『君に届け 番外編~運命の人~1』あらすじとネタバレ感想!今度の主人公はくるみ
【電子版には雑誌掲載時の著者カラー原画を収録!】高校を卒業した爽子たち。くるみの前に“運命の人”が――!? 高校卒業後、同じ大学に進学したくるみと爽子。気乗りしない合コンに爽子を誘って参加したくるみですがそこでおかしな男に絡まれてしまいます。そんなピンチを救ってくれたのは「えーじお兄ちゃん」。どうやら爽子のイトコらしいのですが…。
Amazon内容紹介より
『君の届け』の番外編となる本書は、主に大学に進学した爽子とくるみに焦点が当てられています。
特にくるみ。
前作でも化けの皮が剥がれてから清々しくも面倒くさかったくるみですが、番外編では直面した恋愛に余計面倒くさくなり、それが新鮮で可愛いのが見所です。
爽子の従兄・赤星英治も登場し、本編と同じくらい、もしくはそれ以上の面白さを保証します。
この記事では簡単なあらすじ、個人的な感想などをご紹介します。
あらすじ
運命の人 第1部
タイトルにもある運命の人ですが、それはくるみにとっての爽子のことでした。
くるみは爽子のことを運命の人だとたまに思うと、序盤に明かされます。
大学進学後、大学にいる時も帰った後もくるみは爽子にべったりで、寄生といっても差し支えないほどでした。
くるみにとって、爽子と一緒の時間が安心できる時間で、故郷を離れて一人暮らしということもあって高校時代よりも仲を深めていました。
そんなある日、合コンに欠員が出て、急遽誘われる爽子とくるみ。
くるみは彼氏がそろそろほしい、爽子が行くなら行くと強引に誘い、爽子は風早に許可をとった上で参加することにします。
くるみがこんなことを言ったのは、ちょっとだけ爽子を困らせたかったからでした。
しかし、当の爽子はくるみに彼氏ができるようやる気を出していて、逆に悪い虫がつかないようにしなければと気合いをいれるくるみ。
そして合コン当日。
爽子は早速変な男に目をつけられ、占いが得意だとして手を握られそうになります。
とっさにくるみは爽子をかばって自分の手を差し出しますが、鳥肌が立つほどの気持ち悪さでした。
それでも相手の男は止まらず、今度はほっぺを触ると手を伸ばし、爽子とくるみはお互いをかばいあいます。
すると、それを静観していた別の席の男性が現れ、変な男を止めます。
その男性とは、爽子の従兄である赤星英治でした。
英治はこの子たちはもう帰ると、爽子とくるみを連れてお店の外に出ます。
爽子はくるみのことを親友だと紹介すると、英治は早速『梅』呼ばわり。
英治とはすぐに別れますが、後日、くるみはまだ英治の意地悪なところにちょっとむっとしていました。
すると爽子からメールが届き、英治とご飯を食べるから来ないかと誘われ、なんだかんだ喜んで行くくるみ。
爽子の家に向かう前にコンビニに寄りますが、お店を出ると、合コンにいた変な男がキョロキョロ辺りを見ているのを発見します。
男はくるみを見つけると駆け寄ってきて爽子の家がどこかとたずねますが、爽子には彼氏がいるから諦めるようバッサリ切り捨てます。
それでも食い下がる男ですが、途中から見ていた英治は男を引き取って地下鉄に乗るまで送り、その間にくるみは爽子の家に向かいます。
英治も合流すると、何かあった時用にと自然に連絡先を交換。
英治は相変わらず馴れ馴れしい態度でしたが、くるみにとってそれは嫌なものではなく、気が付けば爽子の彼氏である風早のことが好きだったこと、振り向かせるために汚いこともたくさんしたことを話していました。
そして帰り道、くるみは英治に対して、爽子は運命の人かもしれないと話します。
爽子がいたからこそ、ダークサイトに落ちずに済んだのだと。
しかし内心、いまだに爽子はどこまで許してくれるのだろうと試して、その度不安になる自分がいました。
その時、英治は付き合わないかと不意に切り出します。
自分だったらそんなくるみのことも許すと。
この時、くるみはやっぱり爽子は運命の人かもしれないと改めて思うのでした。
運命の人 第2部
結局、英治のことを振ったくるみ。
しかし、英治は全く気にしておらず、くるみのことを諦めるつもりなんてありません。
くるみは英治に呼び出され、思わず会いに行ってしまい、まさかの初デートを経験します。
自分では経験値が高いと思っていたくるみですが、そもそも彼氏がいたことはなく、こういった駆け引きにはなれていません。
英治が何か言うたびに顔を赤らめ、その度に可愛いと言われてペースがうまくつかめません。
英治は口説いていると明言し、立場的にくるみが優位なはずです。
しかし、くるみに余裕などなく、風早との違いに怖さも感じていました。
それでもその夜、夢の中に英治が出てきて、憎からず思っていることは明白でした。
運命の人、と検索しそうになるほど真剣に悩むくるみ。
一方、爽子は英治に何か嫌がらせを受けているのではと勘違いします。
くるみは睡眠不足からカフェテラスで寝てしまい、その間に何かあったのかと電話で英治に話す爽子。
英治は何かを察し、くるみのもとに向かいます。
くるみは夢の中でも英治のことを考え、ふと目を開けます。
そこにいたのは、英治でした。
くるみは寝言のようにうん、待ってたと素直な気持ちを口にし、そのまま寝たふりをします。
運命の人 第3部
英治はくるみの思いがけない素直な言葉に一瞬驚きますが、すぐにペースを取り戻します。
爽子は二人の様子を盗み見ていますが、英治はメールで先に帰るよう伝え、恥ずかしくて寝たふりをしているくるみに爽子は先に帰ったことを伝えます。
くるみは観念して起き、口では反論しつつも英治が会いに来てくれたことを喜ぶのでした。
帰り際、誰かの視線を感じるくるみ。
相手のことは見つけられませんが、そこにはあの変な男がいました。
くるみはそのまま爽子の家に寄ると、英治との間にあったことを報告。
爽子は、英治とくるみがいい関係にあることを理解し、力になってあげたいと強く思います。
くるみは話してホッとしたものの、次の連休、爽子は風早に会いに帰省するためいません。
爽子に依存しているくるみは、今からどうしようと頭を悩ませます。
それでもしばらくして落ち着き、帰宅するくるみ。
その間に英治と簡単なメッセージのやりとりをし、爽子は一連のことを風早に報告。
そして連休初日、くるみは英治とデートしていました。
英治は恋愛に不慣れなくるみに気を遣って、ちゃんと段階を踏んでデートします。
くるみは英治の優しさに気が付きますが、ひねくれているせいで自分の顔目的かと疑心暗鬼になります。
しかし、英治がくるみを気にかけているのは違った理由でした。
くるみの思いとは裏腹に、英治から見たくるみは爽子のことだけを守り、無防備は女性でした。
だから何かあったら呼べ、守るからと宣言し、いつの間にか隣に自然にいてくれる英治の優しさにくるみは涙を流すのでした。
運命の人 第4部
そんなくるみに、思ったよりも自分がはまっていることに気が付く英治。
爽子はその頃、風早と仲良くしていました。
それでもくるみは同じような質問を繰り返し、英治は気を遣って答えますが、まさかの逆効果。
ギクシャクした状態でデートは終了し、お互いに後悔しながら帰路につきます。
帰り道、くるみはまたしても合コンにいた変な男を見つけます。
前回は昼間でしたが、今回は夜で怖さで一杯です。
そこで英治に電話をかけて事情を説明しますが、思わず大丈夫と答えてしまい、すぐに後悔します。
それでもファミレスに入っていなくなるのを待ちますが、いつの間にか男はこちらに気が付き、ソファ席の隣に勝手に座られます。
ターゲットじゃないと安心していましたが、男の今回の目的はくるみでした。
男は強引に詰め寄り、くるみは涙を流しながら覚悟しますが、次の瞬間、息を切らした英治が現れ、くるみから男を引き離します。
男は英治に脅されて逃げ出し、二人はファミレスを出ます。
英治は遅くなったことを謝りますが、くるみは違うと否定。
くるみは英治が来てくれるのかを試したのでした。
くるみは嘘をついたことを泣きながら謝り、今日は帰らないでとようやく素直になります。
英治もちゃんとくるみの気持ちを見抜いていて、怒ってはいません。
いざ英治が帰らないことに慌てるくるみですが、結局は帰んないでとまた泣くのでした。
おわりに
英治はちょっとピンを思い出させる、風早とは違った意味でいい男でした。
そしてこうやって見ると、くるみの幼さが目立ち、爽子のしっかりとした一面が浮き上がります。
余裕そうにみえて、英治もかなりくるみにはまってしまったようなので、次巻以降、余裕のない二人が見られるのか非常に楽しみです。
次の話はこちら。