『朝霧』あらすじとネタバレ感想!私の巣立ちを描くシリーズ第五弾
前作『六の宮の姫君』で着手した卒業論文を書き上げ、ついに学窓を巣立つ時がやってきた。出版社の編集者として歩み出した《私》が巡り逢う不思議の数々。謎解きの師でもある噺家、春桜亭円紫師匠に導かれて迎える幕切れの鮮やかさ、切なさが胸に迫る。寥亮たる余韻は次作への橋を懸けずにはいない。“物語”の伏線に堪能する、《円紫さんと私》シリーズ第五作。解説=齋藤愼爾
Amazon商品ページより
シリーズ第五弾となる本書。
前の話はこちら。

私がついに大学を卒業し、社会人としての人生を歩み始めます。
彼女の周りには変わらず謎があり、持ち前の豊かな感性でそれを受け取っていくわけですが、環境変化によって近づく人もいれば遠ざかる人もいます。
この喜ぶと寂しさが入り混じった読み心地も、とても上質でした。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
山眠る
私が大学卒業を控えた冬のこと。
みさき書房の天城から電話があり、温泉に誘われます。
作家の田崎は『乱世』という作品を書き上げるにあたり、箱根に泊まっているのですが、書き上がったところで私の名前を出したのだといいます。
前作での私の活躍の賜物であり、春からみさき書房の一員になるため、これほど嬉しい話はありません。
私はこの申し出を受け、箱根に向かいました。
走り来るもの
ここでは、フランク・R・ストックトンの『女か虎か』という本の話が出てきます。
この話はリドル・ストーリーというジャンルで、結末が示されておらず、読者に委ねられます。
登場するリドル・ストーリーはこれだけでなく、実は天城も持っているのだといい、編集プロダクションの赤堀という人物から教えてもらった物語を披露します。
私は結末を考えるわけですがうまくいかず、いつものように円紫さんに救いを求めます。
朝霧
私は父親から、祖父の日記を借ります。
祖父もまた本が好きで、日記には彼の当時の暮らしが描かれていました。
読み進めると、途中で謎の暗号のような文章が現れます。
祖父の解けなかった謎に孫である私が挑みます。
感想
始まりの喜びと寂しさ
本書を読んで、私の成長をはっきりと感じました。
これまでのシリーズでも、円紫さんの鮮やかな推理と私の成長が二本柱で描かれてきましたが、ここでは私の成長が顕著です。
社会人になったという目に見える変化もありますが、中身も立派に成長しています。
人との接し方や、謎やそこに込められた真実への思いの寄せ方。
時間によって磨かれた円熟さが感じられて、とても微笑ましかったです。
しかし、次の瞬間には寂しさもあって、それは時間の経過によって変わってしまったことに対して思ったのかもしれません。
社会人になれば正子や江美とはそう簡単には会えなくなり、姉は結婚して、円紫さんの登場回数も減っています。
出会いと別れなんて当たり前のことだと思いつつも、客観的に見るとこんなに寂しいのだと、しみじみしてしまいました。
とっつきやすい
前作がかなり文学的な内容で、物語に入りきれなかった人も一定数いたのではないでしょうか。
その点、本書は三つの短編で構成されていて、文学的な内容は控えめで、親しみやすい内容でした。
特にリドル・ストーリーは僕も好きなジャンルだったので、こんなに短い物語でここまで想像が広がるのかと、楽しくなってしまいました。
おわりに
新たな出会いと別れに心が揺れ動く一冊でした。
内容的には入りやすいので、ぜひ私の生活をゆっくり、じっくり読み、その上質さを味わってもらえると嬉しいです。
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