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『魔法騎士レイアース』あらすじとネタバレ感想!CLAMPが手掛ける善悪を考えさせられるファンタジー

社会見学にやってきた東京タワーで、突然異世界・セフィーロのエメロード姫に招喚された光・海・風。捕われの身となった姫を救うために、伝説の「魔法騎士(マジックナイト)」になった3人の少女の運命は!? CLAMPが贈るネオRPGアドベンチャー、超・高クオリティデジタル版で登場!

Amazon商品ページより

『魔法騎士レイアース』と書いて『マジックナイト レイアース』と読みます。

漫画の一巻が発売されたのが1994年ですが、僕が本書を知ったのは2021年。

スーパーロボット大戦Tをプレイしていたところレイアースが登場し、予想外の結末でけっこう話題になっていたので、手に取ることにしました。

大好きなCLAMPが手掛けたことだけでも驚きですが、少女漫画のようなキラキラした要素とRPGのように武器、力を手にしていく過程、最後に主人公たちを待ち受けている理不尽な結末など様々なポイントが全三巻に凝縮されていて、何度も読み返してしまいました。

あと、YouTubeの公式チャンネルでアニメ一話が配信されています。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

あらすじ

選ばれし三人の少女

物語の舞台は1993年の東京。

その日の東京タワーには様々な学校の生徒たちが見学で訪れていました。

天真爛漫で見た目が小学生のような獅堂光。

お嬢様学校に通う、勝気だけれど優しい龍咲海。

頭の良い私立学校に通う、穏やかで頭の良い鳳凰寺風(ほうおうじふう)。

中学二年生という点以外で共通するものがない三人ですが、ふとした瞬間に目が合い、眩い光が東京タワーを覆い、突然お姫様が現れます。

この世界を助けてほしい、伝説の魔法騎士たちよ。

涙ながら訴えると、光たちは地面に飲み込まれ、気が付くと見知らぬ世界にいました。

セフィーロ

三人は自己紹介を済ませてここが東京でないことを確認していると、現れたのは導師(グル)クレフと名乗る少年でした。

見た目こそ十歳前後ですが、実際の年齢はなんと七四五歳。

彼はここがセフィーロと呼ばれる世界であること、そして光たちはエメロード姫(光たちが東京タワーで目撃したお姫様)によって伝説の騎士『魔法騎士(マジックナイト)』になるべく召喚されたことが明かされます。

セフィーロは今、危機に瀕していました。

エメロード姫はこの世界の『柱』として、その祈りによって平和と秩序を保ってきました。

そんな芸当が出来るのは、セフィーロは何よりも意志の力が勝るからです。

しかし、エメロード姫は神官(ソル)・ザガートにさらわれてしまい、どこかに幽閉されてしまいました。

ザガートはエメロード姫に次ぐ力の持ち主であり、セフィーロの人間では太刀打ちできません。

そこで召喚されたのが、魔法騎士の素質をエメロード姫に見込まれた三人ということです。

三人はいきなりの話に戸惑いますが、エメロード姫を救わないことには東京に帰ることも出来ません。

三人はセフィーロを救う決意をすると、クレフは三人に防具と魔法を授けてくれます。

光から順番に魔法の使い方を教えてもらいますが、途中でザガートの配下・アルシオーネに襲撃され、クレフが足止めをする隙に三人は逃げ出すことになります。

クレフが目指すよう指示したのは、沈黙の森にいるというプレセアという人物でした。

成長する武器

アルシオーネをなんとか撃退し、三人はプレセアという女性に会います。

彼女はセフィーロ最高位の創師(フアル)で、魔法騎士たちが訪ねてきたら武器を授けるようクレフに指示されていました。

しかし、武器であれば何でもいいというわけではありません。

武器はその人のためだけに作られるもので、魔法騎士のための武器を作るためには唯一成長する武器を作れる伝説の鉱物・エスクードが必要です。

エスクードがあるのは伝説の泉・エテルナで、そこまでの道はふわふわした謎の生物・モコナ(CLAMP作品ではお馴染み)が知っています。

三人はモコナを連れてエテルナを目指します。

いくつもの試練を越え、三人はエスクードを手にすることができ、それを材料にプレセアは三人だけの武器を作ってくれました。

この武器が、魔法騎士の力である『魔神(マシン)』を蘇らせる鍵になります。

三人はモコナの導きに従い、次に魔神が眠る場所を目指します。

魔神(マシン)

魔神は三人の持つ魔法の種類である炎、水、風に関する場所に眠っていました。

すぐに見つかりますが、魔神には意志があり、まとうにはそれぞれが魔法騎士にふさわしい心の強さを見せる必要がありました。

魔神の眠る場所にはザガートの配下が先回りしていてその度に苦戦を強いられますが、その度に三人は友を思う心の強さを見せ、魔神に認めてもらうことが出来ました。

魔神とは名前の響きの通り、巨大なロボットで、光がレイアース、海がセレス、風がウィンダムという名前の魔神の力を借ります。

三人が魔神に乗り込み、ついにザガートの待つ城に辿り着きますが、待っていたのはザガートの創り出した魔神でした。

悲しい真実

ザガートの駆る漆黒の魔神に圧倒される三人ですが、絶対に負けないという強い意志でザガートの撃破に成功。

これでエメロード姫を救って、セフィーロの平和を取り戻せるはずでした。

ところが、真実はそうではありませんでした。

ザガートの城で待っていたのは、三人が知るエメロード姫より大人びた女性で、彼女は自分がエメロード姫だと名乗ります。

光はザガートを倒したことを報告しますが、エメロード姫はザガートを殺害されたことに怒りを爆発させ、魔神に乗って三人に襲い掛かります。

エメロード姫に召喚されてセフィーロにやってきたのに、なぜ攻撃されなければならないのか。

三人の疑問に答えてくれたのは胸の内に聞こえる、聞き覚えのあるエメロード姫の声でした。

魔神に乗る女性は確かにエメロード姫で、柱であることより愛する人(=ザガート)のために生きることを選んだ愚かな姿なのだといいます。

セフィーロはエメロード姫が柱として祈ることによって平和の保たれる世界。

しかし、いつしかエメロード姫はセフィーロよりもザガートのことを思うようになってしまい、その思いを断ち切ろうと自ら牢獄に閉じこもりました。

それでもザガートを忘れることができず、世界には魔物が現れるようになってしまいました。

柱は自らを殺すことはできず、またセフィーロの人間もまた柱に危害を加えることが出来ません。

そこで柱には、セフィーロ以外の異世界から召喚した騎士に自分を殺してもらうための魔法があり、エメロード姫は自分を殺させるために光たちをセフィーロに召喚したのです。

真実を知り、攻撃の手が鈍る三人。

エメロード姫の猛攻が続く中、良心であるエメロード姫は自分がセフィーロの完全な崩壊と消滅を願う前に殺してほしいと懇願。

三人は悩み苦しみますが、ザガートの元に行かせてほしいというエメロード姫の願いを叶えるために最後の力を振り絞ります。

三人の魔神は合体して一体の強力な魔神になり、エメロード姫をついに倒します。

セフィーロに光が差し込んだかと思うと、気が付けば三人は東京タワーにいました。

三人がセフィーロに行ってからほぼ時間が経っていないため、周囲の人間にとってはただ眩しかっただけです。

しかし三人の胸には大きな傷が残り、抱き合って涙を流すのでした。

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感想

読ませる力のあるマンガ

絵の見た目としては少女マンガを連想させますが、内容としては異世界に飛ばされ、そこで戦いを経て新たな武器や魔法、力を手にするというRPG方式。

昔はゲームブックなんかもあったので、時代を感じさせます。

ギャグ要素にしても懐かしいものがあり、セーラームーンを読んだ時のことを思い出しました。

しかし、決してそれが古臭いというわけではありません。

ファンタジーとして世界観を短い中で凝縮させ、テンポよく物語を進行させて、迫力のあるバトルや心の葛藤が描かれるシーンなどメリハリもついている。

意識しなくともいつの間にか目が釘付けになっていて、こういうのが『読ませる』ということなんだろうと実感できました。

悪とは何か

本書は正義が悪を倒す、という簡単な図式ではありません。

セフィーロ崩壊の危機の原因は確かにエメロード姫の心変わりにあります。

しかし、エメロード姫といえども一人の人間であり、自分の心の向くままに生きてもいいはずです。

ザガートとの恋に落ちたのも普通のことで、その幸せが守られてこそ平和な世界といえます。

そもそもこれは、一人の人間を犠牲にしなければならない柱というシステムに問題があるのではないか。

この問題については続編で語れますので、ここでは割愛。

エメロード姫はセフィーロ崩壊を防ぐために、自分を殺害してくれる魔法騎士をセフィーロに召喚することを選択します。

この選択肢があること自体、こういった何らかの理由で柱がセフィーロのことを祈れない事態が発生することを見越している証拠といえます。

本書において、明確な悪など存在しません。

それにも関わらず光たちは自分たちの行いが正義だと疑わず、誰もそのことを正さないまま悲しい結末を迎えます。

中学二年生が背負うにはあまりにも大きな傷だし、それを悲しむ余韻すらなく本書は幕を閉じます。

悪とは何か。

本書を読んだ後、誰にも悪いことをする理由があるのではないか。

もしくは悪い存在ではないのではないか。

他作品を読むと、ふとそんなことを思います。

やや駆け足の終盤

非常にテンポ良く進行するので間延びによるストレスもなくサクサク読めますが、その反面、ザガート戦以降はかなりの駆け足です。

エメロード姫と戦う時点で残りコミックの1/4程度しか残されていないので、よくそのページ数で話を畳んだなと感心すると共に、もう少しエメロード姫が倒れた後の光たちやセフィーロの住人の心境について描いてくれてもいいのではと思ってしまいました。

でも、その結末について色々考える余地がある点が逆に良かったのかもしれません。

続編のラストにもある通り、本書はただ物語があって読者が読むというよりも、読者が読むことで初めて成り立つもので、読むという行為よりもより能動的な接し方を求められています。

この結末について誰がどのように思ったのか。

願うのであれば、どんなことをすれば三人の後悔は晴れるのか。

そんなことを考えてから続編を読むと、感動がより一層増すのでおすすめです。

スパロボへの組み込みが上手い

最後に、本書を読むきっかけとなったスパロボTにも言及します。

スパロボといえば各ロボットアニメの物語が複雑に絡み合うクロスオーバーが魅力の一つですが、スパロボTではこのレイアースが見事に組み込まれています。

最近流行りの異世界や並行世界などややこしいことはせず、舞台は地球ただ一つ。

その上でダンバインなど異世界ものの要素を取り入れ、無理なくレイアースの世界観を作品に持ち込むことに成功しています。

スパロボV、Xとどれも近年まれにみる名作ぶりだったので、三部作の最終作として有終の美を飾ってくれたと思います。

唯一不満を述べるのであれば、レイアースの魔神がそこまで強くないことでしょうか。

最近のスパロボはどんな機体を使ってもクリアできるくらいの難易度設定なので、決して使えないというわけではありません。

しかし、強さ重視でいくとどうしてもスタメンを外れがちで、性能をフルに発揮させようにも三機での運用が前提。

出撃枠の関係で補欠、もしくはレイアースのみ出撃ということになりがちです。

本書を読んだ人であれば、そこは持ち前の愛で乗り越えられるかもしれません。

僕は二周目にその愛を発動させたいと思います。

おわりに

漫画のノリ的に多少時代を感じる部分もありますが、それ以上に色褪せない魅力や情熱がそこにはあり、こんなにじっくり読んでは様々な発見が出来た漫画は本当に久しぶりでした。

もし僕と同じくスパロボTから本書に興味を持ったという人は、読んで間違いなく損はありません。

単純なロボット漫画とは違いますが、魔法騎士の三人の天真爛漫な可憐さ、苦悩と葛藤など見所たっぷりです。

ちなみに続編も全三巻で発売されていますので、ぜひ本書と合わせて読んでみてください。

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