明日から使える雑学!『宝石の国』から学ぶ宝石たち その1
市川春子さんの描く「宝石の国」という作品には、誰もが知っているような宝石から珍しいものまでたくさんの鉱物が登場します。
そこでこの記事では、それぞれの鉱物の特徴、そこから読み取れるキャラの性格などを考えていきたいと思います。
まずは1巻に登場する鉱石を一覧にして、それぞれ解説していきます。
また8巻までのネタバレにも繋がりますので未読の方はご注意ください。
①フォスフォフィライト
燐葉石とも呼ばれ、海緑色、青緑から水色、無色の鉱石です。非常に脆く衝撃に弱いと、まさに本作品のフォスの特徴そのものです。
美しい色合いと稀少性で価値が高い、一方で脆くて実用的装飾宝石には向かない、そこに市川さんはロマンを感じ、フォスを主人公に選んだそうです。
新しいモルガ、ゴーシェが出てくるまでは最年少。初期の段階で300歳。
実用的装飾宝石に向かない=何をやらせても向かないフォスですが、いつか自分に合った仕事が見つかるのでしょうか?
今のところ、現在の情報を後世に語り継ぐための博物誌を編み始めたものの、度重なる損傷から他の宝石たちの精神が摩耗するという理由で担当を外され、今はパートナーを変えながら戦っています。
②モルガナイト
ピンク色ないし淡赤紫色の緑柱石(ベリル)で、その色はマンガンに由来しています。
鉱物の写真は薄いピンク色ですが、これよりも濃いピンク色をしたものを存在し、本作のモルガナイトはピンク色がより強いので、それが彼の荒々しさを表しているのかもしれません。
個人的に髪型が可愛い。
7巻のフォスが目覚める前に月人に連れ去られ、その後、同種が生まれています。前者は粗暴で口が悪いが、後者はとてもシャイで、前のモルガと違うことを気にしていますが、フォスに元気づけられたことで心を許し、彼にべったりです。
70歳とダントツで若く、新しいゴーシェと共に最年少です。
③ゴーシェナイト
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右上がゴーシェナイトです。
純度が高く無色の緑柱石のことを特にこう呼びます。
しかし、純粋な無色で産出されることは少なく、殆どが多色が混じって採掘されます。
カラー絵ではほぼ無色なので、純度が高い良質なゴーシェナイトなのでしょう。
色がない分、主張が弱く優しいのかな?
モルガと同じく、7巻のフォスが目覚める前に月人に連れ去られ、その後、同種が生まれています。
しかし新しいゴーシェはとても溌剌としていて、前の二人とは性格が逆になっています。
④金剛先生
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右下が金剛先生です。
金剛石とはダイヤモンドの日本語で、天然で最も硬い物質といわれています。
金剛先生は硬度:?となっていますが、硬度10のダイヤモンドやボルツよりも硬い可能性があります。
もしくは合成ダイヤモンド、模造ダイヤモンドというものもありますので、先生の出生に何か秘密があるのかもしれません。
どのみち先生が隠し事をしていることはまず間違いありませんので、これからの展開に目が離せません。
あと最も硬いため、手袋をしていることがよくあります。
これは素手通しで触ると硬度の低い宝石が壊れてしまうので、そうならないための配慮です。
他の宝石たちが触る時は先生の衣服越しに触っています。
※2017.11.23追記
8巻で先生は純粋な人口六方晶ダイヤモンドで作られていることが判明し、金剛という名前はこの世で最も堅いという意味でつけられました。
上で書いた合成ダイヤモンドがまさかの正解でした。
⑤ヘリオドール(1巻時点で月人に捕まっている)
緑柱石の中でも黄色系の色をした石を示す宝石名で、3価鉄イオンが色の元になっています。
すでに月人に捕まっていますが、一部取り返すことが出来たので、いずれ復活した姿を見れる日がくるかもしれません。
※2017.11.23追記
月から戻ってきたヘリオドールはどうやら月人が作った合成品のようです。
インクルージョンは宿っていますが、フォスたちのような天然ものとは質が違うということで、これを集めてもヘリオドールは甦りそうにありません。
⑥ルチル
金紅石とも呼ばれ、金色の細長い針状結晶が特徴的で、この針状結晶が入り込んだ石英(水晶)が産出されることも多く、「針入り水晶」「ルチルクォーツ」などの名前で出回ることもあります。
上の画像だと分かりませんが、カラー絵でも赤と金色が綺麗にマッチしています。
あと隠れ美脚というのがまたグッド。
宝石たちの修復など医務を担当していますが、かつてはパパラチアと組んでいて、彼の特異体質と向き合う内に医療の腕が磨かれました。
むしろ、彼を治すことこそがルチルの生きる意味となっています。
⑦シンシャ
漢字で辰砂。
日本では古来「丹(に)」と呼ばれています。
不透明な赤褐色の塊状、あるいは透明感のある深紅色の菱面体結晶として産出されます。
賢者の石とも呼ばれ、有毒。
フォスよりも低い硬度2で、毒をまき散らしてしまうなど、色々と不遇な子。
そして一番色っぽく、まさに本作のヒロイン? にふさわしい宝石です。
フォスが夜の見回りよりも楽しく、シンシャにしか出来ない仕事を探すと言ってから、言葉では彼を否定していますが、内心期待していることが分かります。
⑧ベニトアイト
無色、青色、紫色、青緑色と様々な色があり、本作では紫色。
断口が貝殻状=巻き込まれやすいだったりして?非常に希産で、大きい結晶がなく貴重とあるので、そのうち月人に狙われるかも?
巻き込まれやすい体質の可哀そうな子。
常識人の代表のような普通の子で、普通であることを気にしています。
⑨ジェード
↑
分かりにくくてごめんなさい。
右がジェードです。
翡翠とも呼ばれ、深緑の半透明な宝石の一つ。
作中で堅牢のジェードと呼ばれていますが、すべての鉱物の中で最も割れにくい性質(靭性)を持っています。
この性質がまじめすぎる性格につながっているのかもしれません。
フォスに名前を忘れられたり、フォスを止めるためとはいえ胴体を打ち砕いた時はひどく落ち込んでいて、人の良さがよく出ています。
⑩ダイヤモンド
天然の物質では最高クラスのモース硬度10を誇り、また屈折率も高いため非常に美しい鉱石です。
しかし、靭性は鉱物として決して高いわけではないため、ハンマーで叩くなど瞬時に力が加えられると粉々になってしまいます。
作者の可愛さに対するこだわりが詰まったキャラなので、とても可愛い。
まろ眉が癖になる。
ダイヤモンド属は最も高度が高いため、他の宝石たちを割らないようにみんな長い手袋とハイソックスをはいています。
とてもマイペースな性格なため、同じような性格のイエローダイヤモンドと馬が合うが、組ませるとどんな事態になるか分からないためコンビは組ませていませんでした。
しかし、イエローのペアであるジルコンがダイヤのペアであるボルツと組むようになってからは、ペアを組んでいます。
ボルツのことを弟と呼び、大切にしています。
しかし、戦闘においては合わないことも多く、後にコンビを解消します。
ボルツを大切に思う一方で、彼を前にして変われない自分に嫌悪感を抱くなど、可愛い外見とは裏腹に、複雑な気持ちを抱えています。
⑪ボルツ
天然の多結晶ダイヤモンド。
単結晶と違い非常に割れにくいため、作中でも先生に次ぐ戦闘能力を誇っています。
しかし調べてみると、ダイヤモンドの研磨くずという意味も出てきましたが、何か今後の話で関係してきそうじゃないですかね?
ダイヤモンド属は最も高度が高いため、他の宝石たちを割らないようにみんな長い手袋とハイソックスをはいています。
ダイヤモンドのことを「兄ちゃん」と呼び大事に思っているが、戦闘では合わないことも多く、後にコンビを解消し、イエローのペアであったジルコンと組んでいます。
戦闘に対するアドバイスが辛辣だが的確という理由で、様々な宝石たちとコンビを組んだこともあります。
⑫ユークレース
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これも分かりにくくてごめんなさい。
左がユークレースです。
色は非常に薄い青色から濃い青色に至る。
作中では真ん中で分かれた青と白の髪が特徴的。
モース硬度は低くないものの非常に割れやすいため、宝石や装飾品に加工するのが非常に難しい。
僕はみんなよりも割れやすいという発言もしているので、この性質が由来していると思われます。
とても賢く、ジェードを立てながらみんなをまとめていますが、実はジェードよりだいぶ年上で、とても頼りにされています。
最後に
元の宝石のことを知るとキャラクターそれぞれの設定の意味を理解することができ、ますます作品を楽しめるようになると思います。
もし興味のある方は、wkipedia等でもっと綺麗な写真も載っていますので、ぜひ見てみてください!
その2はこちら。