【感想】『ゆりなつ』百合好き家族の民宿で繰り広げられる百合コメディ【ネタバレ注意】
『出会い系サイトで妹と出会う話』 著者最新シリーズ。
世界のユリシュラン、三ツ星の宿。百合好き一家による、百合好きのための宿が、本格OPEN。『出会い系サイトで妹と出会う話』 著者最新シリーズ。
Amazon内容紹介より
本書は『出会い系サイトで妹と出会う話』などで知られるもちオーレさんが贈る百合ラブコメです。
百合好きな家族が宿を経営し、訪れる女性二人客の背中を押す。
それだけでなく、家族間でも百合な展開があるという、もう盛り沢山な内容になっています。
この記事では、本書の魅力について僕の感じたこと、評価の分かれるポイントについて書いているので、購入する前にチェックしてみてください。
登場人物
内容や魅力に触れる前に、百合好きのための宿『民宿かがや』を経営する加賀谷一家、および離れて暮らす家族についてご紹介します。
宿を訪れる女性の百合だけでなく、加賀谷家の中でも百合を楽しむことが出来る設定になっています。
ゆりなつ 1巻より
上の画像で左から五女・花、長女・葉、母・根々、次女・幹、三女・茎です。
加賀谷根々
民宿かがやの女将。
バツイチで、後述する姉・夕と夫婦のように仲が良い。
ドキドキすることもなく、当たり前のように百合をしている。
長女 葉(よう)
宿の従業員で、テキパキと業務をこなすしっかり者。
お固そうな外見とは裏腹に、百合展開に踏み切れない客をそっち方向に誘導するなどかなり積極的。
また次女・幹を唯一コントロールできる人物で、ツンデレな彼女を楽しんでいる様子。
しかし、幹が自分のことを好きであることに気が付いていないなど、自分のことには鈍感。
次女 幹(みき)
画家志望で、同じ家に暮らす姉妹の中で唯一宿の手伝いはせず、アルバイトをしている。
家族の多くが黒髪の中で金髪、耳や顎に複数のピアスと分かりやすい不良キャラ。
家族であろうと反抗的な態度をとるが、葉だけは別。
葉のことが大好きで、彼女の頼みであれば甘えた態度も見せる。
その表情は女そのもので、目撃した花がドキドキしてしまうほどの破壊力。
葉一筋のせいかかなり純粋で、茎の隠し動画を見た時は驚いていた。
三女 茎(くき)
宿の従業員で、髪型は葉と同じく黒髪ロングだが、目が隠れるほど前髪が長い。
訪れる女性客を盗撮するのが趣味で、興奮する姿は犯罪者そのもの。
ちなみに客だけでなく姉妹の裸でも欲情するタイプで、幹に裸の写真を撮らせてほしいとお願いして殴られている。
この時、痛がりながらも嬉しそうなので、おそらくM気質。
盗撮趣味は本人もバレたら大変だという自覚があるが、早々に五女・花にバレてしまう。
茎はこのことを秘密にしてもらうために、花からの無理難題に応じる日々を送っている。
花は茎に好意?を抱いていて、積極的にアプローチをかける一方で、茎も嫌がりながらも満更でもない様子。
四女 蕾
大学生で、家族と離れて本土で暮らす。
大道という彼女がいて、『つー』と呼ばれている。
蕾は大道にべた惚れだが、もっと束縛してほしいと思っていて、極度のかまってちゃん。
漫画化志望。
五女 花
中学生で、宿の手伝いをしている。
客や姉妹の百合展開に興味津々で、パッと見は純粋な少女。
一方で、茎の犯罪行為を目撃してはそれを取引材料にコスプレ、添い寝、裸の写真を強要するなど計算高い一面も持つ。
物語が進むにつれてその変態性が発揮され、誰の影響でそうなったのかは不明。
加賀谷夕
根々の姉で、姉妹の伯母。
女漁師で、宿の板前。
根々とは夫婦のように仲が良く、例えると夕は海に出て稼ぐ夫。
夕もまたバツイチで、子どももいるようだが、本編中に登場しない。
根々とは当たり前のようにデートしたりお風呂に入ったりする間柄で、幹は二人のような関係に憧れている。
魅力
ここからは僕の感じた本書の魅力をご紹介します。
① 様々なタイプの百合が見られる
民宿かがやに訪れる様々なカップルはもちろんのこと、加賀谷家の中での百合も複数堪能できます。
さすが百合好きのための宿という感じです。
性に奔放すぎる人もいれば、奥手でいまだに踏み込めない人もいるので、お好みのカップルが一組は見つかるのではないでしょうか。
一組をずっと追っていたいという方には物足りないかもしれませんが、様々なカップルが代わる代わる自分の欲求に素直に従って行動するその姿はまさに圧倒的です。
② 後ろめたさがない
作中でも語られますが、女性が女性のことを好きであることをカミングアウトするには勇気がいります。
広く認められてきたとはいえまだまだ少数派なので、言いにくいのも仕方ありません。
しかし、民宿かがやではそんな心配はありません。
そもそも両親自身が率先して百合してますし、その元で育った姉妹も女性を好きになることに抵抗がありません。
百合モノでここまで後ろめたさのようなものがなかったのは初めてで、本書の特徴かつ魅力かなと思います。
③ テンポが良くて気軽に読める
あまり込み入った話もなく、様々なカップルの百合模様を代わる代わる描いているので、テンポが非常に良いです。
しかも3巻完結という手軽さ。
10巻以上だと読み始めるのも腰が重たいですが、3巻であればそれこそ一日で読めてしまうので、暇潰し程度の軽い気持ちでもオッケーです。
評価の分かれるポイント
百合というには性に奔放すぎる
はじめ、全く気にしていなかったことですが、レビューを見ているとこれは『百合ではなくレズビアンだ』という声がありました。
調べてみるとこの二つの区別は曖昧で、女性が好きだと自覚していたり肉体関係になるのはレズビアンだという意見があります。
その観点からすると、確かに本書は百合マンガとはいえません。
直接的な描写はないとはいえ、やることやってます。
幸いというか、絵柄がどこかモブっぽいので生々しさは感じられず、百合といっても差し支えない気もします。
二次元であれば全て百合だという意見もありますが、気になるという方はpixivの無料掲載分を読んで自分に合うかどうか確かめてください。
途中で絵が変わる
どこかモブっぽい絵に惹かれたという方は注意が必要です。
最終巻になってからですが、3巻収録の第81話『夫婦?』より絵柄がけっこう変わります。
特に目が黒塗り一色から急にキラキラし出すので、評価が分かれています。
変わった後はより可愛いらしいので僕は好きですが、モブ感はかなり薄れるので、こちらも気になる方はpixivで試し読みしてみてください。
Pixivで無料で読める
ここまで読んでみても購入を迷ってしまうというあなた。
pixivで一部無料で読めますので、一度試し読みしてみてください。
おわりに
百合好きの家族が経営する百合好きのための旅館。
ありそうでなかった設定で、テンポもよくカップルも多彩なのであまり百合モノに馴染みがないという方にもオススメできる作品です。
本書は同じもちオーレさんの作品である『出会い系サイトで妹と出会う話』、『出会い系サイトで妹と出会う話-333日目-』と一部リンクする部分もありますので、合わせて読むと何倍にも楽しめます。
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