『日本ホラー小説史』あらすじとネタバレ感想!80年間の歴史を辿れる一冊
モキュメンタリーホラーの人気に代表されるように、今、ホラー小説はかつてない盛り上がりを見せている。日本のホラー小説はいつ生まれ、どのような道のりを経て、この空前のブームへ至ったのだろうか。
Amazon商品ページより
本書では、戦後から現在までのおよそ80年にわたるホラー小説の歴史を辿る。江戸川乱歩による「怪談入門」で幕を開けた戦後ホラー小説の歴史は、1960年代の異端文学ブーム、1970年代のオカルトブーム、そして1980年代のホラー映画の人気を受けて発展してきた。1990年代にとうとう文芸の一ジャンルとして確立されると、画期的な作品を次々と生み出しつつ、令和のホラーブームへと至る――。
各時代を彩る300を超える作品を紹介し、ブックガイドとしてもおすすめの一冊。
ここ最近の朝宮運河さんの活躍は目覚ましいです。
昨年は『現代ホラー小説を知るための100冊』も発売されており、こちらを「問題集」、本書を「教科書」と例えている人がいて、読んだにもかかわらずなるほどと思ってしまいました。
それくらい本書はホラー好きであれば知っておくと楽しいマストな知識もあれば、中級者以上の知識もあり、あらゆるユーザーにとってホラーを深める一冊となっています。

本書含めて、朝宮さんへのインタビューはこちら。
若林踏 × 朝宮運河が語る、ミステリとホラーの関係史「互いの領域を侵食しながら拡大してきた」
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想などを書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
構成
本書ではタイトルの通り、ホラーの歴史が語られています。
現在は令和のホラーブームと言われるくらいホラー界隈が盛り上がっていて、普段ホラーを読まない層にまで浸透しています。
一方で、このブームはいきなり爆発したわけではなく、これまでの遺産が受け継がれてきて大きく花開いたことも書かれていて、ホラーの歴史の集大成ともいえます。
タイムラインだけでも色々な切り口がある中で、本書では第二次世界大戦が終結した『1945年』を日本ホラー小説史の起点として描いています。
ホラーの浮き沈み
本書を読んでいて一番面白かったのは、僕がいかにホラーを知らないかが分かったところです。
言い方を変えれば、ホラーの盛り上がっているところしか見ていなかったことです。
本書ではそもそも『ホラー』という言葉が一般的に使われるようになるまでのことから描かれ、どのようにして市民権を獲得したのが記されています。
現在、ホラー界隈の第一線で活躍されている作家さんたちが、どれほどの覚悟を持ってホラーを描き、それを読者に受容してもらえるまで突き続けたのかが分かります。
それはとてつもなく果てしなく過酷な道で、そう思うと、読者がホラーを認知して受け入れてくれる体制が整っている現代がいかに恵まれているかが痛感される内容です。
感想
教科書的な読み方
朝宮さんが何度も書くように、ホラー小説の歴史を書こうと思えば、いくらページ数があっても足りません。
日本のこととはいえ、そのホラー小説が生まれた背景やきっかけには海外のホラー小説も大きな影響を与えていて、それを書かずして歴史は正しく伝わりません。
この膨大かつ複雑な歴史を丁寧にほぐし、必要な部分に絞って記載する。
そこに熱量があり、ホラーが好きな人にもそうでない人にも響く力強さがある。
改めて朝宮さんの情熱が感じられる一冊でした。
前作とは違った作品が知れる
本書でも歴史を語りながら多くの作品が紹介されていますが、前作とは毛色が異なっています。
前作では小説としての紹介でしたが、本書ではそれだけでなく、雑誌なども数多く紹介されています。
個人的には雑誌『宝石』が印象的でした。
創刊号には江戸川乱歩や横溝正史といった名だたる小説家が連載していたと聞いてはいましたが、表紙やその頃の話を読むと、当時の温度感や匂いが感じられるようで、まさに時間旅行でした。
正直、本書を辿りながら全作読んでいくと、それだけで人生終わるのではと思うほど膨大で、恐怖に惹かれるのが人間の性であることを再確認しました。
おわりに
ここでホラーを整理してくれたことがとても嬉しかったです。
自分自身、かなりつまみ食いのように読んできたので、体系的に読むにあたり良いきっかけとなりました。
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