ミステリー

『本と鍵の季節』あらすじとネタバレ感想!男子高校生二人が謎に挑む青春ミステリ

堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが…。図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。

「BOOK」データベースより

青春×ミステリといえば米澤穂信さんの代名詞ともいえる『氷菓』や『小市民』シリーズなど数多くありますが、本書はそれに負けず劣らずの魅力を持っています。

主人公である堀川×松倉の絶妙なバランスはもちろんこと、身近にありそうな解けそうで解けない謎、隠されたちょっと毒のある真実。

事件の一つ一つは五十ページ前後なので、通勤・通学や入浴中、就寝前などにサクッと読めます。

本書に対する米澤さんへのインタビューはこちら。

『本と鍵の季節』著者 米澤穂信さん

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

913

高校二年生、図書委員の堀川次郎と、同じく図書委員で皮肉屋で目立つ存在の松倉詩門。

二人のもとに図書委員を引退した浦上麻里が現れ、とある依頼をします。

それは、亡き祖父が鍵をかけたまま遺した金庫を開けてほしいというものでした。

二人は祖父が遺した手がかりを元に推理を始めますが、麻里やその家族の二人に対する期待は異常で、先に松倉が疑問を抱きます。

なぜ業者に開けてもらわないのか。

なぜトイレにまでついてくるのか。

松倉は真実に辿り着きますが、それは堀川には信じられないものでした。

ロックオンロッカー

堀川は行きつけの美容院の割引目的で松倉を誘います。

カット自体は何の問題もありませんでしたが、疑問点がいくつかありました。

貴重品は『必ず』手元に持つこと。

閉店時間が近いと話していたのにも関わらず、新しく入る三人の女性客。

退店後、松倉は事の真相に気が付きました。

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金曜に彼は何をしたのか

二人に相談を持ち掛けたのは、図書委員の後輩・植田でした。

職員室の窓が割られ、学校に何者かが侵入したという事案が発生。

期末テストの期間であること、普段の素行から植田の兄がテスト問題を盗もうとしたのだと疑われてしまいます。

堀川と松倉は植田兄の疑いを晴らすために調査を開始します。

ない本

またしても堀川と松倉のもとに相談が持ち掛けられます。

相談者は三年生の長谷川。

先週、長谷川の友人・香川が自殺をしていて、長谷川は香川が最後に読んでいた本を探しているのだといいます。

もしかしたら、そこに香川の遺言が書かれた便箋が挟まれているかもしれないからと。

いくつも疑問が湧いてくる相談ですが、二人は目的を本を探し始め、やがて長谷川の相談の意図を知ります。

昔話を聞かせておくれよ

ある日、堀川と松倉は昔話をし合うことになります。

堀川の話が終わったところで、次は松倉の番です。

しかし堀川の話と違い、松倉の話には単なる昔話ではなく、松倉の抱える問題が含まれていました。

堀川はそれを察し、問題解決に向けて松倉と共に動き出します。

友よ知るなかれ

単行本出版に当たっての書き下ろしです。

『昔話を聞かせておくれよ』に繋がるエピソードなので、ぜひ読んで内容を確かめてみてください。

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感想

米澤穂信らしい青春ミステリ

普通よりも少々聡く、世間をちょっと上から醒めた目で見ている。

かと思えば、目の前の謎につい熱くなってしまう。

そんな米澤穂信さんらしい味付けの男子高校生二人が主人公で、非常に王道で読みやすいミステリでした。

謎もお手軽で、しっかり文章を読んでいれば比較的簡単にヒントが見つかるので、自力で推理するのにちょうどよい難易度です。

探偵もので例えると、松倉がホームズ、堀川がワトソンという感じです。

しかし、堀川も探偵として見せどころもあるので、コンビとして非常に絶妙で読んでいて楽しい二人です。

微量のビターが効いている

これだけ見れば単なる青春ミステリですが、そこは米澤さん。

謎を解いた先にある真実にはちょっとしたビターなテイストも含まれていて、これが本書の面白さを押し上げてくれます。

特に最初の『913』には度肝を抜かれました。

こんな話をいきなり読まされたら、残りも集中して読まずにはいられません。

『氷菓』や『小市民』シリーズに比べて謎自体にブラックな要素が含まれているので、事件解決後も心にしこりが残るような後味を期待する人には特にオススメです。

シリーズ化もあり?

米澤さんの作品はシリーズとして完結していないものも多く、新刊が出るまでにかかる時間も伸びる傾向にあります。

普通であればこれ以上シリーズものは増やさないかと思いますが、幸か不幸か、堀川&松倉コンビはシリーズ化できるだけの強度と面白さを誇っています。

読者の要望もしくは米澤さんの構想によってはシリーズ化もあり得るかもしれません。

こればかりは待つほかにありませんが、個人的には既存シリーズを優先してくれると嬉しいというのが本音です。

決して本書が面白くないというわけではなく、既存シリーズの完結を見られないのはあまりにも悲しすぎます。

おわりに

米澤さんの持ち味が活かされていると共に新しい登場人物、物語の魅力が十分に発揮された作品でした。

ファンであれば読んで損のない、納得の一冊だと思います。

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