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『往生際の意味を知れ!1巻』あらすじとネタバレ感想!

harutoautumn
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「元カノと結婚したい」は叶うのか!?主人公・市松海路(いちまつかいろ)の前に、7年前に失踪した元カノジョ・日下部日和(くさかべひより)がある日突然、現れた。恋い焦がれ、待ち望みすぎて、元カノ教の敬虔な信徒と化していた市松だったが、彼女の無理難題な要求が明かされて…

「市松君に私の出産記録を撮って欲しいの。」

「だから市松君の精子が欲しい。」

『あげくの果てのカノン』米代恭が新時代を切り開く、新しいアンモラル…!?深呼吸必至の元カノ×元カレ“やり直し”ラブストーリー!!!

Amazon商品ページより

『あげくの果てのカノン』で知られる米代恭の最新作である本書。

Kindleのオススメに出てきて、表紙といいタイトルといい強く引き付けるものがあり、即買い。

もう期待以上の面白さでした。

ここまで清々しく元カノへの未練を描けるのかと驚き、突然現れた元カノの理解できない思考や行動が可愛らしくも狂気じみていて、すっかり目が離せなくなっていました。

ラブストーリーとジャンル分けするには抵抗を覚えるくらいに複雑な魅力があり、これまで漫画で受けたことがない衝撃を受けました。

1巻にして虜になり、この先、もっと面白くなることが確信できる素晴らしい内容になっています。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

第1話『結婚したい人』

市松海路は合コンでタイプの女性を聞かれて、元カノと結婚したいと断言するくらいに元カノのことを引きずっていました。

別れたのは七年前のことですが、元カノ・日下部日和への想いはいまもなお色褪せません。

市松はかつて日和出演の映画『降伏』を撮影し、国際映画賞をとったことがありましたが、失恋のショックで映画が撮れなくなってしまいます。

自宅に戻ると、『降伏』を映して作品の中に出てくる日和に合コンに参加したことを謝罪。

自分の好きな日和はもういないと理解しつつも、囚われ続けていました。

市松は日和から誕生日プレゼントとしてもらった時計が止まっていることに気が付き、翌日、昼休憩を利用して修理に出しに行くことにします。

その時、ひどい落雷が気になりSNSをチェックすると、自分の住むアパートに落雷が直撃して炎上していることを知ります。

急いで駆け付けますが、アパートは全焼。

日和との思い出は全て燃え、唯一持っていた時計も落とした時に車に轢かれて壊れてしまいます。

生きる目的を失い、飛び降り自殺を図りますが、知らない番号からかかってきた電話に出て驚きます。

相手はなんと日和でした。

第2話『゛新しい”元カノ』

日和は市松に頼みがあって会えないかとお願いし、市松の体に生きる気力がみなぎります。

自殺はすぐにやめて待ち合わせ場所の喫茶店に行くと、そこに現れたのは以前よりも髪が短くなった日和でした。

市松は日和と出会った十年前のことを思い出します。

市松は先輩にパーティーに誘われ、そこで当時十五歳の日和と出会います。

『星の三姉妹』というエッセイの作者・日下部由紀の長女で、映画を作っていた市松は被写体としての日和に惹かれます。

やがて純粋に日和に恋をし、三年後、ついに告白することにしました。

日和は告白を受け入れ、二人の幸せな日々が始まりますが、市松はその一か月後に振られました。

回想は終わり、日和のお願いが明らかになります。

それは『市松に自分の出産記録を撮って欲しい』というものでした。

市松は驚きますが、日和は妊娠していないし、結婚もしていません。

日和が欲しいのは市松の精子でした。

父親はいらないし、セックスもしない、けれど子どもは欲しい。

無茶苦茶なことを平然と言ってのけた日和は、精子をいれるための容器を市松に差し出します。

第3話『目的』

訳が分からない市松はまだ日和のことが好きであることを伝えますが、日和はそういう情緒的なものは求めていません。

それでも市松は、再び日和と付き合ってもっと彼女のことを知りたいと本気で願います。

日和は市松に思われていることを喜びつつも、断られたことであっさり引き下がり、二人は退店。

このままでは日和との接点を失ってしまいます。

意固地になり、日和のお願いを受け入れられない市松ですが、日和は言葉巧みに市松を誘惑し、頼みを了承させることに難なく成功します。

市松は日和にされるがままに抱きつかれ、空がきれいだということだけを思うのでした。

第4話『1st trial①』

『降伏』に出演したことがあり、今や人気俳優の榊田正史は市松の話を聞き、彼のことを本気で心配していました。

七年前の失恋であれだけボロボロになったのだから、もう一度日和に関わったら市松の人生は壊れてしまうと。

しかし、それでも市松の頭の中は日和で一杯でした。

ある日、もうすぐ排卵日だから精子をもらいに行きたいと日和から連絡があり、意気揚々と出社する市松ですが、会社で待っていたのは日和でした。

一刻も早く市松の精子を手に入れるために自ら足を運んだのです。

市松は日和の無茶苦茶な行動に困惑しつつも、ある思いを秘めていました。

彼にとってこれはリターンマッチで、日和を自分がいないとダメな人間にするためだったら何でもすると心に誓います。

第5話『1st trial②』

回想で、付き合っていた頃の二人の幸せそうな日々が描かれます。

日和は市松の家に泊まり、同じベッドで寝るところまではいきますが、キスすら許してくれません。

翌朝、誕生日を迎えた市松は日和から誕生日プレゼントとして時計を渡されて大喜びします。

しかし次の瞬間、日和の口から別れの言葉が飛び出し、市松はどん底に突き落とされるのでした。

回想は終わり、市松は個室トイレで精子を出そうと努力しますが、出来ませんでした。

第6話『1st trial③』

市松はそのことを日和に伝えると、彼女は早くも市松を見限ろうとします。

少しでも早く妊娠したいため、市松がダメであればネットで募集すると。

日和は出産記録を劇場公開するというとんでもない目的を持っていて、市松は所詮、替えの効く人間に過ぎません。

市松は現実を突きつけられ、せめて元カレにお願いするよう説得しますが、日和は市松としか交際経験がなく、その事実が市松を燃え上がらせます。

市松は十八時にもう一度会おうと時間を置き、日和をホテルに呼びます。

そして、出産ドキュメンタリーを本気で撮ることを宣言します。

榊田の出演の了承が得られたことで、劇場公開で確実な動員が見込めます。

また以前とった賞の伝手をつかい、またカメラマンをしている友人からカメラを借り、もう一度映画を撮るために何でもすることを決めていました。

だから恋愛感情を抜きにするから、監督として信頼してほしいと。

もちろんそんなことは嘘で、市松は日和と結婚することを微塵も諦めていません。

市松は事前にとっておいた精子を渡すと、日和は大笑いし、市松に頼んで良かったと安堵します。

そして、日和による受精が目の前で行われようとしていました。

この時のナレーションで、日和の本当の目的が復讐だと明かされます。

感想

清々しいほどの未練

市松は恥ずかしげもなく日和への未練を口にします。

映画に出てくる日和に謝罪するシーンはむしろ清々しいほどの恋愛感情で溢れていて、不思議と気持ち悪さのカケラもありませんでした。

市松は日和を想い続けていることが正常であると思っていて、ある意味、純粋なんでしょうね。

『元カノと結婚したい』という一歩間違えればただただ気持ち悪いワードがここまで胸を熱くさせるのかと驚き、序盤で一気に作品に引き込まれました。

日和の可愛さと狂気

市松に想われ続ける日和が登場しますが、最初はとにかく可愛らしい部分が目立ちます。

お嬢様育ちのような清楚さ、常識がやや欠けるもおっとりとした性格、わざとなのか無意識なのか判断のつかない大胆な行動、言葉。

市松が未練を振り払えないのも無理ありません。

と、読者が思ったところで、可愛さの裏に隠された狂気ともいうべき一面が露になります。

父親はいらないし、セックスもしない、けれど子どもが欲しい。

だから市松の精子が欲しいのだと。

日和はこれらのとんでもないことを当たり前のように口にし、激情で我を失っているような危うさは微塵も感じさせません。

それゆえに日和の持つ狂気が際立ち、この危うい女性は何なのかと恐怖と興味をこれでもかとかきたてます。

何ていうジャンル?

本書の紹介には元カレと元カノによるラブストーリーとありますが、そんなに簡単にジャンル分けしてしまっていいのかと疑問を抱きました。

物語の根底は確かにラブストーリーですが、日和の目的や生い立ちなどにはホラーのような怖さが漂い、一歩間違えれば愛では済まなくなるのではとなんだかソワソワしてしまいました。

これからの展開によってこの疑問が解消されるような気がしているので、じっくり読み進めたいと思います。

日和の目的が気になる

最後に日和の本当の目的が復讐だと明かされますが、誰に対する復讐?という疑問が残ります。

安直に考えれば市松に対するものですが、これまでの描写で恨む理由が見当たりません。

個人的には母親である日下部由紀やエッセイのモデルになったエピソードなどが関係しているような気がしています。

由紀に対する子どもとしての反抗が復讐に繋がるのかもしれません。

もちろんあくまで予想でしかないので、しっかり二巻以降で真実を確かめたいと思います。

おわりに

偶然手にしたことが奇跡と思いたくなるような面白さで、ここ最近読んだ漫画の中でも抜群の魅力とインパクトでした。

次巻が出るまでに『あげくの果てのカノン』を読み、米代さんへの理解を深めたいと思います。

次の話はこちら。

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