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『犬はどこだ』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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開業にあたり調査事務所“紺屋S&R”が想定した業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。―それなのに舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして…いったいこの事件の全体像とは?犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵、最初の事件。新世代ミステリの旗手が新境地に挑み喝采を浴びた私立探偵小説の傑作。

「BOOK」データベースより

米澤さんといえば少年少女が活躍する物語を思い出す人も多いかと思いますが、本書はそれよりも少し大人が活躍するミステリーとなっています。

またタイトルからは想像できない暗い真実が秘められていて、終盤から一気に畳みかけるような展開は必見です。

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

業務内容は犬探し

紺屋長一郎は堅実に人生を歩み銀行員になりますが、その直後にアトピー性皮膚炎を発症。

人前に出て仕事を出来るような状態ではなくなり、就職して二年で退職。

祖母の説得もあり、地元の八保に戻ると症状は嘘のように改善し、長一郎は『紺屋S&R(サーチ&レスキュー)』という調査事務所を立ち上げます。

仕事内容はただ一つ、犬探しだけでした。

ところが、立ち上げ早々に依頼人が来たことは良かったものの、その依頼内容は長一郎の予想外のものでした。

失踪人を探す

初めての依頼人は、佐久良且二という初老の男性。

彼は失踪した孫の桐子を探してほしいと依頼してきたのです。

話を聞くと、桐子は希望していた大きなコンピュータ関連会社に就職して順調な人生を歩んでいましたが、最近、桐子宛の手紙などが且二の家に届くようになり、さらに桐子の両親から連絡が入り、桐子と連絡がつかないのだといいます。

心配になった両親は桐子の会社に連絡しますが、桐子は退職をしていて、住んでいたアパートも解約していました。

しかし、全て桐子の意思で手続きを済ませているため、何か考えがあるのだろうと警察には届けを出していないのだといいます。

本来であれば桐子の住んでいた東京の調査事務所に頼むのが筋ですが、且二に宛てられた桐子からの絵葉書は投函場所は八保になっていて、且二は彼女が八保にいると信じていました。

失踪人探しは本来の業務ではありませんが、仕事を選んでいられる立場でもありません。

長一郎は仕方なく、この依頼を引き受けることにしました。

新しい所員と古文書の解読

且二の依頼を受けた翌日、事務所に高校の剣道部の後輩・半田平吉、通称ハンペーが訪れ、探偵に憧れを抱く彼は雇ってほしいと長一郎に頼みます。

人を雇う余裕はないため、歩合制でハンペーを雇うことにします。

すると、昨日に引き続きまたしても依頼人が現れます。

依頼人は百地啓三といい、隣町の小伏町にある谷中という集落の自治会長を務めています。

彼の依頼は、長い間谷中の八幡神社に保管されていた古文書の由来を調べてほしいというものでした。

友人の紹介ということで断るわけにもいかず、長一郎はこの依頼をハンペーに任せ、二人は別々の依頼をこなすことにしました。

進捗状況

長一郎

かつて桐子の勤めていた株式会社コーングースに電話すると、桐子と同じ事務所で恋人だという神崎から当時の状況を教えてもらいます。

彼によると、桐子は辞職するのは本意ではなく、また戻ってきたいと言っていたのだといいます。

次に長一郎は桐子の実家に連絡をとります。

母親のあさ子は娘の意図があるから心配いらないと調査にあまり協力的ではありませんでしたが、桐子の友人で今も八保に住む渡辺慶子を紹介してもらいます。

するとその日の夜、三十歳くらいの女性が事務所を訪れ、最近野犬が出没して子供が怪我をしてしまったため、見回りに協力してくれないかとお願いされます。

チラシを受け取った長一郎は町内会の副会長名前に目がとまり、このお願いを引き受け、翌朝の八時に集まることを約束します。

そこには、渡辺慶子の名前が書かれていました。

翌日、集合場所に行くと慶子と他数人が集まっていて、長一郎は慶子と見回りをすることになります。

すると子供が例の野犬に追いかけられている現場に出くわし、長一郎は咄嗟にタオルを巻いた左腕を差し出し、犬に噛ませます。

それで時間を稼ぐことができ、無事に野犬は保健所に引き取られます。

残された慶子は長一郎の傷を心配しますが、長一郎は今だと思い、桐子が失踪したことを話し、彼女がよく行っていた場所を聞きます。

慶子は図書館含めて四つの場所を教えてくれ、長一郎は今度はその場所を調査することにします。

ハンペー

まず初めに小伏町に向かい、公民館に飾られた古文書の実物の写真を撮ります。

そしてこの古文書のことをこれまでに調べに来た人はいるかと聞くと、数年前に調べに来た人がいて、それが桐子でした。

しかし、ハンペーは桐子の名前を覚えていなかったため、失踪人探しとはこの時点では結びつきません。

次に町の教育委員会で町の歴史に詳しい人を紹介してほしいと頼むと、江馬常光の名前が挙がりますが、彼は去年亡くなっていました。

ただ図書館に何冊か自分の書いた本を寄贈しているということで、ハンペーは後でそっちも調べるつもりで別の人をお願いし、山北高校で教師をする岩茂隆則を紹介してもらいます。

岩茂に会いに行くと、彼は古文書に書かれていることを教えてくれ、また桐子がかつて在学中、小伏について研究していたことが判明。

彼女の研究自体を見せるわけにはいかないが、参考資料には思い当たる節があるといい、岩茂は江馬が出版した『戦国という中世と小伏』という書籍を紹介してくれます。

警告

ハンペーは調査中に何度もサングラスをかけた怪しい男と出くわし、この件から引くよう忠告されます。

この時点で彼の正体は分かりませんが、後に判明します。

桐子の痕跡と歴史書

慶子に教えられた喫茶店で聞き込みをすると、彼女が三日前にここにきていたことがあっさりと判明します。

さらに次の店にも彼女は訪れていましたが、その様子はどこか違和感があったといいます。

一方、ハンペーは図書館で岩茂から教えられた書籍を探しますが、すでに借りられていて、順番を待たないと手に入りそうにありません。

外に出ると今度は鎌手という大学生らしき青年に声を掛けられ、彼もまたその書籍を求めていて、手元に来たら先に貸してほしいとお願いされます。

ハンペーはこれを了承し、彼の連絡先を聞いて別れました。

エマvs.蟷螂事件

長一郎は大学生の頃から『白袴』というハンドルネームでチャットをしていて、『GEN』はいつも彼のことを気にかけていました。

酔ったせいもあってから桐子の調査の話になり、GENから桐子は個人のサイトを持っているのではと言われ、個人名、メールアドレスから調べます。

すると確かにサイトはありましたが閉鎖されていて、日記なども全て内容が削除されていました。

GENはこの状況からネットストーキングが原因で桐子が失踪したのではと考え、その痕跡を探します。

するとかつて『エマvs.蟷螂事件』としてちょっとした騒ぎになっていたことが分かり、その過去ログを送ってもらいます。

エマは桐子のことで、蟷螂は彼女のサイトを訪問する一人にすぎませんでした。

ところがほんの些細な点を細かく蟷螂が指摘し、エマも彼を軽んじるような対応をとります。

結果として、蟷螂の発言はエスカレートし、サイトを閉鎖せざるをえない状況になってしまいました。

他に可能性がない以上、桐子はこの蟷螂から逃げるために失踪したというのが妥当な答えでした。

しかし、長一郎にはどうも解せないことがありました。

というのも、過去ログには桐子の職場、自宅などが特定できるような書き込みがされていて、そこには八保のことも含まれていました。

果たしてストーカーで悩む人間が、わざわざ足跡を辿らせることをするだろうか?

この疑問は後に解決し、物語に大きな変化をもたらします。

二つの依頼が重なる

江馬の書籍が手に入らず困っていたハンペーですが、実は岩茂も所有していて、それを貸してもらうことに成功します。

一方、長一郎は且二の家に向かい、その屋根裏を調べさせてもらいます。

するとそこには桐子が生活している痕跡がありました。

田舎の八保ではすぐに顔が知れ渡ってしまうため、彼女は且二たちが寝静まったタイミングで屋根裏に侵入し、ひっそりと暮らしていたのです。

そこには日記があり、次に谷中城に向かうことが書かれていました。

また一方、長一郎の妹・河村梓とその夫の友春が経営する喫茶店『D&G』に例のサングラスの男が現れ、ハンペーにこの件から引くよう再度忠告しますが、ここで彼が探していたのは長一郎であることが判明します。

ハンペーが長一郎を呼ぶと、彼は東京で調査事務所をしている田中五郎とだと名乗り、以前、桐子から蟷螂から身を守るために依頼を受けていたのです。

その前に桐子は蟷螂こと間壁良太郎に襲撃されていましたが、依頼後も二度目の襲撃にあっていました。

しかし、桐子は抵抗し、刃物で間壁の腹を刺し、間壁は一か月間の入院を余儀なくされます。

彼は自分で転んでナイフが刺さってしまったと嘘をつき、それで桐子は逮捕されずに済みました。

しかし、それは桐子を思ってのことではなく、負い目を作って彼女を自分のいいようにするためです。

そして一ヶ月後、間壁は退院してすぐに旅立ち、桐子を探し始めます。

田中は桐子との契約は切れているとはいえ、再度の襲撃を許すわけにはいかないと報酬なしに八保まで追いかけてきたのです。

しかし、それももう限界であり、それならばと長一郎に事件の詳細を知ってもらい、慎重に行動してもらうことを選びました。

そして長一郎はこのままでは桐子が自殺を選ぶのではと思い、彼女を助けるために行動を開始します。

真実

長一郎はハンペーからこれまでの調査のレポートを受け取ります。

すると、そこでハンペーは度々名前の出てきた桐子が今回、失踪している張本人だと知ります。

そしてハンペーが図書館で会ったという青年のことが気になり、長一郎は間壁の写真を見せます。

すると、やはり鎌手とは偽名で、それは間壁でした。

彼は桐子を追って八保を訪れ、『戦国という中世と小伏』から谷中城の場所を知ったのです。

ここで長一郎の中で全てが繋がります。

長一郎は手短に事情を話すと、ハンペーを図書館に向かわせ、間壁がいれば足止めを頼みます。

自分は梓に運転手を頼み、彼女の車で急いで谷中の八幡神社に向かいます。

梓は兄が復活したことを喜んでいますが、長一郎にその余裕はありません。

谷中城に向かいながら、長一郎は自分の推理を確認します。

これまで桐子は度々日記を残し、間壁に怯えているように見せていましたが、あれは全て嘘であり、間壁をおびき出すためにわざとしたことです。

桐子が刃物で間壁を刺したのは故意であり、彼女は今度こそ間壁を殺害しようとしているのです。

『戦国という中世と小伏』を借りていたのは桐子であり、この本がない限り、谷中城に辿り着くことはできません。

つまり、間壁がやってくるタイミングをコントロールしていたのです。

そして、彼女は確実に間壁を殺害するために、地の利をある谷中を選んだのです。

長一郎はかつて谷中城のあった山に入り、桐子を探します。

するとあっさりと彼女は見つかります。

桐子は追われている緊迫感などなく、恍惚として微笑すら浮かべていました。

長一郎は興奮させないよう冷静に事の経緯を話すと、荷物を片付けるという桐子を残し、その場を後にするのでした。

結末

依頼を解決し、無事報酬も手に入れた長一郎。

しかし、彼の気持ちは晴れません。

あの時、彼は血染めのキャップを見ました。

おそらく間壁のものであり、桐子は彼を殺害した後だったのです。

あの後、長一郎はもう一度山に入りましたが、犯行の痕跡は見つけられず、当然間壁の死体も見つけられませんでした。

しかし、安心はできません。

もし、桐子が長一郎は自分の平穏を脅かす存在だと認識した場合、今度は長一郎が命を狙われることになります。

だから彼は常にポケットにナイフを忍ばせ、当分の間、怯えて過ごすことになります。

犬探しだったら良かったのにと後悔し、雨が降って埋められた死体が出てこないかと不安になり。

長一郎は今回の報酬で、番犬を買うことを決めるのでした。

おわりに

途中から話は思わぬ方向に進み、後味の悪い結末に驚いた人も少なくないはずです。

米澤さんのブラックな部分が出ている作品なので、そういったテイストが苦手でない人であればぜひ読んでみてください。

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