小説

森絵都『カラフル』あらすじとネタバレ感想!世界は色彩であふれていた

created by Rinker
文藝春秋
¥682
(2020/04/10 22:15:46時点 Amazon調べ-詳細)

created by Rinker
アニプレックス
¥5,381
(2020/04/10 22:15:47時点 Amazon調べ-詳細)

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。

【「BOOK」データベースより】

実写映画、アニメ映画などを見てご存じの方も多いと思う本書。

実は出版されたのは二十年以上前の一九九八年で、もはや不朽の名作と読んでも差し付けないほどの地位を確立しています。

僕は今更になって読んだのですが、これはぜひたくさんの人に読んでほしいと感じました。

何かと肩身が狭くなり、誰もが心の余裕を失っている現代ですが、嫌な部分だけではなく良い部分も本当はあふれていて、世界は『カラフル』なんだと。

本書は教えてくれます。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

再挑戦

死んだはずのぼくの魂ですが、目の前にプラプラという天使が現れ、抽選に当たったことを告げます。

ぼくは大きな過ちを犯して死んだ罪な魂ですが、抽選に当たったことで再挑戦のチャンスを与えられました。

その内容とは、下界にいる誰かの体を借りて生活し、順調にいけば生前の罪を思い出し、輪廻のサイクルに復帰できるというものでした。

突然の宣告に申し出を断ろうとするぼくですが、すでに決定事項で拒否権はありませんでした。

プラプラがガイドとなり、ぼくは三日前に服薬自殺を試みて危篤状態にある『小林真』を借り、下界での再スタートを果たすのでした。

取り巻く環境

死ぬと思われていた真(魂はぼく)がよみがえり、家族は大喜びします。

ぼくは予想外に温かい家族に拍子抜けしつつも、状況を少しずつ把握します。

真は大人しい性格で中学校でも馴染めておらず、絵を描くことだけが生きがいでした。

ぼくは他人の体を借りているという気楽さから思うように過ごし、真を見る周囲の目も少しずつ変わっていきます。

自殺の原因

ぼくはプラプラから真が自殺を図った理由を聞かされます。

真は同じ中学の後輩・桑原ひろかに初恋をしていました。

ところが自殺をした日、真はひろかが中年男性とラブホテルに入っていくところを目撃。

これが自殺の大きな原因の一つです。

しかし、原因はそれだけではなく、今度はラブホテルから母親とフラメンコ教室の先生が出てくるところを目撃してしまいました。

この時点で真の精神は限界でしたが、帰宅後も悲劇は止まりません。

テレビのニュースで父親の会社の重役が逮捕されたことが伝えられますが、父親は出世のチャンスと喜び、利己的な一面を見せて真を幻滅させます。

真には兄の満がいますが、彼は無神経で意地悪で、真のことをいつも馬鹿にしていました。

一見、温かそうに見えてそれぞれ嫌な部分を抱える小林家。

ぼくは人間の本性を知り、幻滅するのでした。

ぼくに気が付く少女

周囲が真の変化に気が付く中で、一人だけぼくの気配を感じ取っている少女がいました。

名前は佐野唱子。

真のクラスメイトで同じ美術部にも関わらず、彼女だけはプラプラのガイドブックにも記載がなく、正体が謎でした。

ぼくは真と同様、ひろかに夢中になって唱子のことなど気にも留めていませんでしたが、やがて唱子が重要な人物であることに気が付きます。

ぼくの罪

順調に下界での生活を重ねるぼくですが、このチャレンジに合格するためには生前の罪を思い出さなければなりません。

プラプラは至るところにそのヒントがあるといい、ぼくは毎日の生活の中で周囲を見渡します。

すると、人間には悪いところだけでなく良いところもあることに気が付き、世界は光彩をはなち始めます。

そして、ついに生前の罪を思い出すのでした。

スポンサーリンク



全体の感想

小林真という冴えない少年を軸に、登場人物もわりと平凡などこにでもいそうな人が多く、それこそが本書の魅力を生み出しているのだと感じました。

読者に近い目線で世界の汚れを見せ、でも実は素晴らしいこともあることを何気なく気が付かせてくれる。

『何者にもなれない』。

こう言って嘆く人、内心落ち込んでいる人は多いと思いますが、そんな人には特に本書を読んでほしいと思いました。

人間、どうしてもポジティブな部分は当たり前と思いがちでネガティブな部分にばかりフォーカスしてしまいますが、本書は一度自分を客観的に見るチャンスをくれます。

そうすると、いつもは当然だと思っていたことへの感謝、今まで見ようとしていなかった良い部分が見えてくると思います。

そして世界がカラフルに見えれば、僕らはすでに『何者である』ことに気が付けるのかもしれません。

おわりに

非常に読みやすい文章からは想像ができないほど奥深い世界が広がっていて、老若男女問わず読まれている理由がよく分かりました。

読書の習慣がない人にも非常に読みやすい文章、内容なので、自分の生き方に迷った時に読むと何か答えが見つかるかもしれません。

created by Rinker
文藝春秋
¥682
(2020/04/10 22:15:46時点 Amazon調べ-詳細)

created by Rinker
アニプレックス
¥5,381
(2020/04/10 22:15:47時点 Amazon調べ-詳細)

読書に特化した端末『Kindle Paperwhite』
詳細はコチラ
読書に特化した端末『Kindle Paperwhite』
詳細はコチラ