃は指定の病院に搬送するよう指示します。

彼女は、両親によって処置されたパーシャルゾンビだったのです。

数年前、大変な事故にあって死にかけていた瑠璃を助けるための処置で、この時にパーシャルゾンビの技術は完成しました。

瑠璃はほどなく回復し、竹下は瑠璃の身内だと嘘をついてお見舞いに現れます。

二人は思っていることを打ち明け、わだかまりを解消させるのでした。

犯人

犯人はパーシャルゾンビの技術の独占を狙っていると考えられ、このままでは瑠璃の命がまた脅かされるのは明らかです。

そこで瑠璃は事件解決後、自分の身体の検査をしてもいいことを条件に研究所の再調査の許可を有狩からもらいます。

研究所から内緒で葦土の研究成果を持ち出して解析した結果、それはパーシャルゾンビの研究だったことが判明します。

瑠璃は葦土殺しの犯人が分かり、事件の関係者を有狩の邸宅に集めます。

瑠璃の推理では、葦土が殺害されたのは『葦土が逃亡』してから『葦土が発見』された間ということになります。

つまり、逃亡した葦土はゾンビではなく、パーシャルゾンビだったのです。

だから有狩に猟銃で打たれても動いていられたし、ゾンビの目を再現したコンタクトをつけることでゾンビだと誤認させることができました。

瑠璃はことの経緯を話しますが、笑里は致命的におかしいところを指摘します。

葦土は逃亡後に殺害されたことになりますが、彼をゾンビだと思っている人間はわざわざゾンビを殺害しようとは思いません。

つまり、犯人は葦土がパーシャルゾンビであることを知っていた人物になります。

犯人は有狩でした。

パーシャルゾンビの開発成功を発表しようとした葦土を殺害し、利益を独り占めするつもりだったのです。

犯行を暴かれた有狩ですが自首することなく、動けば爆弾を起動させると脅しにかかります。

仮に爆発しても有狩だけは助かるよう準備をしていて、瑠璃たちが逆にピンチに陥ります。

瑠璃は有狩に頭部を撃ち抜かれて死んだように見えましたが、なぜか動くことができました。

ここで瑠璃の正体が明らかにあります。

瑠璃と沙羅は一つの体を共有する関係ですが、多重人格ではありません。

二人はとてもアンバランスな結合双生児で、瑠璃は沙羅の体の腹部に寄生した人面そうの方でした。

こちらに彼女の脳があるため、頭部を撃ち抜かれても生きていることができました。

露出が多い服を着ているのも、腹部から外の様子を見ているからでした。

真実

数年前の事故の話。

研究所にいる両親のもとに沙羅と瑠璃が訪れますが、そこに爆発物が投げ込まれ爆発。

沙羅は瑠璃を助けてほしいといって息絶え、両親は瑠璃を助けるために最善を尽くします。

両親はまだ未完成だったパーシャルゾンビの技術を駆使し、瑠璃の部分ゾンビ化に成功します。

さらに友人の一条に依頼し、瑠璃が沙羅の体を自由に動かせるよう処置を施したのでした。

結末

瑠璃はまたしても希望の病院、一条のもとに搬送され、処置を受けます。

両親は瑠璃をパーシャルゾンビにした後、研究データと共に失踪しました。

しかし、瑠璃は何者かによってデータが盗まれ、両親も殺害されていることを確信していたため、犯人を捜していたというわけです。

有狩は瑠璃の両親や沙羅を殺害したことを認めたため、瑠璃の復讐は果たされたことになります。

三膳は事件の全てを説明してくれ、これで謎は全て解けました。

瑠璃は目的を果たし、沙羅の体をもう休ませるために分離手術を受けようとしますが、竹下が止めます。

彼にとって瑠璃はかけがえのない存在で、竹下の前で瑠璃はもう本当の顔を隠す必要がないのです。

竹下が腹部にある瑠璃の顔にキスをすると、四つの目から涙が溢れ出るのでした。

おわりに

まさかの感動的なラストで終わったので、小林さんの作品の中ではけっこう後味が良いと思います。

不満を挙げるとすれば、表紙です。

これ、読めば意味が分かりますが、完全にネタバレです。

あとタイトルも。

この辺りがもう少し考慮されていれば文句なしでしたが、それでも大満足の一冊です。

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