『ユージニア』あらすじとネタバレ感想!数十年後に浮き上がる未解決事件の真実とは
「ねえ、あなたも最初に会った時に、犯人って分かるの?」こんな体験は初めてだが、俺は分かった。犯人はいま、俺の目の前にいる、この人物だ―。かつて街を悪夢で覆った、名家の大量毒殺事件。数十年を経て解き明かされてゆく、遺された者たちの思い。いったい誰がなぜ、無差別殺人を?見落とされた「真実」を証言する関係者たちは、果たして真実を語っているのか?日本推理作家協会賞受賞の傑作ミステリー。
「BOOK」データベースより
第59回日本推理作家協会賞受賞作ですが、従来のミステリと違ってあえて白黒はっきりさせない描き方をしています。
数十年以上前の事件を数々の証言によって浮かび上がらせるという内容で、その証言すら正しいのか分からない状態です。
しかし事件には人を引き付けて離さない怪しい魅力があり、恩田陸さんの魅力がとてもよく表れた作品です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
物語の舞台は金沢。
数十年も前に名家で起きた大量毒殺事件を今になって調べることになり、事件に関係する人たちへのインタビュー、そして当時の光景が描かれることで事件の本当の姿が浮かび上がってくるという内容です。
名家で起きた大量毒殺事件
数十年前、金沢の名家・青澤家で大量毒殺事件が起こり、家族や親戚以外も含めて十人以上が犠牲になります。
当時、帝銀事件みたいだと噂されていました。
現場には『ユージニア』という意味不明な言葉が書かれた一通の手紙が残されていました。
事件には謎が多く、捜査はなかなか進みませんでしたが、事件から三ヶ月が経った頃に一人の男性が自殺。
今回の事件は自分がやったと記された遺書を残していて、男性は長年不眠や妄想に悩まされていたことから精神科への通院歴がありました。
さらに男性が犯人だと指し示す証拠も出てきたため、警察は男性が犯人だとして捜査を締め切りました。
しかし警察の判断に疑問を抱く人は少なからずいて、その思いが数十年以上経って明らかになります。
忘れられた祝祭
雑賀満喜子は大学四年生の時に、卒論代わりに小学五年生の時に起きた青澤家の事件について調べようと関係者に当たりました。
時期が良かったのか世間で知られていないような証言が数多く聞くことができ、どんどん満喜子は事件にのめり込んでいきます。
調査結果は偶然、色々な人の目に留まり、『忘れられた祝祭』という本として発売されることになりました。
その反響は大きく、満喜子の元には賛否両論の手紙が届き、彼女はこの手紙の重さでさえ一生かかっても背負いきれないと痛感しました。
その結果、本の出版はこの一冊で終わり、今は普通の主婦として一人娘の成長を願っています。
何が真実なのか
様々な人物が当時のことを振り返ります。
視点が変われば事件の姿も変わります。
数々の証言が出てきて、じょじょに事件の本当の姿が浮かび上がってきますが、ここで注意があります。
それは全てが真実とは限らず、また真実の全てが明かされているとは限らないということです。
本人の主観が入るし、時間経過とともに記憶が形を変えている可能性もあります。
本書で得られた情報をもとに、何が真実だと決めるのか。
それは読者に委ねられます。
感想
作品の持つ圧倒的な雰囲気
まずはじめに感じたことは、最初の数ページで分かる圧倒的な雰囲気でした。
意図して書かれたものではなく、作品の持つパワーに恩田さんの方が書かされた、そんな圧倒的なものを感じました。
恩田さんの作品にはこういったタイプのものがいくつもありますが、本書はその中でも群を抜いています。
まるで本当に起こった事件で、『ユージニア』という作品として世の中に出てこなければならない。
そんな必然性を感じました。
グレーな結末
恩田さんは真実は一つとは限らないとして、白でも黒でもないグレイゾーンを描きたかったと語っています。
その言葉の通り、本書を読むことで事件の推理は出来るものの、それが真実かどうかは誰にも分かりません。
仮に間違った推理だとしても、そう信じたい人にとってはそれが真実ともいえます。
読了後も物語がまだ続いているような余韻があって、自分もまたこの事件にとらわれてしまったような感覚に陥りました。
白黒つけたい人には向かない
Amazonのレビューを見ていても見事に賛否両論です。
真実ははっきりと明かされ、その根拠が提示される従来のミステリを望む人にとって、本書は消化不良で終わると思います。
個人的には大好き、というよりも作品の方が離してくれないよう力を感じました。
この感覚を得られる作品にはほとんど出会えないと思いますので、表紙やタイトルから何か感じた人はまず読んでみてください。
おわりに
白黒はっきりさせたい人にとっては消化不良感があるかもしれませんが、この現実と幻想を行き来する感覚がとにかくたまりません。
世界観に没頭するという点において群を抜いていて、細かいことを抜きにして全身で楽しんでほしい一冊です。
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