『アンデル6』あらすじとネタバレ感想!
【新創刊6号は、雨の日の読書が楽しくなるラインナップ】
〇読み切り短篇は新井素子さんの「もふもふ」、逸木裕さんの「異世界転生」。
〇朝比奈秋さん「アンチエイジングクラブ東京」の若返り医療に反響続々。
〇小川糸さん「メープルシロップ」は森を舞台にした癒しと再生の物語。
〇好評コラム「全国銘菓帖」は柚月裕子さん&坂井希久子さん。
○絶対に終電を逃さない女さん×生湯葉シホさんのエッセイスト対談も!
○コジヤジコさんの回文、はらだ有彩さんのコミック、
ひらいめぐみさんのエッセイ、最果タヒさんの詩、アート紹介まで。わずか80ページに、
たくさんの「物語と出会うきっかけ」を詰め込みました。
親しみやすく手に取りやすく、
毎月、「豊かな1時間」をあなたと共に
――そんな小さな文芸誌です。【中央公論新社創業140周年記念】
Amazon内容紹介より
【期間限定復刊!】
シリーズ第六弾となる本書。
前の話はこちら。

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あらすじ
アンチエイジングクラブ東京【朝比奈秋】
長谷川はそれまで抱いていなかった希望を胸にクリニックを後にしますが、帰り道、小澤に声をかけられて絶望に引き戻されます。
医師免許は返納したから利用価値はないはず。
長谷川は自らを鼓舞しますが、小澤は厚生労働省に知り合いがいて、医師免許を再交付するよう手配するといいます。
悪夢は終わらないのだと、長谷川は深い闇へと落ちていきました。
自白【逸木裕】
異世界転生シリーズの読み切り短編。
この世界ではあらゆる依存性が高い薬物が禁止されている中で、酒だけが例外でした。
小沢は組織犯罪対策課の警察官として働いていますが、酒に依存していることが分かります。
この世界では一年ほど前から『パッチ』という新たなドラッグが出回っていて、まだどういった薬物なのか詳細は掴めていません。
小沢たち警察はパッチに依存した人たちを逮捕していきますが、やがて流通経路や流通の目的を知ります。
メープルシロップ【小川糸】
カエデの森に春が来た頃。
カエデのもとに、ミチルとその祖父がやってきました。
ミチルは母親からカエデに宛てた手紙、ルナを持っていました。
手紙にはミチルが小学五年生で、ある日を境に言葉を話さなくなってしまったこと、その原因が友人の家で見た戦争の動画であることが書かれています。
母親は途方に暮れている中で、知り合いの知り合いの知り合いからルナを譲り受け、カエデを頼りにしてきたのでした。
こうして三人の新たな生活が始まります。
感想
既存の安定さ
今回は既存作品のボリュームがやや多かった印象です。
しかし、それが不満というわけでは全くなく、それは『アンチエイジングクラブ東京』や『メープルシロップ』がいずれも大変面白いからです。
前者は新たな展開を予感させるような内容で、後者は安定しつつも違った味わいを見せてくれるので、今回も大満足でした。
気づき
新しい内容でいくと、僕は絶対に終電を逃さない女(以後、終電)さんと生湯葉シホさんの対談が特に興味深かったです。
お二人とも、虚弱体質であることや社会の当たり前のルールに適合して生きることのしんどさ、その中での生き方をお話されていて、妻と似ているなと妙な共感を覚えました。
社会を成立させるために社会としての普通の働き方が必要だと分かっている上で、こういった方々でも自分の特性に合わせた生き方がもっと広まってほしい、選べる余地がほしい。
そんなことを思いました。
一方で、それだと生きていくだけのお金を稼げるほどの価値が創出できないのでは?という気持ちも同時にわいてきて、自分が現実的な大人になってしまったことに愕然としました。
バランスをとるのは難しいと感じる今日この頃です。
手土産の難しさ
柚月裕子さんが手土産に対する持論や思いを書いていますが、これもまた興味深かったです。
相手を喜ばせたい一方で、受け手はどういう気持ちで受け取るのだろう。
両者の視点を踏まえてバランスが良いものをチョイスしないと、受け取った側が喜んでくれない。
これは僕自身が受け取る時にも感じることだったので、うまく言語化されていて面白かったです。
こんなに面倒なら手土産という文化をなくせば良いのに。
そんな声もあると思いますが、一方で手土産があることで円滑に進むこと、新たな出会いになることも体感しているため、この面倒さも楽しめればと思いました。
おわりに
読んですぐは「今回はやや物足りないな・・・」と思っていましたが、こうして記事を書いているとなんと充実していることか。
特にエッセイや対談は今の自分に刺さるもので、このあたりをチョイスしてくるところにアンデルを編集している方々の熱意やリサーチ力の高さを感じます。
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