ミステリ
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『暗闇・キッス・それだけで』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

harutoautumn
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本職・探偵、副業・ライタ。飄々と生きる頚城悦夫。IT長者ウィリアム・ベックを取材するため、富豪の別荘を訪れたその日に、敷地内で射殺事件が起きる。被害者はベックの主治医。生前の彼と最後に話したのは、こともあろうか頚城だった!?富豪の妻、息子、息子の恋人に使用人たち。一癖二癖ある人々の話を聞き、頚城は事件解決を試みるが、第二の殺人が起き…。瀟洒でビターなミステリィ。

「BOOK」データベースより

先日、文庫化されましたので読みました。

『ペガサスの解は虚栄か?』に続き、これも続き物だったとは笑

でも、ストーリー自体は一巻完結だったので、この作品から読み始めても十分楽しめました。

『ペガサスの解は虚栄か?』の記事でも書きましたが、森さんの描く男女は本当に魅力的ですね。

会話はユーモアに富んでいて、大体男の方が情けないというか甲斐性がなくて、女性を呆れさせる。

しかも、男に言い寄ってくる、もしくは興味を持つ女性が複数いて、それが少なからず嫉妬させるネタになったりと、一昔前の恋愛模様を見ているようで、さすが森作品だなと今回も関心してしまいました。

そんな本作について、感想も交えながら魅力を書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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舞台はとある富豪の別荘

探偵兼ライターの頸城悦夫は、女優兼編集者勤務の水谷優衣をともなって取材のためにウィリアム・ベックという富豪の別荘を訪れます。

彼に関する本を書くためだ。

別荘へは赤座都鹿に借りた車で来ているのだが、都鹿からアプローチされてもなびかず、優衣を車に乗せるなり、香水の匂いで別の女性が乗っていたことを気づかれるなど、頸城のだらしなさが早々に露呈します。

こういうの、嫌いじゃないです。あと、都鹿は頭の中でどうしてもアニメ版の萌絵で再現されてしまいます。まあ、どちらも奔放に見えて頭は良いので、間違いではないと思いますが。

しかし、あいにくウィリアムは不在だったため、取材は少し先延ばしされます。

そして、事件は起きます。

第一の事件が起きる

ウィリアム不在の中、その家族や呼ばれたゲストたちで晩餐会が行われますが、突如悲鳴が聞こえてきます。

声のする方に向かうと、そこにはウィリアムの友人であり医者であるロジャ・ハイソンの死体がありました。

彼は拳銃で撃たれていて、たちまち警察が捜査することとなったが、凶器である拳銃は見つかりません。

不安になる一方で、これなら本も売れると不謹慎ながらも喜ぶ優衣。

優衣は仕事の関係で戻らなければならず、頸城は一人残って調査の意味も込めて別荘にいる各人に取材を申し込みます。

彼らのインタビューからはこれとって問題は浮かび上がってこず、捜査は難航します。

第二の事件が起きる

しかし、事件を解決するまえに、二度目の殺人が行われてしまいます。

被害者はウィリアムの息子・アンディの恋人であるシャーロットで、彼女もまた銃弾によって殺害されました。

そして、前回と同様の拳銃が使われたことが分かり、それも見つかりません。

それでも頸城は辛抱強く取材を続けていきます。

すると、ウィリアムの妻・サリィは、過去にウィリアムとハウスキーパーのスージィ(シャーロットの母)が恋仲にあったことを打ち明けます。

そして、スージィは拳銃が暴発するという事故で亡くなっていて、その診断をつけたのがロジャであることが判明しました。

ここにきて、ようやく事件解決のピースは出揃いました。

結末

頸城は、家宅捜索をしても拳銃が見つからなかったことから、捜索の手が及ばない場所に隠されているのではと思い、外にある芝刈り機を調べようとします。

すると、そこに犯人が現れ、拳銃を撃ったのち、逃げ出します。

頸城はこれを追い、なんとか自首するよう説得することに成功します。

犯人は、アンディでした。

彼は小さい頃、拳銃を誤って撃ってしまい、スージィを殺してしまいました。

そして、彼はその現場をロジャとシャーロットに見られてしまいました。もしくは、そう錯覚してしまいました。

ロジャに対しては口止め料が払われていたため、外部にこの情報が漏れる心配はなく、シャーロットは本当に覚えていませんでした。

しかし、アンディの妄想はますます膨らんでしまい、犯行へと至ったというわけです。

しかし、これはあくまで頸城の推理に過ぎず、本当のことは分かりません。

ある意味一番の不幸

終盤でいい雰囲気になる頸城と優衣。

しかも、朝目が覚めると、すぐ隣に優衣が寝ているというダメ押し。

これはそういうことかと期待させますが、ここからがすごい。

なんと優衣は結婚することが決まっていたのです。

頸城は祝福の言葉を述べますが、しみじみ考えるうちに自分が傷ついていることに気が付いてしまいます。

そして、これまでかわしてきた都鹿のアプローチに対して応じる頚城。

この鞍替えの早さはさすがというしかありません。

しかし、都鹿には失恋だとすぐに見破られていて、これから先も頚城の女性関係はもめそうですね。

おわりに

事件自体は至ってシンプルですが、その解決に至るまでのプロセスというかやり取りが本当に秀逸で、ますます森さんの作品のファンになってしまいました。

この魅力は森さんの作品全体に通じるものなので、本書に限らず、森さんの色々な作品を読んでみることをおすすめします。

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