原田マハ『#9(ナンバーナイン)』あらすじとネタバレ感想!忘れられない大人の恋愛物語
東京でインテリア・アートの販売員をするOL、真紅。仕事に挫折し、母親の待つ故郷に帰るべきではないかと悩んでいたある日。ふと立ち寄った宝石店で出会った見知らぬ中国人紳士に運命的な恋をする。真紅は「また会いたい」という一心で、紳士に渡された電話番号を頼りに上海に渡る。まるで見えない糸に導かれるように再会する二人。未来は、幸せなものかと思われたが―。上海を舞台に繰り広げられる大人の恋愛物語。
「BOOK」データベースより
原田マハさんの初期の作品で、キュレーターとしての知識、経験を活かした美術の要素が作品に取り込まれています。
上海を舞台にした話のスケールはいちいち大きく、描かれる大人の恋愛はまるでドラマを見ているかのように情熱的で、体が熱くなるのを感じました。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
謎の作品
2013年の東京。
最大手の都市開発企業に就職した南駿介は、広報部に所属していました。
祖父の一献は洋画家で、美術品の蒐集家である社長の森山と付き合いがあり、駿介を秘書室に配属になるよう手配します。
森山に連れられて駿介が向かったのは、深澤真紅という女性がオーナーを務めるギャラリーでした。
今後、森山が購入する作品の選択と取引を駿介に任せるのだといい、予想すらしていなかった駿介に重圧がかかります。
特別美人ではないけれど、不思議な魅力を持つ真紅。
駿介はギャラリーを後にしてから、あのギャラリーで森山の一番欲しい作品を問われ、迷うことなく一枚の絵だと答えて森山を驚かせます。
まさにそれこそ森山の狙っていた作品で、今高騰している作家の初期の作品かもしれないという話です。
駿介はタイトルだけ教えてもらっていました。
その絵は、『#9(ナンバーナイン)』といいます。
運命の出会い
時間が戻り、ここからは真紅が#9と出会った頃の話が描かれます。
当時、真紅はアートを売る仕事をしていましたが、心から良いと思える作品ではなく、常にこれがアートだろうかと葛藤していました。
そんなある日、真紅はジュエリーショップに立ち寄り、小指を貸してほしいという男性と出会います。
真紅は思わず薬指では?と返してしまい、男性は真紅の薬指に指輪をはめす。
そして、似合っているからと指輪を何でもない風に真紅にプレゼントし、名前も告げずに去ってしまいます。
翌日、その男性は再び真紅の前に現れ、彼女の働く店に入ります。
真紅は男性に作品を説明する中で自分の気持ちに気が付き、ここにあるのはアートではないと断言。
男性は立ち去り、真紅は仕事を辞めます。
これで二人の関係は終わったかのように見えましたが、真紅はもらった指輪のケースを開けて驚きます。
そこに指輪はなく、代わりに王剣という名前と電話番号が書かれたシルクが貼ってありました。
真紅はすぐに電話をかけ、王剣のいる上海に誘われます。
真紅に断る理由などなく、彼にもう一度会うために上海に向かいます。
コレクションを作り上げる
真紅は上海で本物のアートを見極める才能を無意識に発揮。
三ヶ月後、王剣のアートのコレクションを作るために再び上海を訪れます。
ビザの期限は三ヶ月で、真紅の寝泊まりする洋館は#9と呼ばれていました。
真紅は王剣と男女の仲になりますが、精力的で気まぐれな王剣と一緒にいられる時間は限られています。
真紅は彼への思いをアートにぶつけ、コレクションをより良くするために奮闘します
#9
疲労とストレスが溜まる中、真紅はとあるマッサージサロンを紹介してもらいます。
とても良い施術で、担当の名前を聞くと、その男性は#9と番号で呼ばれていました。
偶然にも洋館と同じ名前。
真紅は足繁く通って#9の施術を受け、今までにないインスピレーションを得ます。
コレクションを完璧にするために、必要なのはあと1ピース。
それも王剣や自分自身が納得できる極上の作品。
真紅は残された時間でアート、そして自身の恋愛とこれでもかと向き合うことになります。
感想
思考を超えた先の情熱
恋愛面でも美術面でもそうですが、本書を表す言葉は『情熱』だと思います。
他の言葉で表すと『欲望』でしょうか。
とにかくああしたい、こうしたいという圧倒的な情熱があり、考える前に行動に移していることがほとんどで、終始次はどうなるのだろうとドキドキしました。
王剣と真紅の恋愛は大人だけであって好きという純粋な感情だけでは語れず、時には独占欲、浮ついた気持ちなど制御できないほどの強い感情として表れることもあります。
一方、美術に関しても真紅ははじめ、王剣のためにコレクションを作り上げようとしますが、次第に自分自身の情熱に火がつき、自身のために最高のコレクションを作り上げようと奮闘します。
恋愛と美術。
二つの要素が情熱という言葉で結ばれていて、とにかくすさまじい熱量を感じました。
恋愛物語である
美術要素が入った作品ですが、やはり本書は恋愛物語だと思います。
忘れたくても忘れられないような情熱的な恋をして、それが真紅を突き動かします。
コレクション作りも例外ではありません。
ひと一人をどうかしてしまうほど恋愛というものを僕は体験したことがありません。
そのため想像するしかありませんが、後で後悔すると分かっていても手を伸ばしたい魅力があり、魔力があるのだと容易に想像出来ました。
決め手にやや欠ける
記憶に鮮明に残る物語でしたが、一方で結末に物足りなさを感じました。
必然というよりも物語を終わらせるための演出のように感じてしまい、ちょっとだけ没入感が薄れてしまいました。
また序盤から引っ張ってきた#9の秘密についても驚きは薄く、あれだけ盛り上がっただけにもったいないと思ってしまいました。
これはあくまで原田さんの他の作品と比べた場合であって、作品単体として読者を満足させてくれるものであることは保証します。
ご安心ください。
おわりに
書店で新刊かと思って迷わず購入し、後ろの発行日を見てがっかりしたことを今でも覚えています。
しかし、読んでそんなみみっちい気持ちはどこかに吹き飛んでいきました。
本との出会いが貴重で大切であることを再確認できて、本書には本当に感謝しています。
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