『アリバイ崩し承ります』あらすじとネタバレ感想!ミステリーの教本のような本格ミステリー
美谷時計店には、「時計修理承ります」だけでなく「アリバイ崩し承ります」という貼り紙がある。「時計にまつわるご依頼は何でも承る」のだという。難事件に頭を悩ませる捜査一課の新米刑事は、アリバイ崩しを依頼する。ストーカーと化した元夫のアリバイ、郵便ポストに投函された拳銃のアリバイ、山荘の時計台で起きた殺人のアリバイ…7つの事件や謎に、店主の美谷時乃が挑む。あなたはこの謎を解き明かせるか?
「BOOK」データベースより
本書はタイトルの通り、アリバイのある容疑者のアリバイを崩し、事件の真相を暴くというものです。
浜辺美波さん、安田顕さんなどの出演でテレビドラマ化され、話題になりました。
ドラマの公式サイトはこちら。
七つの短編から構成され、一つの話が五十ページに満たないので、サクサク読むことができます。
しかし、ミステリーの基礎、魅力はしっかり押さえていて、自分でも推理をしながら読むと非常に楽しめます。
また、教本のようにどういったものがアリバイになるのか、そこにはどんな穴があるのかを教えてくれるので、推理小説を書きたいと思っている人にも参考になるかもしれません。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
多少のネタバレになりますので、未読の方はご注意ください
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第1話 時計屋探偵とストーカーのアリバイ
あらすじ
新米刑事の僕は休日、時計の電池交換をしようと美谷時計店を訪れます。
店主の美谷時乃は時計の修理だけでなく、アリバイ崩しという謎のサービスを一回五千円で提供していて、僕はダメ元で今抱えている事件の相談をします。
事件の概要はこうです。
県立医科大学の教授・浜沢杏子が殺害される事件が発生し、容疑者と思われる人物はすぐに特定できました。
京子の元夫である菊谷五郎です。
五郎はギャンブルによる浪費癖がひどく、杏子にお金を無心するところを何度も目撃されています。
しかし、杏子の胃の中の消化物の状態などから、五郎には鉄壁のアリバイがありました。
一方、杏子の妹・安奈には二千万円の借金があり、二か月以内に支払う必要がありました。
仲の良い姉妹とはいえ、杏子の生命保険目当てで殺害するかもしれません。
警察が捜査に行き詰る中、時乃は話を聞いただけで五郎のアリバイを崩してしまうのでした。
感想
僕と時乃の出会いから始まる話ですが、すぐに事件の話になるので非常にテンポが良いです。
アリバイ崩しのポイントは胃の消化物にあるのですが、常識を鵜呑みにしてはいけないなと再確認できました。
この話で面白いと思えたなら、この後の話はもっと面白いはずです。
第2話 時計屋探偵と凶器のアリバイ
あらすじ
第1話から二か月後、またしても僕は時乃にアリバイ崩しを依頼します。
今度の事件の発端は、郵便ポストから拳銃が見つかったことでした。
暴力団の小競り合いに関係していると思われる拳銃ですが、弾が二発発射されていて、その銃弾で殺害された被害者が発見されます。
警察は捜査の結果、拳銃の出所を特定。
また被害者の上司・平根が暴力団に自社のモルヒネを横流ししているという情報を入手し、平根は動揺を見せます。
しかし、平根には被害者の死亡時刻にアリバイがあり、このままでは逮捕することができません。
捜査が難航する中、時乃は僕の話を聞いて平根のアリバイを崩してしまうのでした。
感想
ヒントは分かりやすく提示されているので、後はそれがアリバイとどう繋がっているのかを推理するだけなのですが、アリバイを崩すためには点を線に繋げないといけません。
ただポイントは絞られているので、メモなどを利用して推理してみると面白いかもしれません。
第3話 時計屋探偵と死者のアリバイ
あらすじ
またしても僕は時乃にアリバイ崩しを依頼します。
今回は今までと違い、犯人は自分が殺害を犯したことを自白しています。
しかし、犯人にはアリバイがあり、交通事故によってすでに亡くなっていたのでした。
僕は男性が車に跳ねられる場面に遭遇。
救急車を呼ぼうとしたところ、男性は中島香澄という女性を殺害したといい、殺害場所としてマンション名を口にします。
僕は急いで通報したところ、男性の言ったマンションには確かに香澄の遺体がありました。
これで事件は解決のはずですが、そうはいきませんでした。
犯人と思われる男性・奥山新一郎は交通事故が原因で死亡。
奥山と香澄の関係を調べたところ、二人は恋人同士でしたが、奥山が最近になって別の女性に心を移していたことが判明。
香澄の爪には奥山の皮膚が残されていて、どう考えても奥山が殺害したとしか考えられません。
しかし、香澄の死亡推定時刻において、奥山にはアリバイがあり、香澄をできるはずがありません。
事件の概要を聞いたところ、時乃はあっという間に奥山のアリバイを崩してしまいますが、そこには僕を含めた警察が思いもよらないような真実が隠されていました。
感想
犯人にアリバイがあり、死亡推定時刻にもおかしな点がない場合、どんなケースが考えられるか。
作中の描写から違和感のある部分を見つけられるかがポイントとなります。
僕は全然ピンときませんでしたが、言われてみてなるほどと思える推理で、特に無理はありませんでした。
第4話 時計屋探偵と失われたアリバイ
あらすじ
4話にして僕は、アリバイ崩しではなくアリバイ探しを時乃に依頼します。
河谷敏子の遺体が自宅であるマンションの部屋で発見され、容疑者として名前が浮上したのが妹の純子でした。
姉妹は両親から相続した土地を巡って対立しており、純子は事件当日、仕事を欠勤しています。
理由は寝過ごしですが、それだけではありません。
純子は夢遊病に悩んでいて、その日もおかしな夢を見たといいます。
そして起きると手や寝間着に血が付着していて、ニュースで敏子の死を知ると、自分が寝ている間に殺害してしまったのではと考えていました。
警察は純子が嘘をついていると考えますが、僕は彼女が無実であり、別に真犯人がいるはずだと推測。
そこで時乃に依頼をしたのでした。
すると、話を聞いた時乃は見事に純子のアリバイを見つけ、真犯人を言い当てるのでした。
感想
事件を解く鍵は純子の見た夢にあり、かなり分かりやすい仕掛けでした。
犯人もすぐに検討がつくので、後は犯人のアリバイをどう崩すかですが、これも大まかな部分は推測できると思います。
推理が苦手だという方にもチャンスがありますので、ぜひ時乃の解決編を見る前に推理してみてください。
第5話 時計屋探偵とお祖父さんのアリバイ
あらすじ
今回は事件ではなく、時乃がアリバイ崩しを習得するために祖父から出された問題を僕が考えるというものです。
祖父は自宅の時計を特定の時間に止め、それを時乃に確認させます。
この犯行はとある十分間の中で行われたことまで特定できていますが、その時間、祖父は駅前の壁時計の前で写真を撮っていたのでアリバイがあります。
僕は必死に考え、当時小学五年生だった時乃と同じ答えにたどり着くのでした。
感想
幼い時乃が可能性をかなり潰してくれるので、推理する側にとってはかなり助かります。
あと死者が出ないので、心を痛めることなく純粋に推理を楽しむことができました。
実際に事件のアリバイとしては応用できないと思いますが、かなり面白い発想で、よくできていると思います。
第6話 時計屋探偵と山荘のアリバイ
あらすじ
またしても時乃にアリバイ崩しを依頼する僕。
今度は休暇中に訪れたペンションで起こった殺人事件についてです。
宿泊客の中で唯一アリバイのない人物がいましたが、それは中学一年生の少年だったのです。
警察官を志望する少年が殺人を犯すはずないと僕は思い、時乃に依頼しました。
すると時乃は、いとも簡単に少年の無実を証明し、真犯人を言い当てしまうのでした。
感想
今回はかなり限定された条件なので、そこまで難しくありません。
しかしよく考えられているので、読者が推理するのにはぴったりの問題です。
ちょっと都合の良すぎる部分もありますが、そこも許容範囲かなと思います。
第7話 時計屋探偵とダウンロードのアリバイ
あらすじ
いつものごとく、時乃にアリバイ崩しを依頼する僕。
発端は、とある殺人事件でした。
しばらく進展しませんでしたが、被害者宅の地面から白骨死体が見つかり、事態は急変します。
警察は白骨死体の身元を突き止め、殺人事件の被害者との関係を突き止めます。
その結果、白骨死体となった男性の息子が、復讐のために被害者を殺害したと推測します。
しかし、息子は1日限定の配信音源を友人の目の前でダウンロードしていて、アリバイがありました。
警察がどうやってそのアリバイを崩せない中、時乃は息子のアリバイを見事に崩してみせたのでした。
感想
アリバイ崩しのポイントに気が付きやすいケースなので、わりと簡単な事件だと思います。
ただ理由などが苦しいというか、少し無理を感じました。
これ単体としてそこまで悪くないのですが、最後にしてはちょっと拍子抜けかなと思ってしまいました。
おわりに
時乃の『時を戻すことができました。〇〇のアリバイは、崩れました』の決め台詞がいつの間にか癖になっていました。
一方であくまでトリックの部分に重点が置かれ、登場人物の感情ややりとりが最低限に抑えられていて、過不足のない感じがシンプルで非常に良かったと思います。
ミステリーの面白さがよく分からないという方も、ぜひ本書を手にとってみてください。
どういった点が面白いのかに気が付きましたら、他の作品にもチャレンジしてもらえるとミステリー好きとしてはとても嬉しいです。
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