『深夜百太郎』あらすじとネタバレ感想!伝説級のホラーが二作合体して復刊
●宮部みゆき氏絶賛!
Amazon内容紹介より
参りました。脱帽。 舞城王太郎は超人である。
最大級の賛辞を贈りたいのは、まず百話の多彩さだ。(中略)語り口も素晴らしい。東京の調布市が舞台の奇数話は標準語、福井県西暁町が舞台の偶数話は方言で書き分けてあり、私のベスト3の一つ七十太郎「保留中の黒電話」も方言の会話で泣ける。ベスト3のあと二つは、二十九太郎「夏の落ち葉」と八十二太郎「電車停車中」。特に後者は一読脳裏に焼きつく傑作だ。九十九太郎「呪い」もたった三ページでめちゃくちゃ怖い。古来、百物語を一夜で完遂すると怪異を招くという。徹夜で一気読みはやめましょうね。(帯全文より)
以前、Twitterで発表され、『深夜百太郎 入口』『深夜百太郎 出口』として出版された名作が一冊に合体して刊行されました。
百物語のように、百の恐怖の短編が収録されていて、八〇〇ページを超える圧巻のボリュームです。
『平成怪奇小説傑作集』に収録されていた作品だけでもその異様さが分かりましたが、一冊を通すとその異様さがさらに増します。

この夏のホラーを語る上で外せない一冊でしょう。
ちなみにnoteでもナナロク社より一話ずつ公開されているので、雰囲気を知りたい人はこちらもご覧ください。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想などを書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
今回は『平成怪奇小説傑作集』に収録されていないものの中で、特に個人的に気に入った作品をご紹介します。
七太郎 グルグル
家族のユキ茶がトイレで揺れている人がいると言います。
僕は引きこもりのユキ茶のことを信用していませんが、トイレに行くと知らないおじさんが首を吊っていました。
警察を呼び、おじさんが五年前に福井県西暁町で行方不明になっていた人であることが判明します。
それだけでも意味不明ですが、さらに理解不能なことが起こります。
二十八太郎 入れない家
夏の雨の日、夕方の五時くらいになると、とある家から子どもの泣き声が聞こえてきます。
十五年前、その子は池に落ちて亡くなっていて、その家の家族もそれからいなくなって今は誰もいません。
普通に異様なことですが、僕たち家族は十五年もの間、それを聞いているので、もはや夏の風物詩となっていました。
ところが、兄が最近結婚して兄嫁が顔を出すようになると、その声に反応を示し、様子を見に行くことになりました。
四十七太郎 客が一人のバス
俺は六歳の息子と共にバスに乗ろうとすると、前にいたおばさんに乗らないよう言われます。
なぜかと思っていると、おばさんはバスの最後尾に座る大学生くらいの女の子を示しました。
ここらへんでバスに乗る際、今みたいにお客さんが一人しか乗っていない場合、次のバスを待った方が良いのだと。
次のバスが来て、誰もいないことを確認しておばさんと俺たちはバスに乗りますが、恐怖はここから始まります。
感想
常識をぶん殴るホラー
舞城王太郎さんといえば、常識に囚われないぶっ飛んだ作品が有名です。
そして本書ではその発想力が百物語に転用され、他では見られない理解を超えたホラーを堪能することができます。
どの話も東京の調布市、あるいは福井県の西暁町を舞台にして、範囲でいえば極狭です。
それでいて話のバリエーションは本当に豊かで、どこでこんな設定を思いつくのだろうと驚かされました。
また普通ではあり得ない状況や人物、ホラーが設定されていて、常識で考えだすと一向に読み進められません。
読み進める度に常識がぶん殴られることになり、一気読みしようものなら人格が歪みそう。
オーバーな表現ではありますが、それくらいの破壊力を秘めていました。
地道に読むこと
本書は地道に読み進めることをオススメします。
上記のように読み手の精神状態にかなり影響してくるので、一気読みできる人はそう多くはないのでしょうか。
また常識外れな設定を短編ごとにインプットするので、これもまたハードな作業です。
かといって流し読みしてしまうと、一編一編に込められた極上の恐怖を堪能できないため、結果的に一、二週間かけてのんびり読むことになりました。
僕は本書を読んでいる最中はもう一冊を携帯し、その日の気分によって変える手法を取っていました。
違うテイストの本を読むと本書をフレッシュな状態で読むことができるので、飽きっぽい人にはオススメな読み方です。
おわりに
入口、出口を買おうとしては電子媒体がなく、紙媒体のみで高額だったので、買うのを躊躇していました。
そのため刊行されることを知った時の喜びといったらありません。
十年経った今でも色褪せない名作ですので、ホラー好きであれば必読です。
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