『もものかんづめ』ネタバレ感想!さくらももこ先生の魅力が詰まった一冊!
「こんなにおもしろい本があったのか!」と小学生からお年寄りまでを笑いの渦に巻き込んだ爆笑エッセイの金字塔!!著者が日常で体験した出来事に父ヒロシや母・姉など、いまやお馴染みの家族も登場し、愉快で楽しい笑いが満載の一冊です。「巻末お楽しみ対談」ではもう一度、全身が笑いのツボと化します。描き下ろしカラーイラストつき。
「BOOK」データベースより
つい先日、乳ガンのため五十三歳という若さで亡くなられたさくらももこさん。
小さい頃から『ちびまる子ちゃん』という作品は僕の生活のとても身近なところにあり、亡くなったとニュースで見た時は本当に驚きました。
ただ、よくよく考えてみると、さくらももこという人について、僕が知っていることはほとんどありません。
すると、奥さんが本書を勧めてくれ、気持ちを入れて読もうと、家に奥さんの買ったものがあるにもかかわらず自分用に一冊買ってみました。
はっきりいって、めちゃくちゃ面白かったです。
さくらさんの体験された実体験自体が面白いことは間違いありませんが、それ以上にあらゆる物事に何かを見出だすその感性、そしてそれを流れるようにユーモラスに書き上げるその表現力、一見の価値ありです。
この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意下さい。
またさくらさんの文章で読まないと面白さが伝わらないエピソードもあると思うので、購入を迷われている方は参考材料にしてください。
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奇跡の水虫治療
水虫といえはオッサンの持病だと思っていたさくらさんですが、十六歳の夏、とうとう冒されてしまいます。
そこからさくらさんの水虫研究が始まります。
しかし、どんな方法を試しても一向に治らず、気が付けば一年半以上経過してしまいます。
その頃には姉も水虫に冒され、姉妹で苦しんでいましたが、ある時、さくらさんは水虫にはお茶っ葉が効くという情報を入手。
早速試すと、なんと一週間で完治。
姉も同様の方法で数日で治ってしまいます。
さくらさんの苦悩、そして水虫研究家への深い感謝が伝わるエピソード。
たかが水虫、されど水虫。
極楽通い
体の不調から健康ランドに通い始めたさくらさん。
そこのマッサージ師の老婆が信じられないくらい身軽で、その様はまるで天狗。
さらに寝違えた友人も連れ、その神秘の力を目の当たりにします。
そのエピソードだけでも面白いのですが、ちゃんとオチまであるところが素晴らしい。
健康食品三昧
さくらさんは短大生の時、健康食品売場でバイトをしていました。
しかし、客は一向に来ず、商品も効果があるのか怪しいものばかり。
そんな日々が続くと、試食魔の噂が聞こえてきます。
しかも複数人いて、時間帯によって午前の者、正午の者、午後の者と呼ばれているのですが、どれもおかしな人ばかり。
そして一年後、さくらさんはバイトを辞める決意をし、最後に特売フェアに望みますが、それでも商品は売れず、辞めた一週間後、その場所に行くと健康食品店はなくなっていたのでした。
明け方のつぶやき
さくらさんは買って後悔したものが多く、総額で二百万円はしたといいます。
ここで挙げられたのは睡眠学習枕という、眠っている間に暗記ができるという怪しい商品で、これがひどい。
そして、うんこちんちんと言わされた睡眠学習枕もかわいそう。
メルヘン翁
僕がこの本を買うきっかけになったエピソード。
『ちびまる子ちゃん』では、祖父の友蔵は孫思いのいいおじいちゃんとして描かれていますが、本当の祖父はその正反対。
家族への愛情なんてなく、ボケたふりをして孫の風呂を覗いたり、食べたものを食べていないと言い張ったりとやりたい放題。
そんな祖父ですが、老衰で亡くなります。
これまで厳しく当たってきたのですから、誰も悲しまないのは当然ですが、この家族はすごい。
祖父をネタにして大笑いするのです。
さらに葬式をするにあたって、その場にあるもので適当に身支度を整え、メルヘン翁の完成。
また背が高かったため、棺桶に体をSの字にくねらせて入れる始末。
これだけでも衝撃的なエピソードですが、さらに葬式のおみやげの弁当が楽しみだったというのはすごいです。
何をしたらここまで嫌われるのだろうと、冷や冷やを通り越して面白かったです。
普通の人は、こういう不謹慎な話はあまり表に出したがらないと思うので、さくらさんは非常に素直な方なんだと思いました。
恐怖との直面
短大時代、それから上京してからさくらさんが体験した恐怖の話。
露出狂を怖がる一方で、その男性器の大きさを大きめの焼き芋だと主張するのがおもしろいです。
ものすごい記憶力。
またタイ、ニューヨークで体験した恐怖の話も印象的でした。
改めて日本は平和というか、身近に命の危険を感じることがないというのは当たり前ではないんですね。
サルになった日
盲腸になり、検査など一連の出来事を綴った話。
検査でお尻に管を入れられたのを見て、サルになったと思いむせび泣きそうになるのでした。
さくらさんはこの経験を漫画のネタにできたため、人生のムダこそがネタに大切なのだと気が付くのでした。
無意味な合宿
高校一年生の時、さくらさんはHR委員に任命され、HR委員親睦会という謎の合宿に赴きます。
上級生も混ざり、親睦を深めてどうするのかと疑問に思いながら過ごすわけですが。
その夜、出された夕飯の炊き込みご飯の中に大量のコクゾウムシが入っていたのです。
さくらさんはそのことを別の委員に伝えますが、シイタケのみじん切りだと一蹴され、仕方なく自分をだましてご飯を食べます。
が、しかし。
後になってまだご飯か残っていることが判明し、さくらさんは何も知らない先輩たちの圧力もあってまたしてもコクゾウムシご飯を食べるはめに。
さらに夜はしょうもない話大会で眠れず、学校に帰れば親睦を深めたことも忘れ、ホテルで別れた愛人のごとく他人になっていく委員たち。
無意味さが非常に共感できるエピソードでした。
乙女のバカ心
夢みる乙女ほど手に負えないものはないと前置きした上で、さくらさんの夢みる乙女エピソードが始まります。
様々な芸能人に夢中になったことや、理想の男性を自分の中には作り上げたこと。
さらにその頃から『夢みる恋の日記帳』をつけ始めるのですが、その内容がまさに恋する乙女。
読んでいる方が恥ずかしくなってくるほどのパワーです。
しかもこのエピソードで紹介されている詩はまだ公開できる一割で、残りの九割は外に出せないといいます。
また隣町の男子高校生に恋をしていた時期もありますが、失恋を経て夢から目が覚めたようです。
他人事なので笑っていましたが、自分の棟に手を当てると、思い当たる節はありまくり。
しかも、わずかですが現在進行形のものも。
それをネタにできるってすごいです。
宴会用の女
さくらさんは出版社に入社し、数ヵ月だけOLをしますが、自分には向いていなかったといいます。
その会社だけの掟、今でいうブラック企業のような体質に、漫画を書くことも平行していたため常に寝不足。
また色物担当として採用されたことも判明し、数ヵ月で身をすり減らしていきます。
やがて度重なる仕事のミスを指摘され、仕事と漫画を天秤にかけて、迷うことなく漫画を選んで退職。
漫画家として大成したからこそ笑えるエピソードですが、思わず自分の今を振り返ってしまいました。
意図のない話
どこまでが本当で、どこからが嘘なのか分からないエピソードが数多く紹介されています。
結局、その真偽は分からないのですが、これが面白い。
僕も聞き耳を立てていれば、そんな話が舞い込んでくるのではと思っています。
スズムシ算
近所の人からスズムシをもらい育てるのですが、翌年、大量のスズムシが生まれてさくらさんは唖然とします。
母親は五百、六百匹だと言いますが、さくらさんは二千匹くらいいると譲りません。
それを証明するために登場したのがスズムシ算。
さくらさんの考えた数式です。
さくらさんはこの正しいことが証明されていない公式?を使い、スズムシが二千四百、しかしスズムシ算に自信がないのて四百差し引き、二千匹いることを証明したのでした。
しかし、スズムシの数を調べたところで、さくらさんの人生に何らプラスがなかったことはいうまでもありません。
底なし銭湯
銭湯好きなさくらさんですが、ふらっと立ち寄った銭湯の中には、誰のためにあるのだろうと思わずにはいられない摩訶不思議な風呂がいくつかありました。
その一つが、底なし銭湯です。
さくらさんは湯船のへりにしがみつき、限界まで足を伸ばしますが、結局、底はありませんでした。
しかし、このエピソードを書いている時点で、まだ底の有無の検証を諦めていないことが分かります。
金持ちの友人
さくらさんの身近にいるお金持ちのエピソードの数々。
嘘のようで本当の話ですが、他人からすれば嘘としか思えない話の数々。
世界は広いというか、お金があれば不可能も可能になるようです。
週刊紙のオナラ
すでに結婚していたさくらさんが、色恋沙汰で週刊誌に載ったことがあります。
しかし、それは根も葉もないデタラメで、特に旦那さんの書かれようには情けないと感じられています。
もちろん全てではないと思いますが、いかに事実に基づかない妄想のような記事がこの世には溢れかえっているのかが分かります。
さくらさんはこういった記事をオナラに例え、実体はないけれど臭いといいます。
また、屁をした方はスッキリするけれど、尻を向けられた方は迷惑だともいい、ここまでしっくりする例えはなかなかありません。
さくらさんはとても賢い人だったのだと思いました。
結婚することになった
さくらさんの結婚が決まり、両親への挨拶。
これはよくあるネタに思えましたが、結婚式での父親のポンコツぶりがすさまじい。
しかし一方で、お嫁に行く娘を思って涙を流すその姿。
さくらさんの父親への思いも見え、非常に心が温まります。
おわりに
内容はざっくりと上記の通りですが、一つ一つの文章がもはや才能の塊。
読まないのは損です。
値段も四百円少々と非常にリーズナブルなので、気軽に読めると思います。
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